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MASHING UP SALON

何がやりたいか、なんて甘いことは言っていられない。困難を乗り越え、人生の波にうまく乗るコツ

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自分の人生が今の状況で終わるとは限らない。予想外のことに覆されることもあれば、思わぬ好転を経験することもあるだろう。どんな逆境にも立ち向かい、むしろそれを逆手にとって、自分の人生をまるごと楽しむにはどうしたらいいのだろうか?

2020年12月10日に開催されたMASHING UPオンラインサロンvol.7は、アロマセラピストからキャリアをスタートし、昆虫テクノロジーを手がける株式会社ムスカの代表取締役CEOを務めた流郷綾乃氏と、17年間専業主婦として生活をした後に「給食のおばちゃん」から再スタートし、ホテル勤務を経て、ホスピタリティプロフェッショナルとして活躍する薄井シンシア氏を招き、トークセッションを開催。「ポジティブな波にのる方法。人生丸ごと自分のものにするためのマインドセットとは」と題し、それぞれの経験をもとに、人生を前向きに楽しむための方法を語ってもらった。

自分には、他人にしかわからない可能性がある

薄井氏はまさに予期せぬ人生の波に乗ってきた人物だ。フィリピンから国費外国人留学生として20歳で来日し、東京外国語大学を卒業後、貿易会社に勤務し、日本人と結婚。外務省勤務の夫を支え、30歳で出産した娘を育てながら5カ国で25年間を過ごした

「17年間、専業主婦をしていましたが、娘の大学入学が決まったときに定年退職したような空虚な気分になってしまった。このままではいけないと思い、47歳で、当時住んでいたバンコクの小学校の食堂に勤めることにしました」(薄井氏)

最初は、食堂で子どもに好き嫌いをしないよう声をかけることが仕事だった。しかし、食堂のバックヤードにも積極的に関わるようにしたところ、学校側から食堂のリニューアルを取り仕切るカフェテリアマネージャー職をオファーされたという。

「自信がなかったから返事を保留していたら、どんどん条件を上げてくれた。それで、私には自分自身が認識していない何かがあって、この人たちには見えているのかもしれないと思うようになり、挑戦してみることにしたのです。結果は大成功。初年度からボーナスももらえたのは、ずっと専業主婦だったので夢のようでしたね」(薄井氏)

「何がしたいか」ではなく「何ができるのか」

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ところが、その夢のような仕事も3年で手放すことに。

「娘がアメリカの大学に行っていたので、アメリカに移住しました。ニューヨークでバリスタになろうと思ったのですが、51歳で経験がないということで採用してもらえなかった。翌年、日本に帰国したときにも、年齢の壁にぶつかりました。つまり私は、労働市場の中では欠陥品のようなもの。何がやりたいかなんて甘いことは言っていられなくて、何ができるかということだけを考えるようになりました」(薄井氏)

目の前にあったのは、会員制クラブの雑用係の仕事だった。ここでも他の人がやりたがらない仕事に率先して手をあげて存在感を示したが、契約社員にはなれなかった。そんなとき、バンコクのカフェテリアの関係者が「日本のホテルで働かないか」と声をかけてくれた。ホテルには営業として入り、ノルマを3倍で達成して、翌年にシニアセールスマネージャーに3年目で営業開発副部長になり、ホテル業界で転職を2度重ねて、現在に至る。

営業で実績を上げて認められた薄井氏の経歴に、「私と反対ですね」と流郷氏。

「私はアロマセラピストから営業会社の新規事業の営業の仕事をすることになったのですが、営業として成績が上げられなくて、挫折しました。でもお給料分の貢献をしなきゃいけないと思って、『新聞に載せたら向こうから来てくれるんじゃないか?』と考えた。それで上司に広報を勉強させてくださいと直談判して、短期間で学び、最初に提案したプレスリリースが新聞に取り上げてもらえたことで大きな反響がありました。営業から広報に逃げて、広報の仕事に目覚めたという感じです(笑)」(流郷氏)

その後、当時はまだ少なかったフリーランスのPRの仕事を始め、ハエを使った昆虫テックを手がけるムスカから広報の依頼を受けた。

「もともと虫が嫌い。最初はハエの仕事なんてあり得ないと思ったのですが、むしろそのハエの魅力や価値を語られたことで、PR魂に火がつきました。広報を経て、同社の代表取締役CEOを務めることになりましたが、丸3年がたったタイミングで退任し、今まさにネクストキャリアを考えているところです」(流郷氏)

