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Conference:MASHING UP vol.4

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混ぜて終わりではない。大企業のエグゼクティブが語る「ダイバーシティ推進」

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コロナ禍によって多くの企業が戦略の見直しを迫られる今、イノベーションを生み出す土壌として「ダイバーシティ推進」の動きが加速している。社員それぞれが能力を発揮し、組織が成長し続けるために、大企業ではどのような取り組みが実践されているのだろうか。

2020年11月26日の「MASHING UP vol.4」では、「ダイバーシティと大企業、WELLな組織論」と題し、大企業で多様な人材が活躍する組織づくりを進めるリーダーたちによるトークセッションを開催。登壇者は、アドビ株式会社 マーケティング本部 バイスプレジデントの秋田夏実氏楽天株式会社の副社長執行役員 兼 CROを務める有馬誠氏。さらにモデレーターとして、多様な生き方・働き方を実現する人材エージェント企業 Warisの共同代表 田中美和氏を招き、今、まさに見習うべきダイバーシティの取り組みについて語ってもらった。

コロナ禍で明らかになったダイバーシティの重要性

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アドビ株式会社 マーケティング本部 バイスプレジデント 秋田夏実氏。同社がダイバーシティ&インクルージョンをお題目ではなく、真剣に取り組んでいる企業だと感じている、と話す。

アドビで日本でのマーケティング活動や広報活動を統括する秋田氏は、ダイバーシティ&インクルージョンの必要性についてこう語った。

マーケティング的な観点からも、多様な視点を持つ人材を採用し、ダイバーシティを推進するのは重要なことです。例えば、企業が社会に対してよかれと思って発信したメッセージやキャンペーンが、批判を受けて炎上することがありますが、多角的な視点で検証できる組織であれば、それも未然に防げるのだと思います」(秋田氏)

さらに、 「ただ多様な人材を採用するだけではなく、ジェンダーや価値観、経験の異なる人たちが、あらゆる視点で自由に意見を交わす企業風土を作ることが大切。そうすることで組織の中の死角をなくすことができます」と話す。

有馬氏はGoogleやYahoo! など外資企業に勤務した経験から、「日本はまだまだダイバーシティ&インクルージョンが進んでいないと感じる」と指摘。

「しかし、今回のコロナ禍では、楽天を含め多くの企業が働き方を多様化せざるを得ませんでした。そして、例えばリモートワークを実施してみたら、会社に来なくても仕事はできるということが誰の目から見ても明らかになった。今こそ、日本の企業が変わる非常に大きなチャンスだと思います」(有馬氏)

制度を定着させるためにできること

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楽天株式会社 副社長執行役員 兼 CRO 有馬誠氏。ダイバーシティ推進のために、制度を作るのも、運用するのも、ある程度トップダウンで行う必要があると指摘する。

「ダイバーシティの重要性を理解して、さまざまな制度を導入しても、それを運用することに壁を感じている企業も多いですよね」と田中氏。

制度を作るだけでなく、それを上の立場にいる人間が利用したり、きちんと運用されているかを上司がしっかりモニターすることが大切だと思います。楽天では、育休やフレックスが利用されているかチェックして、実行されていないところがあれば発表します。Googleでは、あらゆる差別は撤廃されるべきだという考え方が会社の哲学にもうたわれていて、専任の副社長が各国を回って教育する。そういうことを頻繁に行い、そこに大きな予算もつく。本気度が伺えますよね」(有馬氏)

ダイバーシティは「混ぜて終わり」ではない

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Waris 共同代表 田中美和氏。多様な働き方、生き方を実現するために、「コロナは大きなきっかけになるのでは」という。

日本では2020年までに女性リーダーを3割に、という政府目標が先送りとなった。「これに関しては、何がネックになっているのでしょうか」と田中氏。

秋田氏は、「短期的に女性役員を増やしていく施策としては、たとえば社外から優れた人材を登用するとか、社内から若手や隠れた逸材を抜擢する方法があります」と話した上でこう指摘する。

「ただし、抜擢されたのが一人だけだと、マイノリティになってしまい言いたいことを口に出せなくなります。周りから嫉妬されたり、お手並み拝見というふうに遠巻きに見られてしまったりするからです。それでは実力を発揮しようがありません。まず抜擢する人材を複数人に増やすこと。そして、抜擢したからにはきちんとメンターやスポンサーをつけて、守り、育てることが重要です」(秋田氏)

