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躊躇せず、行動せよ。気鋭の女性起業家が、起業を目指す学生に送ったメッセージ

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2021年1月12日、「Reshape the World – 女性起業家たちが世界を変える」をテーマとしたオンラインカンファレンス が開催された。主催は、文部科学省における次世代アントレプレナー育成事業の一環である「産官学グローバル連携によるEDGE NEXTプログラム」とお茶の水女子大学。その様子を2回に分けてお届けしたい。

前編は、カンファレンス第一部に行われた、世界的に注目すべき2名の女性起業家によるインスピレーショントーク。また、起業を志す学生たちが描くビジネスプラン発表について。

カルティエが支援する、世界で活躍する2名の女性起業家が登壇

本カンファレンスを特別協賛としてサポートした、ジュエリーメゾン「カルティエ」。女性起業家の支援を目的に2006年にグローバルで展開する国際アントレプレナーシップ プログラム「カルティエ ウーマンズ イニシアチブ(CWI)」を創設。これまでに、合計56か国、240名の有望な女性起業家を認知し、支援を行ってきた。

インスピレーショントークでは、そのCWI 2020年度受賞者から2名が登壇。活躍のフィールドを世界に広げる気鋭の女性社会起業家として、ビジネスを立ち上げるきっかけや実現したい世界に対する思いを語った。

いいアイディアがあればいいわけではない。躊躇せず、行動せよ

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ジョアンヌ・ハワース氏。

一人目、ジョアンヌ・ハワース氏「プラネット・プロテクター・パッケージング」のCEOを務める。オーストラリアにある同社は、生鮮食品等の温度に敏感な商品輸送時に必要となる断熱パッケージを、用途のない羊毛を資材から開発した。

「約6年前、豪州最大のミールキット会社から、キットの物流と生産を任されました。サブスクリプション・システムだったため、わたしは毎週、何万というポリスチレンの箱を国中へ送り出していたんです。しかし、ポリスチレンは廃棄後、分解されるのには何百年も要しますし、海洋生物によって摂取され、生物多様性を破壊するだけでなく、フードチェーンにより人間の健康にも影響を及ぼす可能性もある。そこで、より持続可能な代替物を求め、調査を開始しました」(ハワース氏)

こうして目をつけたのが、羊の下腹部の毛。硬くトゲトゲしているため、廃棄されていたものだ。100%再生可能な資源であるだけでなく、商業的価値を見出したことで羊毛農家の追加収入源にもなるサステナブルな素材だった。この断熱パッケージにより、国内から700万ものポリスチレン包装を排除することができ、事業規模は1年で2倍になったという。

「お伝えしたいのは、事業を起こすには、いいアイディアがあればいいのではない、ということ。そして、Think Big。つまり、躊躇せず大胆に行動せよ、です。世界はめまぐるしく変わっています。自分が持つビジョンが世界を変えると思うなら、すぐに動き出すべきです」(ハワース氏)

産後のベッド上で事業を発案。国内唯一で最大級の出産・育児事業へ

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ラヘット・バリー 創業者 ナディア・ガマル・エル・ディン氏

エジプトから登壇したナディア・ガマル・エル・ディン氏は、国内の母親たちを包括的にサポートするプラットフォーム「ラヘット・バリー」の創業者だ。

自身の産後に芽生えた子育てにまつわる疑問や不安を解消してくれる知人がおらず、産院のベッド上で事業を思いついたという。

「すべての母親を金銭的・身体的・精神的・社会的・知的に支援すべく、たとえばベビー用品を割引購入できる仕組みや、出産・育児に関するウェブマガジンを提供。複合施設を創設し、無料のシッター付きフィットネスプログラムなどオフラインサービスも展開しています」(ガマル・エル・ディン氏)

母親と企業を結びつけるB2B事業も手がけ、現在、月間ユーザー数は50万人を有し、サービスのリピート率も高い。
「CWIの受賞をきっかけに、世界各地の起業家と接点を持つことができ、さまざまな戦略コーチングを受けることもできました」(ガマル・エル・ディン氏)

エジプトにおける出産・育児関連のマーケットは267万人規模。今後も成長を見込めると自信をのぞかせる。
グローバルに活躍する2名の女性起業家のストーリーからは、問題を認識し、解決策を模索すべく行動へ移す迅速さがうかがえた。

起業家の卵が、いま、解決したい世界の問題とは

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続いて行われたのは、起業を目標とする学生たちのビジネスプランの発表。文部科学省EDGE-NEXTより7大学の女性を中心とした受講生が参加した。

たとえばあるチームは、東北地方への交流人口を増やすことを目的に、東北の伝統工芸品である玉虫塗りを施したパッケージのアルコールアトマイザーを開発。新型コロナウイルス対策のために「使わなければならなくなったもの」を、「使いたいもの」へ昇華させることで消費を促し、東北地方に興味を持つ人を増やす狙いだ。

また別のチームは、亜熱帯以南に広く植生し、豊富な栄養分を持つ植物・モリンガの生産・製品加工を推進するプランを発表。モリンガの流通を促進させることで、原産国である途上国に雇用を発生させ、栄養失調など健康問題を抱える現地の状況を改善させたいと語った。

受講生のプランに共通したのは、テーマがサステナブル関連であること。次世代の女性起業家が、この地球をビジネスの観点でどうしていきたいと考えているかを垣間見ることができただけでなく、「学生らの事業プラン発表を聞き、臆することなくチャレンジする姿勢に、こちらも負けていられないという気持ちになった」といった感想が視聴している経営者たちから寄せられたように、たくさんのリスナーをインスパイアする発表となった。

女性が起業をするメリットやデメリットについて、国内外の実情をまじえて意見が交わされたパネルディスカッションの内容は、次回、後編にて詳報する。

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多田亜矢子
編集&ライター。2006年、マガジンハウスに入社。雑誌『Hanako』『GINZA』編集部に勤務し、ビューティ、ファッション、グルメなどを担当。現在はフリーランスとして「Hanako.tokyo」や「FUDGE.jp」などで活動中。

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