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米国D2Cの次なるトレンド。キュレーション・ウェブサイトは認知度に悩むブランドの救世主となるか?

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現実世界のショッピングモールが苦戦を強いられている一方、DTCブランドは消費者がひとつの場所で、複数のブランドの商品を見ることができるという点に価値を見出している。

2020年11月、DTCのライフスタイルサイト「ザ・ヴァーティカル(The Verticale)」は、美容、パーソナルケア、ファッション、ホームなどにおよぶ、50ものデジタルネイティブブランドのオンライン市場をローンチした

美容とパーソナルケアブランドには、ヘアケアブランドの「アクトアンドエイカー(Act + Acre)」、Z世代に特化したパーソナルケアブランドの「ブルーム(Blume)」、スキンケアブランドの「ワンカインド(Onekind)」、アーユルヴェーダを用いたスキンケアアイテム・スタートアップの「アヴラニ(Aavrani)」などが含まれる。他のカテゴリーのブランドは、サステナブルな下着を手掛けるスタートアップ「ニッキー(Knickey)」から、ミレニアル世代に支持されるフライパンブランド「キャラウェイ(Caraway)」まで多岐にわたる。ザ・ヴァーティカルは商品在庫を持たず、メーカーや卸売業者が購入者に直接商品を配送する、ドロップシッピングを採用している。

「私たちのアプローチは、まさしくライフスタイルへのアプローチなのです」と話すのは、ザ・ヴァーティカルの創始者でCEOのジャクリン・グローマン(Jaclyn Grauman)氏だ。彼女はアフィリエイトリンクを頼りに、製品レビューやおすすめの商品、新しいブランドの情報といったエディトリアルコンテンツを提供するために、このウェブサイトを立ち上げた。

オンラインモールへの出店で、認知度アップにつなげる

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ザ・ヴァーティカルの共同創始者/CCOのミシェル・シルバースタイン氏(左)と、共同創始者/CEOのジャクリン・グローマン氏(右)

現在、何千ものDTCブランドが市場に乱立しており、インスタグラムでの広告費が高騰するなかで、先端を行くDTCスタートアップは、いかに消費者の認知度を上げるかというジレンマに直面している。そこで登場したのが、ザ・ヴァーティカルや「シングテスティング(Thingtesting)」といった、デザイン重視のDTCの基準にかなった、センスのあるブランドをキュレーションするウェブサイトだ。現在、こうしたDTCブランドにスポットを当てたバーティカル市場は、投資家が新たに興味を持つ分野となっている

ザ・ヴァーティカル共同創始者でCOOのミシェル・シルバースタイン(Michelle Silverstein)氏は「買収コストを低く抑え、規模を拡大するのは本当に難しい」と話す。「自社サイトや自社店舗でしか販売していないDTCブランドは、顧客にアピールするための別の方法を見つける必要があるのです」(シルバースタイン氏)

美容とパーソナルケアの分野では、グロッシアー(Glossier)のような突出した企業を除けば、自社のチャネルに長期間限定したままでいるDTCのスタートアップ企業は少なく、多くは最終的に小売店のパートナーを見つけることを目標にローンチしている。

DTC版ショッピングモールは、ザ・ヴァーティカルだけではない。新型コロナウイルスの感染拡大以降、セクシュアルウェルネスブランドの「モード(Maude)」がプロデュースした「ステイケーション(Staycation)」、ECプラットフォームの「エリオット(Elliot)」による「ヴァーチャルモール(Virtual Mall)」などが、DTCブランドが直面する悩みを解決すべく登場した。

これらのマルチブランドサイトの利点は、同じ嗜好の顧客を集め、あるブランドのファンを別のカテゴリーのDTCブランドに紹介することだ。当初のDTCのビジネスモデルでは、コストを低く抑えるために、中間業者である小売店を排除することが重要なポイントのひとつだった。従来の小売業者は、シルバースタイン氏曰く、ブランドに「法外な値段」をつけていた。一方ザ・ヴァーティカルは、ブランドへの手数料を明言してはいないが、シルバースタイン氏は、卸売りよりも「はるかに少ない」コストだと述べている。

ブランドが持つ資産価値やスタイルを重視

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Image via Getty Images

DTCブランドは、ミレニアル世代やZ世代の顧客にリーチできる、新しいオンラインの小売フォーマットを模索している。またインスタグラムも、Eコマースへの投資が増えるにつれて、キュレーションしたショッピングコンテンツを構築するように。

百貨店チェーンのロード・アンド・テイラー(Lord & Taylor)出身のグローマン氏は、これまでの小売業界での経験から、「卸売業全体が破綻した状態」を目の当たりにしてきたと話す。また、従来の小売業者は、データをうまく活用せずに半年前に卸売り注文を出しており、そこがデジタルネイティブのブランドがマーケットシェアを大きく掴むことができた、主たる理由だと指摘する。

ザ・ヴァーティカルのようなウェブサイトにブランドが惹かれるもうひとつの理由が、ブランドエクイティ(ブランドが持つ資産価値)だ。これは多くのDTCブランドがアマゾンのようなマスマーケットの選択肢に、警戒心を抱いているという懸念の現れである。

ザ・ヴァーティカルのウェブサイトはスタイル重視のデザインはもとより、倫理的な基準を備えた「視点」を強調しているとグローマン氏は言う。各ブランドは、サステナブル、クリーンな原材料、インクルーシビティといった面でも、そうした基準を満たすよう求められているのだ

ザ・ヴァーティカルは、米国大統領選挙では有権者の投票率向上のための活動に参加するDTCブランドのグループを組織し、インスタグラムでバイデン氏とハリス氏の勝利を祝った企業のひとつとなった。「人々はただモノを買いたいのではない。みんな何かの一部になりたいと思っているのです」(グローマン氏)

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原題 [DTC brands reimagine the mall ]/LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida)

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Glossy Japan編集部
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ビューティ・ウェルネスの未来を考えるメディア&コミュニティ。最先端トレンドを発信し、業界の未来を切り拓くことをミッションとしています。イベントや取材を通して、US含む海外トレンド分析と日本における時代潮流を読み解いていきます。

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