1. Home
  2. Wellness
  3. HSP(繊細さん)は5人に1人。「自分を大切にできない」という惑星から脱出しよう

Event

HSP(繊細さん)は5人に1人。「自分を大切にできない」という惑星から脱出しよう

top-1

仕事やプライベートで行き詰まりを感じた時、自分を大切にできるかどうかは、Well-beingに大きく関わってくる。しかし、そもそも「自分を大切にする」とはどういうこと? そしてその状態を維持するには、どうしたらいいのだろうか?

2020年11月26日の「MASHING UPカンファレンスvol.4」では、「自分を大切にするってどういうこと?」と題したトークセッションを開催。登壇者は、骨形成不全症という骨の折れやすい障害を持ちながら、2児の母親でもあるコラムニストの伊是名夏子氏、周囲の人や刺激に敏感な気質であるHSP(Highly Sensitive Person)専門カウンセラーの武田友紀氏fermata株式会社 CCOの中村寛子氏をモデレーターに、自身の体験や知識を交えながら、自分を大切にする方法やその意味について語り合った。

おとなしい人だけが、HSP(繊細さん)ではない

yuki_takeda

HSP専門カウンセラーとして、個人向けの人間関係カウンセリングや適職診断を行っている武田友紀氏。

まず、自分を大切にできない理由は何だろう。そのひとつは、周りの人の反応を気にするあまり、自分の感情や思考を後回しにしてしまうからではないだろうか。それは、「責任感」や「空気が読める」「協調性がある」といった言葉で置き換えられることもある。また、周りの人の思いや行動に敏感なHSPという気質を持つ人も、自分より他者を優先する傾向にある。

武田氏は、もともと会社員で商品開発の仕事をしていたが、忙しくて真夜中まで働く日々が続いていたという。

「長時間労働で体調も悪くなっていましたが、忙しい職場だからこそチームの仲が良く、同僚たちもみな頑張っているからと働き続けました。そんなある日、涙が止まらなくなり、会社に行けなくなってしまった。自分がHSPだとわかったのはその後です」(武田氏)

HSPとは、「周りの人が気づかない、小さなことにもよく気がつく繊細な人」だと武田氏は言う。1996年にアメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン氏によって提唱された気質であり、武田氏はHSPを「繊細さん」と呼んでいる。

「HSPには、深く考える、過剰に刺激を受けやすい、感情反応が強く共感力が高い、ささいな刺激を察知するという4つの性質があります。たとえば部署でクッキーのお土産をもらったら、何も考えずに食べる人がいる一方で、『あの渦巻き模様かわいいな』『クッキーは日持ちするから休みの人の机にも置いて置こう』『Aさんはチョコ味が好きだから残しておこう』とか、いろんなことをワッと考えるのがHSPの人。そうしたことが仕事でも日常でも常に起こり、感情もよく動くので、人より疲れやすい傾向にあります」(武田氏)

一般的には「真面目すぎる」「考えすぎる」と言われるタイプで、5人に1人の割合で存在するという。ちなみにHSPは、病気や発達障害ではなく、生まれ持った気質だ。おとなしくてあまり自分の意見を言わない人だと考えられがちだが、「芸能人ではロンドンブーツ1号2号の田村淳さん、光浦靖子さん、ベッキーさん、要潤さんなどもご自身でHSPだと公表されています」と武田氏は指摘する。

HSPについては、エレイン・N・アーロン氏によるセルフテストも公表されているので、気になる人はチェックしてみてほしい。

「行き詰まり」が自分を大切にする最初の一歩

hiroko_nakamura

MASHING UPコンテンツプロデューサーを務める、fermata株式会社 CCO 中村寛子氏。

HSPかどうかは別として、その特徴が部分的に当てはまるという人は多いだろう。中村氏も、「私自身、すごく当てはまるところが多いのですが、なかなか受け止められなくて。一時は考え込みすぎて、夜中に起きて衝動的にパソコンを開くのですが、指が震えて打てない。頭では理性を保とうとしているけれど、体がやめろといっているような感覚でした」と振り返る。

