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CONFERENCE:MASHING UP vol.4

気にかけてもらえる安心感が、学ぶ意欲を支える/iamtheCODE マリエム・ジャム

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世界各地の少女たちへの支援やデジタル教育を行いながら、「2030年までに100万人の女性エンジニアを育てる」ことを目標に掲げるiamtheCODE。イギリスに拠点を置くこの団体の設立者のマリエム・ジャム氏がMASHING UPカンファレンス vol.4でキーノート・スピーカーとして登場した。

デジタルスキルを少女たちに

セネガル共和国出身のジャム氏は、幼い頃に孤児となり、人身売買でヨーロッパに連れてこられたという過去を持つ。十代半ばで保護施設に入ってから初めて読み書きを覚え、独学で様々なプログラミング言語を習得した。その後ソフトウェア販売の会社を設立。取引先のさまざまな企業を訪れたが、女性がいることは稀で、マイノリティなど「周辺化」されたコミュニティ出身の女性たちに会うことはなかったという。

世界の多くの地域では、女の子が教育を受けられない現実がある。また、デジタル化が進む現代で必須ともいえるコンピュータのスキルを身につけたり、インターネットに接続する環境もない。

教育や不平等の問題は、発展途上国だけでなく、日本を含む先進国にもある。世界中の少女たちがコンピュータ言語を理解し、それを自信につなげてほしい。政府や民間企業、投資家などが力を合わせてSTEM教育を推進する仕組みを作りたい。ジャム氏はそう考え、iamtheCODEを設立。ダボス会議や国連で女子教育の大切さを訴えるプレゼンテーションを行い各国から支援や寄付を受け、これまでに2万5千人以上の少女を支援。68カ国でボランティア活動やイベントを行う。

女子教育への投資はリターンが多い

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iamtheCODE 創設者 マリエム・ジャム氏

iamtheCODEの活動の柱のひとつが、パソコンの使い方やプログラミングを教える「デジタル・クラブ」。もうひとつがSDGs(2015年に国連で採択された、持続可能な世界を実現するための17の国際目標)をテーマとしたハッカソンの実施だ。少女たちがSDGsについて学び、持続可能な世界に向けたソリューション開発を競う。2019年11月には一般社団法人Waffleと日本でハッカソンを共同開催している。

ケニアのカクマ難民キャンプや、ブラジルの貧民街でも活動を展開。売春や困難な暮らしに苦しむ少女たちのために学びの場を作り、さまざまなプログラムを提供している。

「早い時期に少女たちを救い出し、愛情や思いやり、共感を示すことで彼女たちの人生は変わります。社会から疎外されている少女たちの教育は、発展途上国では最もハイリターンな投資と言えるでしょう。彼女たちはやがて成長します。スキルを身につけお金を稼げるようになれば、社会を変えることができる。今投資すれば後で大きな利益となるでしょう」(ジャム氏)

プログラミング言語の教育から始まったiamtheCODEだが、今では社会に向けて自らの考えを発信するための「話す力」やクリエイティブなスキルにも注力している。運営するポッドキャストでは、カクマ難民キャンプで暮らす少女たちが、学びの体験や将来の夢などについて語るエピソードもある。

2020年のはじめには、世界経済フォーラムの「リスキリング革命プラットフォーム(The Reskilling Revolution Platform)」が立ち上げられた。テクノロジーの発展によって仕事を失う人々に、新しいスキルの習得機会を作る取り組みだ。iamtheCODEは共同設立メンバーになっており、2030年までに10億人がスキルを習得できるようにする。

ウェルビーイングは学びを支える基礎となる

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iamtheCODEは国連でもプレゼンテーションを行っている。

学ぶことが可能になるのは、健康な心身があってのこと。iamtheCODEはこれらをサポートする取り組みも行っている。

iamtheFOODというプログラムでは、若い女性が栄養バランスについて学べるよう支援。また非常に重要であるにもかかわらず、タブー視されることが多い、心の問題について話し合うワークショップやイベントなどの場も設けている。

前向きになるためには、感じていることを言葉にすることが大切です。新型コロナウイルスの流行で、人と直接会って話す機会がなくなりました。今後、メンタルヘルスに関する問題がさらに増えるでしょう。危機に対応するためには、デジタルツールを使って、女性の心の健康を守る必要があります」(ジャム氏)

