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米ビューティ業界でヘアケアテックが活況。AIが実現するカスタムサービスとは?

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ヘアケアやスカルプケアのツールの発売が相次ぐ2020年。ヘアケアアイテムを扱うジョンポールミッチェルシステムズ(John Paul Mitchell Systems、以下「JPMS」)も、2020年11月に、AIで髪と頭皮を診断する新たなデバイスのローンチを予定している。

その独自のデバイスはFitskin社の技術を搭載した「ヘアAI(Hair AI)」というシンプルな名称で、JPMSが製品を卸しているサロンのみが利用できる。デバイスは顧客の髪と頭皮の状態を評価し、JPMSの8つのポートフォリオブランドの中から平均10アイテムをレコメンドする仕組みだ。

JPMSは2つのヘアツールブランドのほか、スタイリングプロダクツやプロ専用ヘアカラーなどを世界108か国の15万店舗のサロンやアルタ(Ulta)を通じて販売している。Glossyが過去に報じたように、JPMSは世界各地で114のヘアスタイリングスクールを運営、また収益の95%を世界中のサロンへの販売が占めており、米国でのビジネスのうち70%が小規模サロンからの収益となっている。

11月には同社のプラチナトップロイヤリティ層に属する2,500店舗のサロンに無料でデバイスを提供し、そのほかのサロンは、2021年1月に発売予定の4つのキット(225USドル、約2万4000円)からいずれかを購入すれば、ギフトとして無料でデバイスを受け取ることができるという。

デバイスの開発や無料提供を決定した背景には、ヘアケア製品の販売においてサロンはアマゾンやセフォラ(Sephora)にアルタなどの小売店との競争がますます激しくなってきているため、JPMSの顧客であるサロンを多少なりとも有利な立場にしたいという狙いがある。業界の情報源によると、どのサロンでも収益の約25%を製品の販売に頼っており、新型コロナウイルスの流行はサロン業界に大きな打撃を与えている

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image via Shutterstock

激化する競争。アマゾンらの対抗勢力となるか?

「このデバイスで、スタイリストは顧客に対してカスタマイズされたレコメンデーションができるようになります。サロンでのトリートメントをおすすめするなど、収益を上げるチャンスにつながるはずです」と話すのは、ジョンポールミッチェルシステムズのマーケティングVP、タニア・キングスラッド(Tania Kingsrud)氏だ。

「(ヘアケア製品の売り上げは)アマゾンやEコマースのほか、この市場での専門小売業者との競合が激しいので、私たちは(サロンに)その分野で互角に戦ってほしいと思っているのです」(キングスラッド氏)

iPhone用に取り付けるクリップ型のカメラであるヘアAIは、付属のアプリで頭皮の乾燥や切れ毛など、数は非公開だがいくつものデータポイントを分析するという。フォレオ(Foreo)の元CEOポール・ペロス(Paul Peros)氏が5月に発売したミストによるスカルプケアデバイス「レドゥイート(Réduit)」や、10月5日にアルタやノードストローム(Nordstrom)、セフォラで発売されたビューティバイオ(BeautyBio)の頭皮用マイクロニードリングデバイス(極細の針が搭載された美容器具)など、今年は数々のヘアケアやスカルプケアのデバイスがローンチされており、ヘアAIもそこに参入する。

Glossyがこれまでにも伝えてきたように、髪の毛の「スキンケア化」は新たなレベルに到達しており、デバイスもそうしたより大きなカテゴリーで増えつつあるセールス戦略のひとつに過ぎない。ジョンポールミッチェルシステムズの研究開発VPであるヴァレリー・ジョージ(Valerie George)氏は下記のように語る。

「(個人は)自分にぴったり合う製品はどれなのか、常にあれこれ推測しています。気に入るはずの高い製品をせっかく手に入れたのに、自分の髪には合わなかったらすごく嫌な気分になりますよね。だからといって、それは製品が悪いという意味ではありません。単にあなたには合っていなかったというだけなのです」(ジョージ氏)

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一方で課題も。サロン業界の救世主となるか

一見画期的に思えるヘアAIだが、現状抱える課題もある。本製品はJPMS製品を提案するだけなので、市場にあるほかのヘアケア製品も選択肢として考慮に入れた、真に客観的なレコメンデーションができない。一方ですべてのサロンが単一ブランドのみ扱っているわけではないため、キングスラッド氏はこのデバイスをサロンに提供することで、いくつかはJPMS独占サロンに切り替えるかもしれないと強気だ。

また、美容業界のデバイスや製品が以前から抱えている問題として、このデバイスも臨床的な価値についての評価がなされていない

さらに、デバイスは携帯電話のカメラの品質に依存している。ジョージ氏は、ほとんどのスマートフォンのカメラはデジタル一眼レフカメラと同じくらい高性能だと主張しているが、2019年のストラテジー・アナリティックス(Strategy Analytics)社の調査では、多くの人は3年以上も新しいスマートフォンに買い換えないことがわかっている。

より古い機種でカメラの性能が異なれば、結果にもばらつきが出る可能性があるが、ジョージ氏は、デバイスは虫眼鏡のように機能して30倍のサイズ画像を拡大し、最適な照明で自動的に写真撮影ができると言う。

「サロンにしてみれば、顧客とさらにつながりを深め、サロンでの体験価値を高めてもらうためのチャンスになります。お客様それぞれに合わせてカスタマイズされたレコメンデーションができれば、お客様を幸せな気分にすることができるでしょう。加えてサロンのビジネスを自然なかたちで成長させることにもなるはずです」(キングスラッド氏)

原文[John Paul Mitchell Systems introduces AI hair analysis tool]

LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida)

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Glossy Japan編集部
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