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Conference:MASHING UP vol.3

「普通」ってなんですか? ダイバーシティ時代における幸福論

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日本一過激なオンナのニュース番組、AbemaTV「Wの悲喜劇」。その公開収録がビジネスカンファレンス「MASHING UP Vol.3」(2019年11月7・8日開催)内に行われた。

「普通はシアワセ」は本当か? タレントのりゅうちぇるさん、タレントのSHELLYさん、「ウートピ」編集長・鈴木円香さんを進行役に、5人のゲストが登壇。それぞれの「普通じゃない」人生の「普通」について熱いトークを展開した。

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気軽に「UD」と言える自由を

最初のゲスト、車椅子インフルエンサーの中嶋涼子さんは、長年隠していた車椅子生活ゆえの排尿や排便に関する不便さを、積極的に発信するようになってから精神的に楽になったと心の内を話した。

「(私は)おへそから下の感覚がないんです。トイレに行きたい感覚が分からないので、3時間おきにトイレに行ったり、おしめのような尿帯をつけています。いつか尿帯パッドのCMに使っていただきたい。かっこいいCMだったら、みんな普通に買い求められるでしょう?」

排尿に対して、お通じについては「薬を飲まない限り、一生出ないかも」と中嶋さん。「私がUDと呼んでいる日があるのですが、これは“うんこデー”の略なんです(笑)。下剤を飲んでも、感覚がないからいつ出るか分からない。だから1日オフにしてずっとトイレに籠もっています」

人前で言いにくいけれど切実な問題をユーモアあふれる造語で説明する中嶋さんの受け答えに、場内も笑いと感心の面持ちに。

「壁がなくなるといいですね。以前テレビでUDのことを話したら、観ていた友達が『涼子、今日はUD?』って聞いてくれて。分かってくれたんだと思うと、うれしかった」

中嶋さんにとって「普通」とは?

「平均的な大部分の人が思う理想が普通なのかな。自分の人生は全然普通じゃない。その普通じゃない人生が逆に楽しいので、誇りに思っています」

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トランスジェンダーという言葉はいらない

2人目のゲストは名古屋「HIME CLINIC」院長の武藤ひめさん。自身がトランスジェンダーでもあることから、クリニックにはトランスジェンダー特有の悩みを抱えた患者さんも多く訪れる。

「(通常、トランスジェンダーの方たちに)健診でなにか問題が見つかった場合、医師は元々の性特有の病気も念頭に置かなければなりません。しかし、できれば元の性は明かしたくない、話すこと自体がストレスと思っている方が多い。なのに多くの医師は、感情を無視して間抜けな質問をするのです」

現代は、LGBTQに寛容になっているとはいえ、深いレベルにはまだ及ばないのが現状。武藤さんも実際に女性として生き始めたとき、性差によって対応を無意識に変えられたり、トランスジェンダーに対する無理解に苦しんだと話す。

「カミングアウトって言葉は嫌いなんです。普通に生きている人も生きにくさは抱えているので。今の風潮は“性的マイノリティの権利を認めましょう”という雰囲気で、本当はノーでもノーと言えなくなる」と、心理的圧迫感を指摘。

武藤さんは、あえて自分から発言をしていくことで打開を目指す。一番の目標は「トランスジェンダーという言葉がなくなること」と武藤さん。

武藤さんにとって「普通」とは?

「“普通なんてない”と思ってます。全てが特別。普通も特別です」

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あきらめることから見えてくる世界

次のゲストは覆面を被って登場、「ちょっとすけべなゲイです」と自己紹介する作家のもちぎさんだ。

「18の頃からゲイ風俗で働いてまして、その後はゲイバーとゴリゴリのゲイ人生。うちは母子家庭で貧乏、母親も仕事が長続きしない、中学卒業したら働けと言われていました。高校には行きたいのでバイトと、いいことではないですが売春をして稼ぎました」

