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インタビュー/働くあなたに伝えたいこと

ずっと進化し続ける自分であるために/デロイト トーマツ コンサルティング 只松美智子さん

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「企業の女性役員の割合」はさまざまな場所で議論されており、経団連は2030年までに30%に達するという目標を掲げている。イギリスで女性役員の割合向上を目的として発足された「30% Club」は、今では世界17か国で展開。

日本でも「30% Club Japan(サーティーパーセントクラブジャパン)」として2019年にスタートしている。その創設者が、デロイト トーマツ コンサルティングの只松美智子氏だ。只松氏に「30% Club Japan」創設に至るまでのキャリアと、現在の思いを伺った。

只松美智子(ただまつ・みちこ)
デロイト トーマツ コンサルティング ジェンダー・ストラテジー・リーダー。外資系コンサルティングファームを経て2010年入社、ソーシャルインパクトユニット所属。社会課題、特に、ジェンダーに関わるさまざまな課題解決に向けたコンサルティングサービスを提供している。企業の役員に占める女性比率を3割に引き上げることを目標としたイギリス発のグローバルキャンペーン「30% Club Japan」創設者。

コンサルタントの経験から得た大きなこと

15年以上のコンサルタントとしてのキャリアの中で、M&Aやオペレーション改革などを中心に様々なプロジェクトに携わってきました。

コンサルタントは、まったく経験のない領域のプロジェクトを担当することも多々あり、その場合は数日で知識を詰め込まなくてはなりません。その点は、チャレンジといえばチャレンジですが、新しい知識をつけることや、新しい経験をすることは楽しいと思う気持ちの方が強い
また、クライアントは様々な難しいビジネスの課題を抱えています。その難しい課題に解決策を提示することがコンサルタントの仕事。よく「大変ですね」と言われますが、常に「大変」と向き合うのがコンサルタント。「大変」という感覚はなくなりました。ただ淡々と「どう解決するか」だけに集中します。

今でも、周りが「難しい」と言うことでも、ひるまずやってみようと前向きに思えるのは、このコンサルタントとしての感覚が体に染みついているからだと思います。

持続可能な効果を生み出す「仕組み」をつくることの重要さ

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長年、金融業界のコンサルタントとして様々なプロジェクトに携わるうちに、「何か新しいことを経験したい」と思い始めていました。また、ちょうど乳がんの闘病で半年ほど休職していた期間と重なり、真剣に転職を考えていました。

そんな時に、デロイト トーマツグループ全体でダイバーシティ&インクルージョン(D&I)オフィスを立ち上げることになり、そのリーダーを募集していることを聞いたんです。入院中に当時のCHROから「どうですか?」とお声がけいただき、最後にお世話になった会社に恩返ししたいと気持ちで、立候補することにしました。それが2016年の12月です。

D&Iオフィスでは様々な取り組みを実行しました。正直それまではダイバーシティやジェンダー平等に興味はあったものの、学ぶ機会はなかったため、書籍や文献を読みまくりました。

取り組んだ一番大掛かりな施策は、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)研修です。今でこそ「アンコンシャスバイアス」という言葉は浸透していますが、当時はまだそれほどでもなく、研修の中身もかなり先進的なものだったと思います。この研修を全従業員(当時約12,000名)にインクラスで受講してもらったんです。

ただ、研修や様々な制度などを導入しても、効果が限定的であることを問題視していました。もっと言うと一企業の努力だけでは企業におけるジェンダー格差の根本的な解決には至らないことを思い知りました。何故なら企業も個人も、政府、メディア、取引先企業など多くのステークホルダー(利害関係者)の影響を受けているからです。全てのステークホルダーを一緒に変えていかないと本質的な解決には至らないと考えていました。

そんな時、30% Club に関して知ることになります。私がたまたま出席していたボードミーティングで、イギリスから来日していたデロイトグローバルの当時のボード議長が、30% Clubの話を共有してくれました。30% Clubは、女性役員の割合を向上させるキャンペーンで、彼は創設者のひとり。日本でも展開したいと思い、英国本部につないでもらいました。

