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Conference:MASHING UP vol.4

サードプレイスに変わるサードタイムの価値。自分らしい働き方を見つけるには?

サードプレイスTOP画

「サードプレイス」とは、オフィスでも自宅でもない、第三の場所。これまで、カフェやコワーキングスペースなどがその役割を担っていたが、2020年その状況は一変。思いがけない出会いやアイデアをもたらす場所としての重要性が再確認されている。

働き方が急速に多様化した今、個人のパフォーマンスを最大化する働き方を「場所」という切り口から考えてみたい。いかにサードプレイスを代替すればよいか、改めてニューノーマルなライフスタイルを議論する必要がある。

2020年11月に開催されたMASHING UPカンファレンスvol.4では、元WeWork Japan副社長広報・渉外統括 日高久美子氏をモデレーターに、株式会社Livit Tokyo代表 岡徳之氏、株式会社LIFULL LivingAnywhere Commons 事業責任者の小池克典氏、パナソニック株式会社 100BANCHオーガナイザー 則武里恵氏を迎え、トークセッションを行った。

失われたことで実感するサードプレイスの重要性

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パナソニック株式会社100BANCHオーガナイザー 則武里恵氏。オンラインがメインの生活になり、場所の変化が自分の気持ちを変えることに繋がっていると痛感したという。

リモートワークが浸透し、世の中の働き方が一変したからこそ、サードプレイスのあり方や意義も変わってくるだろう。今回の登壇者もこの1年、大きな変化を経験したと語る。

則武氏は、若手起業家を支援する施設100BANCHのオーガナイザーとして、実験・活動場所であるプロジェクトスペースの貸与をはじめ、メンタリングやアドバイス、ネットワーキング、PRなどの支援も提供している。交流の場を作ることに尽力してきた則武氏は、コロナ禍で直面した困難に、どう対応しているのだろうか。

「4月から6月まで100BANCHを閉鎖した時は、いかにコミュニティを維持、そして発展させていけばいいのか悩みました。やはり、インプットが減ってしまうということを、スタートアップのメンバーも危惧していた。多様なジャンルのメンバー同士の、何気ない会話からアイデアが得られることがあったが、それが断たれてしまった」(則武氏)

代替手段としてオンラインでのコミュニケーションに移行したが、100BANCHはフィジカルな交流を主軸に設計されたプラットフォーム。いかにオンライン上のコミュニケーションを充実させるかという新たな課題も生まれ、メンバー同士で体操する時間を設けるなど、オンラインアクティビティの設計に注力したという。

日常における余白=サードタイムの必要性

岡さんGoodのコピー

株式会社Livit Tokyo代表 岡徳之氏。セッション後半では、「余白を設けることに、最初は罪悪感を感じることもあるかもしれない。しかし、自分らしい時間が持つことが、仕事の充実にもつながってくるはず」と語った。

サードプレイスが持つ大きなメリットとして、登壇者の口からは何度も「セレンディピティ」というキーワードが飛び交った。意図せず得られる新しい刺激や気付き、素敵な人との出会い、異質な存在との交流から生まれるアイデア──。このようなセレンディピティをコロナ禍でも手に入れるためにおこなっている、具体的な工夫についても語られた。

カンファレンス開催時の2020年11月現在、新型コロナウイルス第2波が猛威を奮っていたオランダ・アムステルダムからリモート登壇した岡氏は、カフェやコワーキングスペースなどのサードプレイスを完全に失っている状況。「今は毎日自宅で働いているのですが、だからこそ、実はサードプレイスが果たしていた役割が大きかったことを痛感した」と語る岡氏は、自宅での過ごし方を大きく変えたという。

「気づいたのは、サードプレイスは目的や意味を持たない、何もしない時間を安心して過ごせる場所だったということ。オフィスだと仕事、家だと家事や育児など、とにかく“やる必要があると、すでに自覚していること”に費やす時間がメイン。タスクは効率的に進むけれど、自分のアンテナを広げるきっかけが、得にくくなった」(岡氏)

そこで岡氏が試行錯誤の結果始めたのが、題して“ヒマなおじさん政策”。勤務時間を週4日の午前中のみに凝縮。それ以外はあえて何もしない時間を設けているという。ともすると、突飛なアイデアに聞こえるこの政策だが、果たしてその意図は。

