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Conference:MASHING UP vol.4

性のタブーを取り払う方法。自分の言葉でアイデンティティと性を語る

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性とアイデンティティは密接に結びついているものであるにも関わらず、性に関する話題はタブー視されることが多い。個人の持つ多様性を尊重し、誰もが自分らしく過ごせる社会を実現するためには、まず自分を理解すること、そしてそれを自由に表現できる社会のムードが必要だ。

2020年11月26日開催の「MASHING UP カンファレンス vol.4」では、「性のタブーを打ち破り、アイデンティティと向き合うには?」と題したセッションを展開。トランスジェンダー当事者であり、LGBTの子ども・若者支援に関わる「にじーず」代表の遠藤まめた氏、高校時代から性についての発信活動を続けている、性教育プロデューサーの中島梨乃氏、そしてダイバーシティ&インクルージョンを考えるウェブマガジン「cococolor」の編集長を務める電通プロデューサーの半澤絵里奈氏をモデレーターに、性のタブーに対する課題や、自身の性とアイデンティティについて語り合った。

ジェンダーを決めなくても安心できる居場所を

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にじーず代表の遠藤まめた氏。にじーずを通じて、地域の子どもや若者支援団体とのコラボレーションもおこなっている。

遠藤氏が主宰する「にじーず」は、全国各地で23歳までのLGBTや、そうかもしれない人が集まることのできる場を提供している。

「学校や家庭ではLGBTについてオープンに話せない子どもたちも、ここでは何を話しても、誰も否定しないという安心感を持ってもらいたい」と、にじーずに託す思いを語る遠藤氏は、そのために個人の秘密を漏らさない、性別や性のあり方を他の人が勝手に決めつけないといったルールを定めている。

「参加者からは、『人と違ってもいいんだな、と安心した』、『同年代でもさまざまな人がいることを知り、自分がどんな人間かを決定する必要はないと教えられた』といった声が寄せられています」(遠藤氏)

自分の性を既存のカテゴリに当てはめて決めなくても、「自分は自分」でいい。それを実際に体感することで、自分の存在に少しだけ胸を張れるようになったという参加者も多いという。モデレーターの半澤氏も、「カテゴライズしたり、答えがあることが重要なのではなく、自分の中で問いを持つこと、違和感を持つことが大事なこともある」と語った。

中島氏は性教育プロデューサーとして、SNSでの発信や性に関するドラマの監修などをおこなっている。在学中の慶應義塾大学では、タピオカの容器に「性って恥ずかしいことなの?」といったメッセージを貼って販売したり、生理用品を大学の男女トイレに置いたりといった、性に関する啓蒙活動を展開している。

「意図しない妊娠や性感染症、性犯罪や不妊、LGBTQ+に対する偏見。そういったことに無関心であることで、無意識のうちに傷つける人、傷つけられる人を少しでも減らすために活動しています」(中島氏)

「性に多様性がある」という話題自体がタブーなのか

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性教育プロデューサーの中島梨乃氏。「今持っている性の知識や偏見を、改めて考え直して欲しい」と語った。

登壇者が感じている共通の課題である性のタブーだが、 中島氏は「性について話したり、学ぶ機会が少なすぎる。例えば『思春期になると異性に関心を持ち始める』と教科書に書いてあるけれど、実際は関心の有無や持つ対象は人それぞれ」とし、性における多様性が無視され、男か女かの二元論で語られることの多い現状の違和感を指摘した。

また、「性別を聞かれるシーンでも、その目的によって必要とされている情報が異なることがあるが、『性の多様性』自体がタブー視されているので、そこに対する理解が広まっていないと感じる」と、遠藤氏。

例えばトランスジェンダーの人だと、同じ性別に関する情報でも医療行為のために必要なのか、ジェンダーで色分けされたデザインなどを選ぶ際の参考として必要なのかなど、目的によって異なる。性に関する多様性が社会に浸透すれば、それぞれにとって快適な対応が自然なものになるはずだ

「性の言語化」は簡単ではない

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「cococolor」の編集長としてD&Iに関するトピックを多く取り上げてきた半澤絵里奈氏は、1児の母としても性教育に興味を持っているという。

性にはいろいろなタブーがあり、そのタブーはコミュニティごとの文化や、受け取る人によっても異なる点も、性について多くの人が悩みを抱える理由だろう。特に多感な若者を接する時に、気をつけていることがあるという。

「こういうところで性の知識を得たり、相談したりできるんだよ、頼れるところはたくさんあるよ、ということを発信しています。それすら知ることができなくて、ひとりで抱えてしまう人が多いので」(中島氏)

また、「その人自身が感じていることを、どうしたら尊重できるかよく考えます」と言う遠藤氏も、以下のように語った。

一人ひとり違う性のあり方を言語化するのは、とても難しい。自分は何が嫌で、どうしたいのかということで悩む人は少なくない。そんな時は、周りに合わせるのでなく、それぞれ自分のペースで、性のあり方を探ることを勧めています」(遠藤氏)

にじーずでは、学校に行けなくなってしまったメンバーが、他のメンバーが制服を変えて登校していることを聞き、真似してみると学校に行けるようになったというケースもあったという。「子ども同士がコミュニケーションを取り、それを見守ることも大事だと感じています」と遠藤氏は語った。

自分の性とアイデンティティを守るには?

では、性とアイデンティティを守るためにはどうしたらいいのか。中島氏は、「自分は性に関して相談できる相手だということを伝えるようにしています」と言う。

「昔、母親にコンドームが見つかって、すごく怒られたのがショックでした。“いつでも相談してね”と言われていたら、性に対する印象も違っていたし、引きずらなくて済んだと思うのです」(中島氏)

これには、「確かに、性について話すときは、十分な心理的安全性がほしいですよね」と半澤氏も頷く。 そして遠藤氏も、性についてカテゴライズする言葉があると、「自分はどこに所属できるのか」という不安から、ぴったりとくる言葉探しばかりに集中し、さらに混乱してしまうケースがあるとし、実例を挙げた。

「今はLGBTだけじゃなく、性のカテゴリを表す言葉が無限にあります。にじーずにも『自分は◯◯セクシャルです』と自己紹介してくれる子がいても、私たちもその言葉の意味がよくわからないときも。しかし、『友情と恋愛の違いがわからなくて…』など説明されると、すんなりと理解できる場合もある」(遠藤氏)

まずは性についてフランクに話し合い、「性に多様性がある」というタブーを取り払うこと。そうした機会と人の輪を少しずつでも広げていくことが、より多くの人が自分らしくいられる社会の醸成につながるだろう。そして、それは個人がウェルビーイングを保つ上でも、欠かせない視点であるはずだ。

MASHING UPカンファレンス Vol.4

性のタブーを打ち破り、アイデンティティと向き合うには?
遠藤 まめた(にじーず 代表)、中島 梨乃(性教育プロデューサー)、半澤 絵里奈(電通 プロデューサー)

このトピックとかかわりのあるSDGsゴールは?

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中島理恵
ライター。神戸大学国際文化学部卒業。イギリス留学中にアフリカの貧困問題についての報道記事に感銘を受け、ライターの道を目指す。出版社勤務を経て独立し、ライフスタイル、ビジネス、環境、国際問題など幅広いジャンルで執筆、編集を手がける。

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