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女性が起業するメリット、デメリットとは? 起業、女性経営者に詳しいパネリストが議論

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2021年1月12日、「Reshape the World – 女性起業家たちが世界を変える」をテーマとしたオンラインカンファレンスが開催された。

女性起業家2名によるインスピレーショントークと起業を志す学生のビジネスプランの発表が行われた第一部(前編)に続き、カンファレンス第二部をまとめる後編では、女性の起業を主題にしたパネルディスカッションの様子をお届けする。

登壇したのは4名。社外人材によるオンライン1on1を提供する「エール」の取締役・篠田真貴子氏をモデレーターに、パネリストとして、起業家の課題に寄り添う「グローバル・ハンズオン・VC」ファウンダー&マネージング・パートナーの安永謙氏、女性起業家を推進する「女性社長.net」主宰でお茶の水女子大学客員准教授の横田響子氏、カンファレンスに特別協賛する「カルティエ」の国際アントレプレナーシップ プログラム「カルティエ ウーマンズ イニシアチブ(CWI)」の受賞者であるジョアンヌ・ハワース氏を迎えた。

パネルディスカッション

左上から時計回りに、篠田真貴子氏、安永謙氏、ジョアンヌ・ハワース氏、横田響子氏。

経営チームに女性は必要。とはいえ、女性起業家はマイノリティ

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世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数において、2020年発表によれば、ハワース氏が暮らすオーストラリアは44位、日本は121位。この状況について、安永氏は「資金を提供する側にジェンダーバイアスはない」と口火を切った。

チームの各自の役割が明確で、機能しているならば、創設者の性別は関係ないと思う。ビジネスはチームで行うものですし、企業を成長させるうえで大切なのは、チームメンバーが各々の責任を果たしつつ、抜けや漏れがないこと。というのも、一般論ではあるけれど、女性はディティールに目を配るのが得意な傾向にあるので、仕事を進めるうえで漏れが少ない。またコミュニケーションも上手です。実際、経営陣に女性がいるケースは増えています」(安永氏)

これに対し、「そうはいっても、日本はなぁ……と感じる点がある」と横田氏は指摘する。

「たとえば、第一部のビジネスプラン発表で、一見、起業を志す女子生徒が多くいるように見えましたが、あれは本カンファレンスに向けて集めたから。EDGE NEXTのなかで、女子生徒は3割未満。やっぱり女性起業家はマイノリティ。ゆえに、マイノリティなりの振る舞いをしているように思います」(横田氏)

女性だからこそ、少数派だからこその、メリット、デメリット

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マイノリティである女性の起業に、何か特徴はあるのだろうか。

女性が起業するビジネスは、内容がソーシャル関連だったり、小規模だったりというのが特徴的です。この背景にあるのは、起業家のバックグラウンドの多様さ。長らく主婦で仕事から離れていた人が、生活に根ざした発見をして立ち上げた、といったケースが見られます」(横田氏)

よって、男性と異なり、資金や人脈、直近の仕事経験が乏しいなかで開業に向けて走り出さざるをえない人が多いという。ただ、そのバックグラウンドがデメリットだけをもたらすわけではない。

女性のほうがいろいろなコミュニティに接する機会が多いぶん、ニッチなアイディアを思いつくこともありますね。ただ、資金や人脈があればスピーディに事業を大きくさせられるものの、ワークライフバランスを取るためにスロースピードになってしまう、という現状もある」(横田氏)

これを受け、安永氏は続ける。

「女性は仕事と家庭のバランスを取ることを求められることがあるけれど、だからこそタイムマネジメント能力と決断力の速さが身に付く可能性もゼロではないと思う」(安永氏)

つまり、女性のライフイベントがあるからこそ生まれる制約と、制約があるからこそ育まれる能力もあるということだ。

また、テレワークの普及により、出産や育児などでキャリアを中断せざるをえなかった女性たちの働き方に柔軟性がうまれるのでは、とハワース氏は前向きに推測する。

「オーストラリアには、女性が起業をする場合は助成金が出るなど支援体制はあります。しかし、女性起業家数の推移でいえば、依然として大きな変化はありません。そのため、女性起業家に求められる資質には、我が道を信じる心と、ビジネスを成長させるための支援を取り付ける力。そして、周囲を巻き込み、社会的なインパクトを与える力が必要だと感じます」(ハワース氏)

起業とは、自分が社会に対してどう貢献するかをストレートに表現できる1つの形と言える。

職場の男女不均衡が、社会基盤に意図せぬ性差別を生む危険性

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女性の経営者がいる効能について、横田氏はさらにこう付け加える。

男性の経営者に比べて、女性のほうが女性を雇用する率が高いというデータがあります。実に10%以上。女性が経営陣やリーダーに多いというのは、社会にとってニュートラルな状態と言えます」(横田氏)

これに、篠田氏がすかさず反応する。

「ビル・ゲイツの妻で、アメリカ合衆国の実業家、慈善家であるメリンダ・ゲイツの著書で知ったのですが、約10年前の顔認証AIシステムにおいて、肌色が濃い女性の認証エラー率が非常に高いことが指摘されました。これは差別意識によるものではなく、制作会社に白人ないし東洋系の男性スタッフばかりだったことに起因したもの。つまり社会に基盤を与える領域において、ジェンダーを含むダイバーシティがないと、意図せざる歪みが設計されてしまうリスクがあると言えるんです」(篠田氏)

より良い社会を作る観点において、女性リーダーが増えることは必要不可欠。女性がまざっていないパネルディスカッションには登壇しないと声を上げるなど、社会全体でアクセプトしていく意識を持つことが重要なのだ。

日本人女性の起業意識を高めるには?

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最後に、安永氏はこんな疑問を投げかけた。

「ちなみに、Googleが行ったリサーチによれば、起業に興味があるかとの問いに対し、『ない』と答えた日本人は男性で15%、女性に至っては42%。自分の時間を自分でコントロールできたり、バックグラウンドを生かせたりするのが起業のいいところだけど、日本人女性の起業意識を高めるにはどうしたらいいのだろう?」(安永氏)

と、ここでカンファレンスは終了時間に。編集部は後日、実情に詳しい篠田氏と横田氏に追加質問を行った。おふたりによれば、以下の点が挙げられるそう。

1. 女性起業家の事例の認知を広める
2. スキルや人脈を身につける機会、経験を積む機会を増やす
3. 起業家本人、投資を行うベンチャーキャピタルや金融機関の双方に対し、ジェンダー論や無意識のバイアスの研修を行う
4. 支援側の起業経験者及び女性比率を高める
5. ITを導入し、テレワークなど遠隔で働ける環境を推進する

実際に世界で活躍する女性起業家の生の声を聞くことができ、女性が起業する実情や意義について語られた本カンファレンス。

事業プランを発表した学生のなかには、起業において重要なパッションを持ち、パーパスとプロフィットの成就を目標に掲げ、すでに実際のリサーチを始め、アプリを作るなど、手足を動かしているチームも。

生き生きとした女性たちの姿は、暗いニュースが多い昨今、より良い未来に向けて進んでいこうという、明るいメッセージに感じられた。

このトピックとかかわりのあるSDGsゴールは?

SDGsゴール5

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多田亜矢子
編集&ライター。2006年、マガジンハウスに入社。雑誌『Hanako』『GINZA』編集部に勤務し、ビューティ、ファッション、グルメなどを担当。現在はフリーランスとして「Hanako.tokyo」や「FUDGE.jp」などで活動中。

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