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Conference:MASHING UP vol.4

自分のトリセツは自分でしか描けない。自己肯定から始める「ボディポジティブ」

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BMIが低すぎるモデルの起用を禁じたフランスの法律は記憶に新しい。太っているか、痩せているか。そんな体型や見た目における“美の基準”を見直し、ありのままの自分を愛そうという「ボディポジティブ」のムーブメントは、以前よりあったものの、2012年ぐらいから欧米を中心に急速な広がりを見せている。

世界と比較しても“痩せ”が問題視されている日本人女性にとって「ボディポジティブ」とは。また、そのムーブメントは日本ではどのように受け入れられているのだろうか

「MASHING UPカンファレンスvol.4」のセッション「わたしのトリセツ – ボディポジティブ編 by Glossy Japan」では、モデレーターに中村寛子氏( Fermate株式会社CCO )、そして井土亜梨沙氏(Forbes JAPAN コミュニティプロデューサー)山本奈衣瑠氏(モデル、フリーマガジン『EA magazine』の編集長)という異なる視点を持つ3人が思いを持ち寄った。

他者と比較するのではなく、自分を肯定できる新しい価値観

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Forbes JAPAN コミュニティプロデューサー 井土亜梨沙氏

前職の『ハフポスト日本版』時代から女性たちの声を拾い続けてきた井土氏によれば、数年前までは日本のメディアでも「ボディポジティブ」はあまり取り上げられておらず、せいぜい個人のブログが検索にひっかかる程度。最近は女性誌やテレビでも大きく取り上げられることもあり、「大変うれしく思っている」と語る。

私が考えるボディポジティブとは“自分を自由にしてくれるもの”キーとなるのは“自分”で、他者と比較するのではなく『こういう自分でもいいんだ』と自分を肯定する素晴らしい価値観だと思います」(井土さん)

また、山本氏はショーに出演するモデルたちの個性が多様化していることを肌で感じていたという。

「一時は外国人やハーフしか起用されないということもありましたが、ここ数年は少しふくよかなモデルさんや個性的なモデルさんがステージに上がったりと、ムーブメントによる変化はすごく感じていました」(山本氏)

画一的な美の基準を求められ、生きづらさを感じてきた女性たち

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fermata株式会社 CCO 中村寛子氏

体型や見た目だけではなく、生まれつきのあざやキズ、体毛などもボディポジティブの対象として捉えられるようになるなかで、「ボディポジティブ=女性に対する言葉というイメージが一向に拭えない」と中村氏。

社会的に画一的な美の基準を求められがちなのは女性で、外見のプレッシャーは間違いなく女性のほうが大きいと思います。たとえば、海外の映画祭で男性の俳優には出演作のことを聞くのに、女優はファッションなどの見た目に注目されがち。実際、摂食障害に悩むのも女性のほうが圧倒的に多いといいます。それだけ女性が見た目という点で生きづらさを感じているということだと思います」(井土氏)

しかし、ここ1年のライフスタイルやワークスタイルの変化が、男性のコンプレックスを増幅させているとか。

「オンラインミーティングが増えて、画面に映る自分を見る機会が増えましたよね。『自分はこういうふうに見えていたんだ』という現実に突き付けられるからなのか、メンズコスメがすごく売れているそうです。女性が感じていたプレッシャーを同じように男性も感じることになるのは、それはそれで悲しい現実ではありますよね」(井土氏)

そんななか、男性のマイノリティへの価値観も変わってきていると山本氏。たとえばメイクのこと。

「メイクをしているというだけでゲイじゃないかとか、マイノリティに見られたりすることもありましたが、化粧品のブランドが男性モデルを起用したり男の子のメイクも普通になったりしていますよね。自分をきれいにしたい、それが心地いい、楽しい。それを周りも好意的に見ている。少なくともファッションの現場ではそれが普通になってきている感じはありますね」(山本氏)

コンプレックスとうまくつきあうことから始めよう

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モデル、フリーマガジン『EA magazine』の編集長 山本奈衣瑠氏

登壇者の話を聞いていると、日本でも順調に高まっていると感じさせる「ボディポジティブ」のムーブメント。しかし、セッション中に視聴者にとったアンケートでは、67%が「ボディポジティブという動きが感じられない」と回答。手放しに「浸透している」とは言えない結果だ。

また、「他人の目が気になる」と回答した人は91%。「ボディポジティブに賛同はします。ありのままでありたいとは思うけど、周りにどう思われているか、不安になることも事実」といった内容のコメントも多く寄せられた。

確かに「自分は自分」と思えたとしても、社会で生きていく限り人の目を気にしないでいられるかといえばそうとは言いきれないし、長年抱えて生きてきたコンプレックスを受け入れることは容易ではない。そんなコンプレックスとうまく付き合う方法にも話は及んだ。

「見た目でもいい、性格でもいいから、自分の好きなところを、誰かの評価ではなく、自分自身で見つけることを大切にしています。たとえば“帰り道にふと感じたにおいが好き。それを好きって感じる自分が好き”という感じです(笑)。小さなことかもしれないけれど、そうやって小さな自己肯定を重ねていくことは大切だと思います」(山本氏)

比較するのは他人とではなく、自分

一方、「私は自分と会話するのが苦手で……」というのが井土氏。鏡の前で「かわいいよ」「大好きだよ」と自分をほめることを習慣にしているという知り合いを真似てはみたものの、しっくりこなかったと話す。

「そこで考えたのが“人にほめられたら、その言葉を受け入れてみよう”ということ。せっかくほめてもらっても、コンプレックスが先に立ち、“いやいや、そんなことないです”ととっさに否定してしまっていたのですが、そうやって繰り返すことが大きな自己否定につながると気づきました。ほめ言葉を受け入れる。はじめは少し恥ずかしいですが、自分を認めることもでき、相手に感謝もできるのでおすすめです」(井土氏)

さらに井土氏は他人と比較するのではなく、自分と比較することの大切さを強調。新しいことにチャレンジすることもとても有意義だと語る。

「小さいことで言えば、今までつけたことがなかったような色のリップをつけてみる。大きいところで言えば、新しい趣味を見つけてみる。『こんな色も似合う』『趣味に夢中になっている自分もいいじゃん』というふうに、自分の中に新しい発見をしていきたいですね。つねに自分と比較するようにすれば、自分がアップデートされていくし、自己肯定につながると思います」(井土氏)

視聴者からの意見も活発に寄せられ、多いに盛り上がった本セッション。タイトルに掲げた「わたしのトリセツ」を作成できるのは自分自身。どうすればコンプレックスを受け入れて自分を好きでいられるのか、どうすれば心地良く自分らしく生きられるのかをあらためて考える大きなヒントとなった。

MASHING UPカンファレンス Vol.4

わたしのトリセツ – ボディポジティブ編 by Glossy Japan
井土 亜梨沙(Forbes JAPAN コミュニティプロデューサー)、山本 奈衣瑠(モデル、フリーマガジン『EA magazine』編集長)、中村 寛子(fermata株式会社 CCO)

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大森りえ

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