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データで判明、日本人は男女平等に興味がない? その真意は……

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女性の社会進出が進んでいるとはいえ、まだまだ実際の職場での状況に不満を感じている人も多いだろう。そこで、2019年11月7・8日に行われたMASHING UP Vol.3では、「日本人は男女平等に興味がない? ─ 職場での男女平等実現は200年先!? データから見る今の日本の立ち位置」と題したトークセッションを開催。

ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングの河田瑶子さんをモデレーターに迎え、東京大学経済学研究科教授の山口慎太郎さんOECD東京センター所長の村上由美子さんに、世界のさまざまなデータと比較したときの日本の立ち位置を語ってもらった。

日本人女性の学力は世界一

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OECD東京センター 村上由美子さん。

「まずは皆さん、自信をつけてください。OECDによる大人の学力調査では、読解力、数的思考力の両方において、日本の女性は世界で一番。2位のフィンランドとも大きく差をつけています」と、村上さん。

同調査によると、日本の成人男性の学力も世界一。だが、ここで重要なのは、日本の女性の社会進出にはさまざまな問題をはらんでいるが、日本女性は学力において世界一の実力を持っているということだ。

ちなみに、15歳の子どもの学力テストでも日本人は世界のトップテンに入るレベル。問題解決能力では少し落ちるが、チームで取り組むと得点がグッと上がっているという。

「つまり、個々の能力も高いですが、1+1=3になるというチーム力を得意とするのが日本の女性ではないかということが、データから見てとれるヒントです」(村上さん)

キャリアを捨てるのは「仕事が面白くないから」

引き続き、OECDのデータによると日本の女性の労働市場参加率は上昇しており、世界の平均よりも高い。しかし問題は、男女の賃金格差はOECD加盟国の中で3番目に大きく、同じ条件下では約25%、女性のほうが男性より賃金が低いということだ。それには、管理職や国会議員などリーダー層における女性の欠落が影響している、と村上さん。

「さらに、データからわかるのは、日本は女性の家事時間が圧倒的に長いということです。つまり、日本の女性は家でも外でも働きづめです。ところが、別の調査によると、日本の女性が就職後に途中退職する原因では、家事と仕事との両立の問題よりも、会社の仕事環境に満足できず『やってられない』と思うことのほうが上回っているのです」(村上さん)

同じ調査をアメリカの女性に行うと、日本人女性とは逆で、家事育児と仕事を両立するのが大変だから、という人のほうが優勢。村上さん自身、3人の育児をしながら仕事を続けてきたのは「仕事が楽しいから」という気持ちがあったからだと言う。

やりがいがあるならどっちも取りに行く。そう考えている優秀な女性が日本にはたくさんいるということです」(村上さん)

ジェンダーバイアスを減らす効果的な方法

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東京大学経済学研究科教授 山口慎太郎さん。

では、そうしたジェンダーギャップを減らすためにはどうしたらいいのか。

「最初にやらなきゃいけないのは、データを取ってバイアスを可視化することです」と、経済学の視点から指摘する山口さん。

たとえば、近年では大手民間企業でも取り入れ始めている、職場の男女平等に関するグローバル基準「EDGE(Economic Dividends for Gender Equality:ジェンダー平等の経済的配当)認証」。給料や管理職における女性の割合をデータ化し、認証の取得を目指すプロセスの中で、さまざまなデータが見えてくる。

データを取るのが第一歩。その結果や第一段階として注目されているのが、社員の意識改革を促すダイバーシティ研修だが、その効果について山口さんは警鐘を鳴らす。

「心理学に関する2009年の論文では、1000件近くのダイバーシティ研修についての効果についての研究を再分析した結果、効果が明確に認められない、と結論づけています。その原因として考えられるのが、“免罪符効果”。自分は研修を受けたから、ジェンダーバイアスとは無縁の人間だと思い込むことによって、無意識のうちに男女差別的な行為をしてしまうのです」(山口さん)

バイアスを避ける具体的な仕組みを作る

研修による「心がけ」だけでは不十分。大切なのは、「具体的にバイアスを避けるための仕組みを導入する」ことだと山口さんは指摘する。

たとえば、1970年代にアメリカの有名オーケストラで行われたオーディション改革では、オーディションの演奏時に演奏者と審査員を遮るカーテン1枚を取り入れた結果、女性が次のラウンドに進む確率が50%上がったという。音楽のプロであっても、演奏者の姿が見えていると、性別や人種に関するバイアスに左右されていたということだ。

また、アメリカの大学入試のための試験・SATでは2014年、選択問題で誤った場合に減点する採点方法をやめたところ、男女の得点差が縮まった。女性は減点されるリスクを避けるために無回答を選ぶ人が多いのに対し、男性は積極的にリスクを取り、あてずっぽうで回答する人が多いことが背景にある。

男女の差は生まれつき、とは限らない

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ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング 河田瑶子さん。

男性のほうがリスクを恐れず、競争を好む。これは世界共通に当てはまることのようにも思える。だが、生まれつきかというとそうではない、と山口さん。

「男女のどちらがどれだけ競争を好むかという調査によると、男尊女卑社会のマサイ族では、半数の男性が競争を好んだのに対し、女性は25%のみが競争を好むという結果が出ました。しかし、女性が尊重される母系社会であるインドのカーシ族で同じ調査をすると、半数の女性が競争を好み、男性では35%しか競争を好まないということがわかったのです。つまり、競争心は100%先天的なものではなくて、社会の成り立ちから影響された後天的なものであることが示唆されています」(山口さん)

自分を客観的に見つめ、自力でキャリアを切り拓く

男女の違いという思い込みを外すには、データは効果的だ。しかし、どの組織にも当てはまるようなバイアスを取り除くための仕組みは、「今のところ見つかっていません」と山口さん。

まずはデータを取ってバイアスを可視化し、自分たちの弱点を知ること。その上でそれぞれの組織に合った仕組みに落とし込み、試した後にもう一度データを取る。この作業を繰り返すのが最もいい方法だと思っています」(山口さん)

また、女性が会社の仕事に満足できずにキャリアを捨ててしまう状況に対しては、「会社側は勤続年数を基準にするのをやめること。そして、個人は会社にレールを敷いてもらうという考えを捨て、自分のキャリアは自分が作る、という意識を強く持つことが大切です」と村上さん。

くすぶった思いをやみくもにぶつけるだけでは何も変わらない。2人の示したデータを参考に、自分たちが置かれている状況を客観的に理解し、具体的に変革していくためのアクションに取り組んでみてはいかがだろうか。

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MASHING UP vol.3

日本人は男女平等に興味がない? - 職場での男女平等実現は200年先!? データから見る、今の日本の立ち位置

撮影/今村拓馬

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中島理恵
ライター・エディター。埼玉県出身、広島県在住。編集プロダクション、出版社勤務を経てフリーランスへ。旅、食、建築、インテリア、ビジネス、育児、動物など多岐にわたる記事の執筆・編集、翻訳などを手がける。3児の母。

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