「空き時間で新規事業を始めたり、読書や学習をしたりしてスキルを磨くなど、そういう選択肢もきっとあった。しかしあえて何もせず、ソファで寝転がってただボーっとする(笑)。そうすると、『やる必要があると、まだ自覚していないこと』に意識が向く。すると、既存事業だけではなく、料理や友人との目的を持たない時間を、もう一度取り戻すことができるように。“サードプレイス的なもの”を、少しでも補完できるようになった」(岡氏)

サードプレイスにおける余白、言うなれば「サードタイム」の重要性を痛感したと語った。

当面の課題は、いかにオンラインでサードタイムを生み出すか

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株式会社LIFULL LivingAnywhere Commons事業責任者 小池克典氏。小池氏のサードタイムは朝の7時から9時まで。 意識して家族や仲間と過ごす時間を設けているという。

一方、小池氏が運営するのは、場所やライフライン、仕事など、あらゆる制約にしばられることなく、好きな場所でやりたいことをしながら暮らす生き方を実践するコミュニティだ。場所を運営する身として、現状をどのように据えているのか。

「オンライン中心だと、隙間時間がなくなり偶然の出会いが作りにくい。そのため、インプットが減ったことにも危機感を覚える」(小池氏)

LivingAnywhere Commonsでは、地域とのコミュニティも提供している。普段の会話の中で、仕事とは関係のない、フラットな関係の人とコミュニケーションをとることは貴重だ。またその場所へ行くまでの移動時間や、会話を生む食事の時間など、リアルな場で得られるセレンディピティの価値は、今後より高まっていくだろう。

これには、モデレーターの日高氏も「前職であるWeWorkにも、人が集うことができるスペースもあり、そこでの会話から生まれるアイデアもあった」と言及し、「余白のアクティビティをオンラインでどのように作っていくのかが課題ですね。オンラインになることで効率も上がったが、『サードプレイス的な時間の使い方』を考えたい」とうなずいた。

新たな働き方を取り入れるチャンスと捉える

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モデレーターを務めた日高久美子氏。これまでサードプレイスを提供していた経験から、今後場所が担う役割の変化について登壇者の意見を深堀りした。

自由な働き方についてはプラスの側面ばかりが強調される傾向があるが、もちろん特有の課題もある。アフターコロナに向けて、自由な働き方のスタンダードを確立させるためには何が必要なのだろうか。

小池氏は、やみくもに行動を起こす目に、まず問いを設定することが重要だと主張。

「そもそもどのような働き方がいいのか、今企業が見つめ直す良いタイミング。従業員にとってより“ウェルビーイングな働き方”を模索した時、企業のあるべき姿が見えてくるのでは」(小池氏)

則武氏は、自由を使いこなすためには、自分のやりたいことを考えるトレーニングが欠かせないと断言した。

「100BANCHでは“WILLを大事に”と言っているのですが、オンラインという誰も律してくれない状況では、自分でプランニングして仕事を進めていく必要がある。そのためには、自分が本当にやりたいことをやった方が、絶対パフォーマンスは上がる。一辺倒になりがちな時間を、意識的に色付けしていくことが大事」(則武氏)

これまで場所によって線引きされていた時間が、ニューノーマルでは溶け合ってきている。サードプレイスやサードタイムを意識し、個人と社会双方が働き方の「余白」を生み出すことが、自分らしさにつながるのだろう。誰もがコロナ以前の社会に戻ることはないと確信している中、改めて自分らしくいられる過ごし方とは? と考えさせられるセッションだった。

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MASHING UPカンファレンス Vol.4

サードプレイスの必要性とこれからの働き方
岡徳之(株式会社Livit Tokyo 代表)、小池克典(株式会社LIFULL Living Anywhere Commons 事業責任者)、則武里恵(パナソニック株式会社 100BANCH オーガナイザー)、日高久美子(MASHING UP コミッティーメンバー)

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写真/中山実華

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吉野潤子
ライター・英語翻訳者。社内資料やニュースなどの翻訳者を経て、最近はWebライターとしても活動中。歴史、読書が好きです。

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