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- クリーンエネルギーが主流に? 脱炭素社会を目指して「仮想発電所」が誕生
Image via Shutterstock
2020年10月、政府が掲げた「2050年までにCO₂排出量ゼロ」という目標。従来の低炭素ではなく、脱炭素を目指して、環境問題に急ピッチで取り組んでいくことが発表された。クリーンエネルギー100%運営を宣言する企業が国際的に増加している今、近いうちに再生可能エネルギーが主力電源になる時代も到来しそうだ。
株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ(以下、アイグリッド)は、2021年1月、デジタル技術を活用して再生可能エネルギーを運用する「仮想発電所 デジタル推進プロジェクト」を発足した。彼らが取り組む仮想発電所とはいったい何か? 2050年脱炭素の目標に、どのように寄与するのだろうか?
再生可能エネルギーは配給が不安定。課題を解決するには…
株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ 常務取締役 秋田智一氏
再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せずに電力を生産できることから、今、注目を浴びている。しかし、さらなる普及のためにはクリアしなくてはならない課題がある。特にクリーンエネルギーとして注目されている太陽光発電は、発電された電力の全量が「送電網」に直接送電されるため、送電網キャパシティを圧迫してしまい、再生できる電力量に限界がある。また、太陽光発電は、気候や季節によって発電量が左右されるため、供給が不安定なところも難点だ。
これらの課題に取り組んだのが、アイグリッドだ。アイグリッドは、「エネルギーを減らす・エネルギーを創る・エネルギーを繋ぐ・エネルギーを活かす」サービスをワンストップで提供し、人、企業、社会、地球を「生き生きとさせる活力(ニュー・シナジー)」を作り出していくことをミッションに掲げている。
2017年6月より、オフグリッド(完全自家消費太陽光)電力供給サービスを開始。電力の自給自足を可能にし、主にスーパーマーケットを中心に、日本最大級の設置実績を持つ。これにより、施設で発電された電力は同じ施設で使用されるため、送電網のキャパシティを圧迫するという問題を解決することができる。
さらに、2021年1月に発足した「仮想発電所 デジタル推進プロジェクト」では、アイグリッドが発電所の役割を担い、分散電源とAI・IoTなどの先端技術を利用し、太陽光発電の余剰電力を有効活用していく。
たとえば施設で発電される電力が余った時、調達電力量と供給電力量を調整して、電力を必要としている場所へ、安定的・計画的な電力供給が可能になる。これにより、電力の循環が最適化され、気候や季節にかかわらず、安定して電力を供給することができる。
余剰電力が脱炭素化へのカギに
株式会社アイ・グリッド・ラボ 取締役CTO 岩崎哲氏
自家消費型太陽光発電、すなわち分散電源の普及は、電力コスト高騰への対応、災害への対応の観点からも極めて重要だ。電力コストの高騰が予想される中、使用電力の一部を安価な太陽光発電で対応することで、系統電力使用量を削減することができる。
また、様々な施設が発電所となり、電源が分散されることによって、一極集中型の発電設備に依存している現在の電力環境とは異なり、災害時のバックアップ電源として活用できる。
さらに「仮想発電所 デジタル推進プロジェクト」が発展し、余剰電力循環モデルが進んでいくと、コミュニティ全体として脱炭素化の実現に貢献できる。
EV(電気自動車)給電により、地域における再生可能エネルギー利用の最大化が可能になったり、スーパーマーケットが、家庭の自家消費太陽光余剰電力を購入したり、ポイント連携したりすることで、地域経済・コミュニティの活性化に寄与することができると期待されている。
コミュニティで目指す、CO2排出ゼロの未来
アイグリッドは、自社事業を連携させることで、脱炭素時代の新しい電力プラットフォーム「R・E・A・L New Energy」の構築を構想している。これは、VPPJapanで所有する太陽光発電施設を拠点として、余剰電力をEV充電器や蓄電池に活用するなど、地域内における再生可能エネルギーを最大化し、脱炭素を目指すものだ。
再生可能エネルギー導入先進国の欧州では、2019年制定「欧州グリーンディール」に基づき、2050年カーボンニュートラル実現目標を設定。電力需要・供給側によるバーチャルなコミュニティを構築して、電力を融通して地産地消をする取り組みが進んでいる。
今後の日本における再生可能エネルギー導入の方向性としては、事業用の太陽光パネルが設置できる場所が限られている一方、低価格という利点を生かして、自家消費型モデルでの太陽光発電の普及が期待されている。電力は私達の生活になくてはならないものだからこそ、環境に配慮していてサステナブルなものにしたい。そんな選択を可能にしてくれるアイグリッドのプロジェクトは、脱炭素社会を推し進める大きな後押しとなるだろう。
[ 株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ ] 写真提供:アイ・グリッド・ソリューションズ
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