私が30% Clubに興味を持った最大の理由は、コレクティブ・インパクトアプローチを取っていたことです。コレクティブ・インパクトアプローチとは、問題を解決する上で重要な全てのステークホルダー(利害関係者)を巻き込み、同じ目標、同じ戦略のもと、協力し合いながら施策を実行していく「仕組み」を構築するアプローチです。30% Clubは、企業はもちろん、機関投資家、メディア、政府、大学などを巻き込み取り組みを展開していました。

実は、彼らは5年ほど前に日本支部を立ち上げようとしたものの、うまく行かなかった経験があり、最初は日本での立ち上げに難色を示していました。ただ、SDGsやESGの浸透など、当時から環境が大きく変わっているので、「挑戦させてほしい」とお願いしました。その後はとても協力的でした。

また当時所属していた金融事業部では30% Clubの立ち上げを行うのは難しかったため、社会課題の解決を専門とするSocial Impactのユニット長に直談判し、異動させてもらいました。それが2018年の6月。その後は、仕事に熱中しすぎて、辞めたいと思っていたことさえも忘れ、今に至っています(笑)。色々なことに挑戦させてくれるデロイトという会社に働けてとても幸運に思います。

ジェンダー問題を解決すれば、さまざまな社会課題が解決に向かう

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日本に山積している多くの社会課題を突き詰めて考えると、根底には格差と不平等があり、その下側は圧倒的に女性が多い。ジェンダー平等を実現すれば、格差と不平等の問題を解決し、結果、多くの社会課題の解決につながります。

例えば、地方の衰退という社会課題があります。一見、ジェンダーとは関係ないように見えますが、地方の衰退が起こる一つの要因は、若い人が進学や就職で都市部に流出してしまうから。その人たちのうち、女性は男性の半分ほどしか地元に戻りません。なぜなら、一度都市部に出た女性が、古い慣習、不平等が残る地方に戻りたいと思わないのが大きな理由。魅力的な仕事が少ないことや、職場におけるジェンダー格差も問題です。女性の人口が減り、その結果出生率も下がり負のサイクルに陥ってしまいます。問題はそれだけに留まりません。晩婚化、未婚化が進む都市部に女性が流出することで少子化にも拍車がかかります。都市部に流出した女性は産む子供の数が減るというデータもあります。つまり地方の衰退と同時に、日本全体の人口減少を加速させてしまいます。

この例からも分かるように、多くの社会課題は個別に存在しているように見えて、実は根底では繋がっていることが多い。根底にある問題の一つは格差と不平等であり、その解決に繋がるジェンダー平等の実現は日本が抱える多くの社会課題を解決する上で大変効率的な手段だと思っています。

今は、ジェンダー平等の実現に向けた、新しい取り組みを構想中です。若い人たちが夢と希望を持てるような日本社会の実現に向け、少しでも貢献できればと思っています。

私が仕事上で大切にしていることは3つあります。1つ目は「自分の頭で考える」ということ。結果として間違っていたとしても、自分の頭で論理的に考え抜いて自分なりの「解」を導き出すようにしています。2つ目は「柔軟な心を持つ」ということ。自分とは違う考え方や価値観を拒むのではなく、積極的に聞き、良ければ取り入れていく柔軟性を持つようにしています。 3つ目は「謙虚さを忘れない」ということ。常に「おかげ様」という気持ちで、おごらず、周りへの感謝と敬意を忘れないようにしたいと思っています。

この3つが出来るようになれば、今の自分の枠を超え、ずっと成長し続けていくことが可能だと思っています。

写真/本人提供

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栃尾江美
外資系IT企業にエンジニアとして勤めた後、ハワイへ短期留学し、その後ライターへ。雑誌や書籍、Webサイトを問わず、ビジネス、デジタル、子育て、コラムなどを執筆。現在は「女性と仕事」「働き方」などのジャンルに力を入れている。個人サイトはhttp://emitochio.net

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