心の交流を重視するメンタープログラム

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さまざまな分野の専門家と若者たちを繋ぐメンタリングも、重要な活動のひとつだ。仕事に役立つ知識を授けるだけでなく、思いやりと共感、そして優しさに基づいた交流を目指しているという。人間同士の交流なので時には衝突もあるかもしれない。それでも愛情深く、気に掛けてくれる人が少女たちには必要だと、ジャム氏はいう。

「私が若い頃にはそれがありませんでした。手を握って励ましてくれたり、気にかけて電話をくれる人もいなかった。間違いを正してくれる人もいませんでした。こうした心の交流にも投資が必要だと考えています」(ジャム氏)

ジャム氏はトークの終わりで、参加者に呼びかけた。

「コロナ危機のいま、誰もが苦労を強いられています。困難に直面し、時には自信を失うこともあると思います。私もそうです。でも、私には自分自身よりも大きな目標があります。多くの人生を変えられるよう、一緒に働きましょう。iamtheCODEのウェブサイトを訪れ、力になってください。チームの一員として活動しましょう」(ジャム氏)

明日は今日よりも良くなると思って前に進む

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MASHING UPコンテンツプロデューサー 中村 寛子

この後、MASHING UPでコンテンツ・プロデューサーを務める中村寛子が、ジャム氏にショート・インタビューを行った。最初の問いは、逆境を乗り越え、未来を切り開くためのレジリエンスをどのように鍛えたのかということだ。

「私には他に選択肢がなかったのだと思います。前に進むしか道はありませんでした。今でも同じ気持ちで、強くあろうとしています。継続して行動し、決して諦めません。やってきた困難は必ず去ります。時には心が折れるようなこともありますが、明日は今日よりも良くなると思って、前に進むことにしています」(ジャム氏)

次の質問は、今も新しいプログラミング言語を学び続けたり、新たなプロジェクトを次々と立ち上げたりしているジャム氏のバイタリティについて。挑戦し続ける気持ちはどこからくるのだろうか?

「まだ仕事が途中だと思っているからです。確かに昔に比べて社会は良くなっています。私がここにいること自体、進歩といえます。ですが、大勢の若者が人種差別や宗教やLGBTQの問題を抱え、社会に受け入れられずに苦しんでいます。仕事を得るスキルがなく働く機会もなく、苦境に立たされています。気候変動や環境問題など、ついつい気づかないふりをしてしまいます。ですが、これらの問題に政策レベルでも個々人でも取り組まなければなりません」(ジャム氏)

重要なのは社会資本。つながることで互いに力になろう

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困難な環境のなか、あるいは心の問題を抱えながら、努力を続けるのは難しい場合も多いのではないか。そんな少女たちをどうエンパワーしているのか? 中村の質問に対し、ジャム氏は次のように答えた。

「私たちは少女たちをエンパワーするというよりは、ツールを与えているのです。個々人は自分自身で行動できると信じています。世界中の若い人や女性に足りないのは、導いてくれる人です。多くの人には社会資本がありません。

iamtheCODEでやろうとしていることは、教育活動だけではありません。自分は地球に生まれるべくして生まれた大切な存在だと知ってもらいたい。これがないと学ぶことはできません。このことを踏まえカリキュラムを考えました。生きることに意欲的で、友人がいて、愛されていることを知っている。メンターに連絡ができ、お金に困ったときは助けてもらえる。必要なスキルがあり、どこでも働くことができる。これらはすべて心の健康を助けてくれます。このどれかが欠けていたら、やるべきことができません」(ジャム氏)

人類は互いに奪い合ったり、消費するばかりではなく、もっとつながるべきだとジャム氏はいう。

何かを手に入れたら、それをまた別の人に与えましょう。そうすれば影響がどんどん広がり、世界がより良いものになるでしょう」(ジャム氏)

少数の人が富や知識を独占する社会をみんなで変える。そんな揺るぎない意志が、ジャム氏の言葉から伝わってきた。

MASHING UPカンファレンス Vol.4

「女の子」にもSTEM教育を。貧困とギャップを超えるアクション
マリエム・ジャム (iamtheCODE 創設者)、中村 寛子 (MASHING UPコンテンツプロデューサー)

このトピックとかかわりのあるSDGsゴールは?

SDGs ゴール4、5、8、9、13

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野澤朋代
フォトグラファー、翻訳者、ライター。趣味は散歩と語学学習。

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