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- サントリーと東播磨2市2町が連携。「ボトルtoボトルリサイクル」で目指す循環型社会
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日本国内では、回収されたペットボトルの8割以上が資源として有効活用されていることをご存知だろうか?これは諸外国と比較しても非常に高い割合である。しかし、ペットボトルがペットボトル以外の物にリサイクルされた場合、使用後は焼却処分するしか道がないのが現状である。
そんな中、サントリー食品インターナショナル株式会社(以下、サントリー)と、東播磨2市2町(兵庫県高砂市、同加古川市、同加古郡稲美町、同加古郡播磨町)は、地域内での使用済みペットボトルを新たなペットボトルへと再生する「ボトルtoボトル リサイクル事業」に関する協定を国内で初めて締結した。
産官民連携で取り組む、 ペットボトルの永久リサイクル
画像提供:サントリー食品インターナショナル株式会社
全国でサントリーが回収している使用済みペットボトルは年間12万トン(2020)。回収されたペットボトルのリサイクル方法は大きく分けて3つあり、新たなペットボトル、食品トレイ、繊維である。しかし、食品トレイ・繊維は、使用後焼却されるため、リサイクルの輪が途絶えてしまう。
ペットボトルからペットボトルへリサイクルする「ボトルtoボトルリサイクル」なら、半永久的に資源の循環を続けることができ、持続可能な社会に有効な取り組みとなる。そこで、資源循環型社会を目指し、2021年2月3日、サントリーと東播磨2市2町は、産官民連携で「ボトルtoボトル リサイクル事業」を行うことを発表した。
事業締結に至った背景には、環境問題の取り組みに対する共通認識がある。サントリーは、「プラスチック基本方針」を掲げ、2030年までに自社のペットボトルにリサイクル素材もしくは植物由来素材を100%使用し、化石由来原料の新規使用ゼロを目指す。一方で、東播磨2市2町は、廃棄物の適正処理や東播磨の豊かな環境資源の保全に力を入れ 、「循環型社会」実現のために、住民・行政・事業者が三位一体で取り組んでいる。
つくる責任、つかう責任が明確に。ぺットボトルの「地産地消」に期待
画像提供:サントリー食品インターナショナル株式会社
本事業では、家庭から回収したペットボトルを、新しいペットボトルへとリサイクルする。そして、再生されたペットボトルは、サントリー高砂工場で飲料製造に使用し、東播磨エリアに出荷・還元される。つまり、ペットボトルの地産地消が行われ、地域内での資源の循環、ペットボトルの永久リサイクルが可能になるのだ。
持続可能な循環型社会にむけて、各地で様々な取り組みが行われているが、「ボトルtoボトルリサイクル」を複数自治体と企業が連携してに取り組むことは国内初。また、回収・リサイクルされたペットボトルが地域内の飲料工場で製造・地域へ出荷・還元されるのも初めての試みで、今後全国に展開していくことが期待される。
さらに、本提携では、容器包装リサイクル法に基づく、リサイクルをする上での消費者・市町村・事業者の役割・責任分担が明確になる。それぞれの立場の人たちが責任をもってリサイクルを実践し、循環型社会に寄与できるのである。
政府のプラスチック資源循環戦略ワーキングチームのメンバーである工学博士の石川雅紀氏は、この取り組みは日本のリサイクルを一段レベルアップするきっかけになる、と話す。
「最も画期的な点は、サントリー主導で使用済みペットボトルを回収・リサイクルして、再び製品として使用すること。これは、容器包装リサイクル法の定める役割・責任を、最もわかりやすい形で体現している」(石川氏)
さらに、「ボトルtoボトルリサイクル」では、消費されたペットボトルのみを新しいペットボトルとして再生するため、消費者が必要としている量のペットボトルのみが循環でき、無駄な資源を防ぐことができる。石川氏は、産官民連携の「ボトルtoボトルリサイクル」事業は、他の地域でも実施可能であると語った。
サントリー、東播磨地域が目指す、循環型社会への取り組み
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「ボトルtoボトルリサイクル」が普及していくためには、地域との連携が不可欠となる。その鍵となるのが、行政よりも多くのペットボトルを回収しているスーパーマーケット。東播磨地域は、今後、地域内で発生するペットボトルを全て「ボトルtoボトルリサイクル」にするため、スーパーマーケットと連携して、より多くのペットボトルを回収することを計画している。また、東播磨地域を環境先進地として環境に配慮した取り組みを進め、地域活性化を目指す。
サントリーは、2022年までに、自社製品のペットボトルの半数以上に再生ペット素材を使用することを目指している。今回の協定締結により、リサイクルをさらに推進し、循環型社会の実現にむけた地球環境の保全活動に一層取り組むこととなるだろう。
東播磨地域稲美町の古谷町長は、本取り組みについてこう語った。
「自分が使ったものはもう一回自分が使うんだという気持ちになっていただくことで、今まで通りリサイクル・リユースを中心にもう一度見つめ直していただきたい。今回協定を結んだ以上、この2市2町の中で使ったものは2市2町でもう一回使うんだという意識を広めていきたい」(古谷氏)
そして、東播磨県民局長の伊藤氏は、「地域で一体となっての活動・国内初の活動にワクワク感をもって、環境配慮の取り組みをするきっかけとなってほしい」と、地域住民の協力を呼びかけた。地域の住民への具体的なお願いとして、①キャップをとる ラベルを外す②中を軽くすすぐ ③平らに潰す ④分別して回収日に指定の場所へ捨てる 以上の4点が挙げられている。
環境への負荷が大きいとして問題視されているペットボトルだが、一定量のペットボトルが使用され続けることを考えると、「ボトルtoボトルリサイクル」は非常に画期的な取り組みである。持続可能な社会に向けて消費者・市町村・事業者が一丸となって取り組むリサイクル活動を、東播磨地域を起点として今後全国に展開していくことを期待したい。
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