有馬氏は、ここでもトップダウンが有効と話す。

「日本の場合は、法律になると守るという習慣がある。たとえば、東証が社外役員の女性比率をあげないといけないということを打ち出しているように、目標ではなく、強制として打ち出す方法もあります。エグゼクティブに女性がいなければいけないのは、ビジネスではもはや当然。男性が作った制度は、男性的なものにしかならないからです。世界を見ても、マーケティングやPR(広報業務)、HR(管理部門)などはほとんど女性がトップ。3割女性役員にしないと、上場廃止くらいのことを言ってもいいほど価値のあることだと思います」(有馬氏)

ダイバーシティを支える3つの柱

では今、目指すべきWELLな組織とはどんな組織なのだろうか。アドビでの組織のあり方を、秋田氏が紹介してくれた。

「まず、WELLな組織になるためのベースがダイバーシティです。多様な人材と視点、そして彼らを輝かせるための多彩な働き方が不可欠ですね。私のチームでは男女比は1対1。得意な領域や国籍もさまざまで、海外から日本の仕事をしているメンバーもいます」(秋田氏)

さらに、同社の組織はダイバーシティの上に三つの柱があることで成り立っていると解説する。

「1つはコミュニケーション/コンパッション。心理的安全性を確保して自由に発言できる環境作りが必要です。2つ目はエデュケーション。自社の製品やサービスに愛情を持つため、体験し、学ぶ機会を増やしています。最後は、アプリシエーション、感謝です。華々しい成果は、一緒に取り組んでくれる仲間がいて始めて得られるということを理解し、お互いに感謝をすることでチームの結束が強まります。この3つの柱が渾然一体となることで社員のエンゲージメントが高い組織になり、会社のビジネスが自分事になって、コミットメントレベルが高まるのです」(秋田氏)

この「3つの柱」に対し、「確かに、Googleもその3つがよくできていました」と有馬氏。

「コミュニケーションの面でいうと、情報共有はトップ自らが毎週金曜に実行していました。また、仕事全体の20%は本業ではないことをやってもいいといわれていたので、組織を超えたプロジェクトや教育セッションがたくさんありました。3つめのアプリシエーションでは、他部署の人に手伝ってもらったときに、その人の上司に感謝状が届けられる。そして上司に評価されれば、本人にボーナスが加算されるという制度がありました。会社の風土を作るための仕掛けとして、同じような手法を取り入れている会社は海外には多いと思います」(有馬氏)

トップやミドルマネジメント層を動かすには

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セッション後半の質疑応答では、「経営者の価値観が旧来型で変わらない場合、社員としてはどうしたらいいでしょうか」という問いかけに対し、「社長と直接話ができませんか?」と有馬氏。

「会社によっては、社長はフレキシブルだけど、幹部が壁を作っている場合もあります。ひとりで行うのが難しければ、何人かと徒党を組んで経営者の耳にしっかり届けることですね」(有馬氏)

ミドルマネジメント層の動かし方のコツがあれば教えてください」という質問には、「変革を嫌うミドルマネジメント層も多いので、その中でも志のある人を見極めたり、直接社長に訴えかけてトップダウンで動かすように働きかける必要があるでしょうね」と秋田氏。 また、動いてくれそうなミドルマネジメント層を見極めたときには、「まずは相手に尊敬を伝え、変革のフックになりそうな話題をあげ、提案をする。こういう順番で説得すると、聞いてくれやすいと思いますよ」と、有馬氏が具体的な説得術も披露してくれた。

最後に、「まだまだコロナで大変な状況は続きますが、ピンチをチャンスに、パッションのある人が男女問わず活躍できる社会になると良いなと思います」と秋田氏。

有馬氏は、「コロナによってダイバーシティが進むのは確実です。そのときに、今まであきらめていた人もあきらめないで、ぜひご自身の制約を外していっていただきたいと思います」と締めくくった。

大企業ではトップがダイバーシティの重要性を理解し、強いリーダーシップをもってトップダウンで実践している。だが今後は、ミドルマネジメント層や一社員であっても、「トップが動かないから」と見て見ぬふりはできなくなっていくだろう。リーダーから社員まで、それぞれに明日からの一歩につながる内容となった。

MASHING UPカンファレンス Vol.4

ダイバーシティと大企業、WELLな組織論
秋田夏実氏(アドビ株式会社 マーケティング本部 バイスプレジデント)、有馬誠氏(楽天株式会社 副社長執行役員 兼 CRO)、田中美和氏( Waris 共同代表)

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中島理恵
ライター。神戸大学国際文化学部卒業。イギリス留学中にアフリカの貧困問題についての報道記事に感銘を受け、ライターの道を目指す。出版社勤務を経て独立し、ライフスタイル、ビジネス、環境、国際問題など幅広いジャンルで執筆、編集を手がける。

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