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都市型農業で革命を起こす/Infarm CEOエレズ・ガロンスカさん

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環境に大きな負荷をかけている現代の農業のあり方を見直し、増え続ける都市人口に対応できる食料供給システムを構築したい。そうした思いから都市型農業ソリューションを提供するスタートアップ、Infarm

2013年にベルリンで設立された同社は、都市のなかで垂直農業で野菜を作っている。垂直農業とは、屋内に水耕栽培の棚を縦型に配置し、効率的に空間と水を利用する栽培方法だ。

Infarmは自社施設での栽培のほか、小型の農場ユニットをスーパーマーケット、レストラン、学校などの施設内に設置するサービスも提供している。ネットワークで結ばれた各ユニットは、リモート管理されていて、IoTや機械学習などの技術で生育環境の最適化を行う。

現在Infarmはドイツ、フランス、デンマーク、スイス、ルクセンブルク、英国、米国で事業を展開。そして2020年2月26日に行われたベルリン発のビジネスカンファレンスTech Open Airの東京版「TOAワールドツアー東京」にて、同社がJR東日本と紀ノ国屋と提携し、この夏にサービスを開始することが発表された。

カンファレンスに合わせ来日したCEOのエレズ・ガロンスカさんに話を聞いた。

スーパーマーケットの中に「農場」を

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英国のスーパーマーケットMarks & Spencerとも提携。ロンドンにある店舗の農業ユニット。(写真クレジット:Steve Ager)

——水耕栽培の装置を小さなユニットにし、消費者の訪れる店舗に設置するサービスを作ろうと思ったのはなぜですか。

エレズ・ガロンスカさん:生産地と消費地をできるだけ近づけたいからです。またユニット化することで、生育環境が管理しやすくなります。きめ細やかな調整ができるため味や栄養面で質が上がり、バクテリアによる汚染も最小限に抑えることができます。

管理ソフトウェアには各店舗での販売状況が反映されます。消費者のニーズに細かく対応できるので無駄が出ず、食物廃棄の問題もなくせます。

——Infarmの野菜は普通の人でも気軽に買えますか?

ガロンスカさん:もちろんです。試行錯誤をしながら生産性をあげて、手頃な価格を実現しています。例えばトマトは数年前から生産できるようになっていましたが、価格面で難しかった。でも、もう少ししたら市場に出せるようになるでしょう。

室内栽培で環境への負荷を減らせる

——太陽の光を浴び大地で育った野菜こそ新鮮、というイメージを持っている人が多いと思いますが、その点はいかがですか?

ガロンスカさん:サービスを始めた当初、人工的な感じがすると言う人もいました。でも、野菜を試食すると良さを分かってもらえます。普段食べ慣れている野菜に比べ、ずっと味が濃いですから。市場に流通している野菜は効率を最優先させて作られているので味も薄いし、栄養価も低い。また、大量の水や農薬を必要とするのも問題です。

オーガニック野菜も、輸送の際の二酸化炭素排出量を考えると、環境に優しいとは言い切れません。私たちはこうした問題を正面から見据えて、新しい農業のあり方を探りたいのです。

——栽培に使用する電力のコストについてはいかがですか?

ガロンスカさん:電気代が高いドイツでも、利益を上げられています。技術の向上でエネルギー効率も上がってきていますし、また、自社施設での栽培は再生可能エネルギーだけで賄うようにしています。

天候に左右されず、持続可能な農業システム

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Infarmの都市型農業施設Inhub。ハーブや葉物野菜が中心だが近い将来キノコ類、トマト、唐辛子などが加わるという。(写真クレジット:diephotodesigner.de)

——気候変動や自然災害で打撃を受けにくいのも大きな利点ですね。

ガロンスカさん:世界中で災害が起きている今の状況は、危機的な状況です。そうしたなかで安定的に食物を供給する方法を確立する必要があります。しかもそれは、持続可能なシステムでなければいけません。

今の農業では、土がすぐに痩せてしまうので化学肥料や農薬を大量に使い、それが海を汚染するという負のサイクルが生まれています。食物生産のあり方を根本から変えなければいけないと思います。

自給自足できてこそ自由になれる

——会社を起こす前に、ご自身でも農業をされていたそうですね。

ガロンスカさん:自由に生きるためには、自給自足が必要だというのが私の信条です。世界中に住みながら野菜や果物、ナッツなどいろんな作物を育ててきました。また、パーマカルチャーやバイオ技術などにも興味があり、知識を身につけてきました。

職業として農業をしていたわけではありませんが、学んできたことは今のビジネスにつながっています。皆が自給自足できるようなれば革命が起こせると思うのです。

多様性が根付く街で育まれたベンチャー

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Infarm創業者たち。左からCMOオスナット・ミカエリさん、CEOエレズ・ガロンスカさん、CTOガイ・ガロンスカさん(写真クレジット:Robert Rieger, FvF Productions UG)

——ガロンスカさんと共同創業者のお2人は、ご出身はイスラエルですが、ベルリンでビジネスをスタートさせたのはなぜですか?

ガロンスカさん:私たちは自分たちを世界市民だと思っています。ベルリンは多様性に富んだ街です。ビジネスをグローバル展開する前から、国際色豊かな人たちと協働してきました。そうした環境が魅力でした。

——欧州各国、そして米国や日本など世界各地に新しい拠点を開設されています。現在従業員は400名を超えるとのことですが、採用の際に重視していることを教えてください。

ガロンスカさん:前向きであるということ。機敏かつ臨機応変であること。そして成長をし続ける意欲がある人。問題に直面したとき的確に優先順位をつけ、時間を有効に使える能力も大事です。出身地、宗教、思想、性別などの属性は関係ないと思っています。

* * *

「2050年に世界人口は90億人を超え、全員分の食料を賄うには地球があと2個必要となる」。インタビューに先立つカンファレンスで、ガロンスカさんは迫りくる食料危機をそう表現していた。

おいしく栄養価が高い野菜をサスティナブルな方法でつくることで、危機に挑むInfarm。この夏には東京都内の紀ノ国屋店舗に同社の農場ユニットが設置されるという。究極の地産地消の野菜をぜひ食べてみたい。

取材・写真(1枚目)/野澤朋代

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野澤朋代

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