もちぎさんが発信するツイートやコミックでは、ゲイ業界でのエピソードが細やかに赤裸々に描かれており、普段覗けない世界だけに一同も興味深々。

今は田舎で生活しながら過去を見つめ直したい、と話すもちぎさん。社会的にLGBTQの話題が取り上げられるようになっても、ゲイバーや風俗は依然として意識がされにくい。そんな話題を自分で発信すれば世間からの理解も深まるのではと思ったのが、SNSを始めた理由だという。

約2年前にTwitterを始め、今やフォロワー50万人超。DMで人生相談を受けることも多いというもちぎさんは、観衆に対して「あきらめが大事」と話す。

「自分は“いいあきらめ方”ができたんです。まず時間的にあきらめた。たとえば大学だって、今は現役で入れないけれど、いつかやろうと。それから環境的なあきらめ。本当は母と仲よくしたかったけど18歳の自分では無理で、家庭を離れたんです」

逃げではなく、どうしようもないことをあきらめる。しかしそこから見えてくるものは確実にある、と言えるだろう。

もちぎさんにとって「普通」とは?

「普通とは、“匂い”。自分の匂いはわからないもので、当たり前にあるもの。でも、人によっては気づくこともあるもの」

自分は自分で変えられる

続いては、「3万人とセックスをした」というAV女優で風俗嬢の有奈めぐみさんが登場。父方の家系は戦国時代の武将・真田幸村という名家の生まれだ。

「中学のときに髪を金色に染めたら自主退学になりました。家族全員が学習院出身だったので、父はそれを恥として離婚をしたんです」

両親の離婚後、家庭内は荒れに荒れていたという。「通り魔事件がニュースになると、いつ自分の家族が被害者側になるかと不安で。せめて、働いてお金を稼がないとというプレッシャーはありました」

そんな境遇にも負けず、有奈さんの口調は終始、力強くポジティブだ。「家族のことは変えられないけど、自分のことなら自分で変えられる。それを分かって欲しいから、多くの人に伝える努力をしています」

有奈さんにとって「普通」とは?

「(周囲から)何を言われても自分が好きな格好をしたい。人の目をあまり気にしないこと。それが、私にとっての普通です」

普通があるから「面白い」が生まれる

最後のゲストは大ブレイク中、レペゼンYoutubeのNEO芸人・フワちゃん。「怒られのプロ」と自称するほど、幼少期を過ごしたアメリカ居住時からも怒られた回数は数知れず。恐ろしいほど“人をなめた態度”が自分にはあると語る。

多くの怒られ体験の中で、一番“やらかした”のは、所属していた芸能事務所をクビになったときのことだ。「事務所のお偉いさんに怒られたんです。床に座ってて、それを怒られたので、去っていく時背中に向かって中指を立てた。そしたらガラスみたいな感じになってて、全部映ってた(笑)」

今では引っ張りだこの人気者。しかしYoutuberを始める前までは、つねに生きづらさを感じていたという。「人に言われたことができない自分がいた。でも、Youtubeをやってよかったなと思うのは、“できないこと全部”が職業になったんです」

生きづらさを感じていても大丈夫、とフワちゃん。「短所を直すんじゃなくて、生かす方向でいく時代。今は“ちょっと違うな”って感じている人がいても、全然(これから)生きる道あるから!」と場内を沸かせた。

フワちゃんにとって「普通」とは?

「普通って言葉があるおかげで、ずれたことをすると面白い。普通があるから面白いが生まれる。だから逆に普通とうまい付き合いをしていって、ポジティブに捉えていいと思う」

* * *

セッションを通して感じたのは、ゲストの方々の自分自身に対する真摯さ。外側から与えられた普通ではなく、自分にとっての普通をしっかり生きる。それこそがダイバーシティの時代を生き抜くキモになるのかもしれません。

「Wの悲喜劇」放送本編では、上記5名のゲストと司会陣が、さらにディープなトークを展開しています。こちらもあわせてぜひどうぞ。

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MASHING UP vol.3

「普通」ってナニ?

撮影/c.h.lee

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若山ゆりこ

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