会社も人と同じ」と語る流郷氏。幼稚園、小学校と成長するにつれて指導者が変わるように、ムスカも「自分が支えるべき段階は終わった」と感じているという。

繰り返しでは自分の成長が止まってしまう

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株式会社ムスカ 前代表取締役CEO 流郷綾乃氏

自分が貢献できることが終われば次の波に移る。そんな流郷氏を、「とても優しい」と薄井氏は言う。

「私はもっと自己中心的で、『この会社には私の未来がない』と感じたら転職してきました。最初に入ったホテルはとても居心地がよかった。しかし、入社3年目に1週間のイベントで1億6000万円稼いで、次は2億円を目指そうと思ったときに、このホテルだと箱が小さいなと感じて移りました。繰り返しだけでは自分の成長が止まってしまうからです」(薄井氏)

ただ、正反対のように見える2人にも、「共通点がある」と流郷氏は話す。

仕事において、相手が求めることを深く知ろうとするところは似ていると思う。私もいつも、この人が求めているものは何で、何が一番ネックになっているのかといったことを会話の中から引き出そうとしています」(流郷氏)

それには、「流郷さんも、実は営業に向いているかもしれませんよ」と薄井氏。

「私がホテルの営業でノルマを3倍で達成できた理由は、常に私がいいと思うものではなく、お客様にとって一番いいものをご提案してきたから。常にお客様を観察しているから、お客様が今、かゆいと思っていなくても、あとからかゆくなることが予測できるのです」(薄井氏)

育児や家庭が教えてくれるものもある

薄井氏は自身の観察力について、「17年間、娘を観察する中で養われた」と言う。

「彼女が持って生まれた才能と可能性を全部実らせるのが親の務めだと考えて、常に観察していたのです。それが今につながっていますね」(薄井氏)

一方、シングルマザーである流郷氏は、「子どもをゆっくり観察する余裕はなかった」と振り返る。

「子どもには背中を見てほしい、という感じでした。だからこそ中途半端な仕事はしたくない。子どもが80歳になったときに、私がやっている仕事を面白いと感じてくれるかどうかを基準に仕事を選んでいます」 (流郷氏)

「結局、置かれた環境の中で、一番良いと思えることをするしかないんですよね」と薄井氏。

「私は仕事と育児を両立するキャパシティがなかったので専業主婦になりました。でも、娘は私が自分のキャリアをあきらめて育児をしたと思っていたようです。そうではなくて、『あなたのお母さんをやったことで、もともとなかった可能性が芽生えた』ということを娘に見せたいという想いがありました」(薄井氏)

自分を信じて前を向く

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薄井氏は自身の経験を元に、女性の社会進出への支援活動を続けている。

「自分がリーダーになったらそれで終わり、と考えるようでは真のリーダーとはいえません。自分がリーダーになったときにするべきことは、後に来る人たちがリーダーになれるように障害物を排除することです」(薄井氏)

流郷氏は、ムスカで積んだ経験を生かしながら、「生物多様性や人間自体の多様性、SDGsなどを事業として動かしたいと思っている人のサポートをしたいと思っています」と語る。自身も、今年からまた、新しい波に乗っていくことになる。

質疑応答では、20代の参加者からの「困難を目の前にしたとき、どんなマインドでいるべきだと思いますか」という質問に対し、「人生って長いんですよ。リカバリーする時間はたくさんあるから、そんなに焦ることはありません」と薄井氏。

「人生の波にうまく乗るコツは?」という質問には、「波に乗っているときは無我夢中で、前しか見ていません。不安があるのも当然ですが、自分が正しいと思う選択肢を一つひとつ、着実にとっていくことが重要だと思います」と流郷氏。薄井氏は「目の前の自分にできることをして、次のチャンスが来たときに逃さないよう、敏感にアンテナを張っておくことですね」とコメントした。

「コロナ禍で先が見えない中、私自身、今後のキャリアがどうなるかわかりません。でも、自分は餓死することはないだろうと思うので安心しています」と薄井氏。

仕事だけでなくプライベートも含めて、少しずつ経験を積み重ねて自分になる。最終的には、そんな自分自身を信じて進むことが秘訣といえそうだ。

このトピックとかかわりのあるSDGsゴールは?

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中島理恵
ライター。神戸大学国際文化学部卒業。イギリス留学中にアフリカの貧困問題についての報道記事に感銘を受け、ライターの道を目指す。出版社勤務を経て独立し、ライフスタイル、ビジネス、環境、国際問題など幅広いジャンルで執筆、編集を手がける。

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