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美容業界も即日配送が当たり前。「打倒Amazon」の米国配送サービス事情

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食品宅配サービスのポストメイツ(Postmates)が、美容分野でのオンデマンド即日配送に公式に参入する。2020年10月末、ポストメイツのアプリは「ショップ(Shop)」というショッピング専用のセクションを立ち上げた。そこにはアナスタシアビバリーヒルズ(Anastasia Beverly Hills)、オセア(Osea)、コーダリー(Caudalie)、アワーグラスコスメティクス(Hourglass Cosmetics)、香水などを手掛けるルラボ(Le Labo)、独立系小売店のビューティコレクション(Beauty Collection)などのブランドが加わっている。

コロナ禍でオンデマンドデリバリーへの期待高まる

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今回ポストメイツが参入するのが、いま美容ブランドや顧客からの需要が高まっている、「荷物が消費者の手元に届く物流の最終区間=ラストワンマイル」のオンデマンド配送サービスだ。2020年8月にはデリバリースタートアップのゴー・パフ(GoPuff)が、カバーガール(Covergirl)やリンメル(Rimmel)、サリーハンセン(Sally Hansen)といったコティ(Coty)傘下のブランドと契約、また同年9月にはセフォラ(Sephora)がインスタカート(Instacart)と提携を行っている。しかしいまやポストメイツは、少なくとも8つのブランドとタイアップしており、これで美容ブランドと最大の提携関係を結んだ企業のひとつとなった。

ただし、同社はすでにMACコスメティクス(MAC Cosmetics)と2020年10月15日より事業提携を結んでおり、すでにEコマースで買い物をする消費者に向けた当日配送をおこなっている。バッシュ(Ba&sh)やザディグ・エ・ヴォルテール(Zadig & Voltaire)などのファッションやライフスタイルブランドもポストメイツのショップから購入できるようになる。

ローンチ直後はロサンゼルスからサービス提供を開始したショップは、ポストメイツのアプリのフードデリバリーとは別のタブで動作する。ショップでは、ブランドや小売業者は高解像度の写真カタログを設定することができ、顧客はオンデマンド配送、店頭での受け取り、非接触式のカーブサイドピックアップ(店先に駐車した顧客の車で商品を受け取る)から選択できるようになっている。独立型の小売店やインショップ型のブランドには在庫管理のためのタブレットが与えられ、商品が購入されると、ポストメイツが自動的に配達員を派遣してその商品を引き取る。

「2020年、新型コロナウイルスは、消費者の生活必需品の購入の仕方や余暇の過ごし方、さらには自分へのご褒美の与え方までも変えてしまいました」と話すのは、アナスタシアビバリーヒルズのセールスディレクター、ヘザー・デレオン(Heather DeLeon)氏だ。「これまでなかった新しい方法で人々に当社の商品を手にしてもらえるので、ショップは私たちにとってよい機会です」(デレオン氏)

配送料金は、標準配送の4.99USドル(約510円)からお急ぎ便の12.99USドル(約1300円)までだが、ポストメイツの無制限配送サブスクリプションの加入者であれば、無料で配送サービスを受けられる。ポストメイツのビジネス担当執行役員(SVP)マイク・バックリー(Mike Buckley)氏によれば、2021年からショップはロサンゼルス以外の都市にもサービスを拡大し、年末までにアメリカ全土で利用できるようになる予定とのこと。バックリー氏は次にショップが導入される都市については明かさなかったが、ポストメイツはアメリカ南西部とマイアミで高い普及率と最も多くの配達員を有していると述べている。

消費者はより早く、すぐに満足感を得られることを求めていて、ますますオンライン購入へと移行するようになっています。こうしたすでに起きているトレンドを加速する機会なんです」(バックリー氏)

アマゾンに対抗。「地域密着型サービス」がキモに

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またバックリー氏は、アマゾンプライムは、何が手に入るのか、どれだけ早く手に入るのか、という消費者の期待値を高めているとも述べ、ポストメイツはプライムデリバリーに追いつこうと苦戦している地域の商業を支援する存在だと位置づけた。サンクスギビングからクリスマスにかけての商戦期や、すべての主要運送業者が既存の配送業務で手一杯であることも考慮すると、オンデマンド配送はブランドや小売業者にかかるプレッシャーをいくらか軽減できるのではないかとバックリー氏は期待を込める。オンデマンド配送の適用はようやく加速し始めたばかりだが、ポストメイツは、早くも2016年にはリボルブ(Revolve)と提携しており、また新型コロナウイルスの感染拡大直前の2020年2月にも同じようにファッションブランドとの協力体制をすでに少しずつ築きあげていた。

ポストメイツでは今回のサービス運用初期にどういった顧客層が最も関心が持つかをモニターするとバックリー氏。ポストメイツの広報担当者によると、2020年3月に新型コロナウイルスの流行拡大が始まった際、同アプリはスキンケア、バス&ボディ、化粧品、ヘアケア関連商品を含む美容関連分野で前年比284%の受注増加があったという。ただしバックリー氏からはこれ以上の注文に関する情報は得られなかった。

「我々の直感では、美容やパーソナルケア、ホームグッズ、アパレル、そして花や金物や工具など、より頻繁に購入される分野に多くの関心が集まりそうだと思っています。我々は、キュレーションされた楽しいショッピング体験を創造しようとしているのです」(バックリー氏)

原題 [Anastasia Beverly Hills, Le Labo and Hourglass join Postmates on-demand delivery ]/(翻訳:Maya Kishida)/Images via Getty Images

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Glossy Japan編集部
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ビューティ・ウェルネスの未来を考えるメディア&コミュニティ。最先端トレンドを発信し、業界の未来を切り拓くことをミッションとしています。イベントや取材を通して、US含む海外トレンド分析と日本における時代潮流を読み解いていきます。

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