そういう行き詰まりを感じたときが、実は自分を大切にするための最初の一歩となるのです」と武田氏。

「人は赤ん坊として生まれてから、家庭や学校でこうしたらうまくいく、周りの人に喜んでもらえるということを学びながら成長します。特に日本では、自分でできることはいいことで、周囲の人のニーズを満たしたり、優しくしたりと、自分が我慢して周りのために頑張ることが良しとされやすい。自分よりも相手を優先する状態で社会に出ると、人間関係でトラブルに巻き込まれたり、無理がたたって心身に不調が出るといった行き詰まりに至りやすいのです」(武田氏)

限界に至ったら、人に頼ったほうがいい。武田氏のカウンセリングでは、行き詰まった背景にある、「なぜ自分より周りを優先するようになったのか」をゆっくりと紐解き、「本当は、自分はどうしたいか」という本音に気づいて、自分の心を守りながら少しずつ自分がやりたいことをする方法を提唱している。

「頼る」ことは「人と繋がる」こと

natsuko_izena

骨形成不全症という骨の折れやすい障害を持ちながら、2児を育てるコラムニストの伊是名夏子氏。

伊是名氏の場合、幼い頃から入退院を繰り返したことで一種の「行き詰まり」を体験した。

「骨折をして入院すると、一気に社会から遮断されるのです。退院後も自宅で寝たきりになるたびに、絶望感を味わいました。それで、これはもう、自分から『助けて』と言われないとダメだな、と──。ただし、一人に頼ると重くなってしまうから、親や家族だけではなくて、いろんな人と繋がっていようと常々思うようにしています。例えば、SNSでも、バッシングを受けることもあるけれど、その一方で応援してくれる人もいる。そうやって一人でも味方を増やすことでネガティブにならずに済んでいます」(伊是名氏)

これに対し、「人に頼るとき、『迷惑かけたら嫌だな』と考えることはないのですか?」という中村氏の問いかけには、「しょっちゅうあります。親友と旅行しようとして、『階段で抱っこしないといけないのが不安だから』と断られて落ち込んだこともあります」と伊是名氏。

「でもそういうときは、もっと設備や制度が充実していればいいのに、より多くの人に助けを借りることができたらいいのにと考えるようにしていて、私のことが嫌いだから断わられたのではないと思うようにしています。頼ることは気を遣うけど、人を繋ぐものでもある。誰でもいいわけではなくて、その人と一緒にいたいから頼っているわけです。
また電車で高齢者に席を譲ろうと思っても、嫌な顔をされたらどうしようと思って助けるのをためらう人もいますよね。でも、まずは声をかけてみてほしいのです。断られたとしてもそれはあなたの責任ではなくて、その人に何か事情があるから。例えば、すぐに降りるから立っていたい、筋トレの一環である、席を譲られるとプライドが傷つくなど、あなたとは関係のない理由があったからだと考えてほしい」(伊是名氏)

自分を大切にすることで、伊是名氏はヘルパーなど人の手を頼りながら、出産や育児を続けることができている。その前向きな生き方によって、多くの人の共感も集めている。

「嫌なことは嫌」と認めよう

誰もが伊是名氏ほどの経験を持つわけではない。では、「今の自分」から、「自分を大切にする自分」に変わるためには、どうしたらいいのだろうか。

「自分を大切にする生き方に舵を切るには、『もうこんなのは嫌だ』と自分の現状をとことん嫌になることと、『もっと自分らしく生きるんだ』という強い決意が必要です。そのときには、惑星から脱出するくらい、ものすごくエンジンをふかさないといけません。『こんなに忙しいのはもう嫌だ』と思って転職しても、また忙しい生活に戻ってしまった、というのはよくある話」(武田氏)

