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ONE TEAMで支える自然の恵みと私たちの未来[後編]

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Image via Shutterstock

生物多様性が失われている原因は、私たちの生活にある⁉

前回は、生物多様性とは何なのか、私たちにとってどんな意味をもつもので、それが今どんな状況なのかを解説しました。今回は、なぜ生物多様性が失われているのか、豊かな生物多様性を次世代に引き継いでいくために、私たちには何ができるのかについてIPBES(イプベス)報告書からのメッセージを解説します。

IPBES報告書は、次の5つが、地球上から生物多様性が失われている主な原因だと報告しています。あなたは、このうちどれに最も関わっていると思いますか?

※選択肢のなかから、いずれかの回答をクリックすると投票結果がすぐに表示されます。他の人の回答についてもチェックしてみてください。

すぐにはピンとこないかもしれませんが、実は私たち一人ひとりが日頃の消費や行動を通して、これらのすべてに関わっている可能性があるのです。

スナック菓子や洗剤などに多く使われるパーム油、食卓に上がる肉や魚、穀物に野菜、住宅や家具に使われている木材は、どこから来ていて、どうやって作られているのでしょうか。こうしたものを遠くから運んできたり、生活に欠かせない電気やガスなどのエネルギーを使ったり、通勤をはじめとする日頃の移動で、どれくらいの温室効果ガスが出ているのでしょうか。

報告書は、私たちの現代のこうした生活のあり方の背景にある、グローバル化した社会と経済の構造的な問題にも触れています。グローバル経済では、世界中で生産・流通コストがいちばん安い場所と方法に投資が向けられます。結果、全世界に張り巡らされたサプライチェーンによって、生産地で起こっている自然や社会への悪影響が消費者に見えにくくなっているのです。

地球を守るためにできる8つの行動

人が自然と共生し、生物多様性を次世代に引き継いでいくためには、この構造の転換が求められます。報告書は、そのような転換を引き起こすための行動を8つ提起しています。あなたの生活や仕事の中で、もっともできそうなものはどれでしょうか?

※選択肢のなかから、いずれかの回答をクリックすると投票結果がすぐに表示されます。他の人の回答についてもチェックしてみてください。

生活や仕事のあり方を問い直すターニングポイント

折しも、新型コロナウイルス危機を受けて、一人ひとりの生活や社会のあり方が問われています。

新型コロナウイルスは、絶滅の危機に瀕しているマレーセンザンコウという哺乳動物(漢方薬向けの密猟、密輸が絶えない)や、東アジアに広く生息するコウモリがもともと持っていたウイルスが起源である可能性が指摘されています。

今回のウイルスに限らず、自然界には人に感染症をもたらす病原体が多くあります。自然林の開墾や野生動物の流通・利用の増大によって人がこうした病原体にさらされやすくなり、いったん人への感染がおこると、それがグローバル化した人の流れに乗ってあっという間に世界中に拡散します。

とどまることなく広がるグローバル化の弊害という点で、コロナ危機と生物多様性危機には共通点が多くあります。今こそが、より持続可能な将来に向けて、私たち一人ひとりの生活や仕事のあり方を問い直すターニングポイントなのです。

執筆/髙橋康夫(IGES)

公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)

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髙橋康夫
地球環境戦略研究機関(IGES)自然資源・生態系サービス領域リサーチマネージャー
専門は生態学と自然の価値評価。IPBESアジア・オセアニア地域評価報告書の執筆に参加した他、IPBES地球規模評価報告書政策決定者向け要約の和訳総合編集を担当。この他、自然と共生する農林水産業を国際的に推進するSATOYAMAイニシアティブに関する助成事業や調査研究にも携わる。

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