無理を続ける根本には、幼い頃から安心感を持てず、「成果を出すことで居場所を確保したい」といった思いがある、と武田氏は指摘する。

「自分を大切にできず、無理をしていることに気づくにはどうしたらいいのでしょうか」という中村氏からの質問には、「心と身体はつながっていますから、身体の状態をみるといいですね。これは精神科医の泉谷閑示先生の説ですが、心が嫌がっているのに、頭が『そんなことを言うな』と蓋をしてしまうと、心の声が身体に症状としてでてくるんです」と武田氏は言う。

「そのとき、特に繊細さんは嫌なことの中にもいいことみつけようとして、そこに居続けてしまうことがあります。『肩が凝ってしかたないけど、今の仕事は恵まれているから……』と考えるのではなく、嫌なところをちゃんと見ましょう。それを認めることで、ではどうしたらいいのかという次のステップに進めるのです」(武田氏)

まずは感性を受け止めてあげること

Session

セッション後半の質疑応答では、「周りに繊細さんがいる場合、どうやって話を聞いてあげたらいいですか」という質問に対し、「無理に聞き出そうとせずに、まずは相手の言葉に“そっか、そうなんだね”と耳を傾けることです」と武田氏。これには、「相手が悩みを相談してくれないからといって、信頼されていないと思わないようにしたいですね。今がそのタイミングではないとか、他に事情がある場合もありますから」と伊是名氏も共感した。
「また、自分にとって自然な気づきを『なんでそんなこと気にするの』『神経質』などと否定されると、どんどん自分の感覚が信じられなくなってしまい、判断基準を人に委ねざるをえなくなってしまう。まわりの人とは違っても、自分が感じていることは、自分にとって本当のことです。自分の感覚を大事にしてあげてほしいですね」(武田氏)

「自分を大切にするために実践していることは?」という質問には、「寝る前に、『今日も意外と良くやったんじゃない?』と自分に言い聞かせて寝るようにしています。完全に肯定するより、ほどほどに自分を認めてあげたほうが、しっくりくるんですよね」と伊是名氏。

「繊細さん」でも、そうでなくても、まずは自分自身の感性を受け止め、嫌なことは嫌だと認め、人に頼り、ひとりでも味方を増やすこと。それを繰り返すことで、少しずつ自分を大切にする自分へと変わっていくことができる。道のりは長いかもしれないが、その先にはきっと、今日よりも明るい明日が待っているはずだ。

MASHING UPカンファレンス Vol.4

自分を大切にするってどういうこと?
伊是名夏子(コラムニスト)、武田友紀(HSP専門カウンセラー)、中村寛子(fermata株式会社 CCO)

このトピックとかかわりのあるSDGsゴールは?

SDGs_

こちらもおすすめ

ひそかに自己変革がコロナ禍のマイブーム?「オンライン」がキーワードに

「あなたが2021年を充実させるためにはじめたこと、はじめたいこと」を読者にアンケート調査したところ、約500名から前向きなパワーあふれる回答が寄せ...

https://www.mashingup.jp/2021/01/228379intel.html

魅力ある地方と都市部をつなぐ。 おてつたびが描くサステナブルな未来社会

人手不足に悩む地域と、都市部の若者をつなぐサービス、「おてつたび」を立ち上げた永岡里菜氏が、事業を通して実現したいビジョンや、描くサステナブルな未来...

https://www.mashingup.jp/2021/01/228105_hp_interview03.html

  • facebook
  • twitter
  • hatena
中島理恵
ライター。神戸大学国際文化学部卒業。イギリス留学中にアフリカの貧困問題についての報道記事に感銘を受け、ライターの道を目指す。出版社勤務を経て独立し、ライフスタイル、ビジネス、環境、国際問題など幅広いジャンルで執筆、編集を手がける。

この記事に関連する人

    おすすめ

    powered byCXENSE

    メールマガジンにご登録いただくと、

    MASHING UPとGlossy Japanの新着記事や最新のイベント情報をお送りします。

    また、登録者限定の情報やイベントや座談会などの先行予約のチャンスも。

    MASHING UPとGlossy Japanの最新情報をご希望の方はぜひご登録ください。