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アート界のロールモデル・長谷川祐子氏が語る、女性が秘める可能性とは?

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153か国中121」──2020年度の日本のジェンダーギャップ指数は、多くの人を絶望させた。しかしこの数字があらゆるシーンで議論を生み、少しずつではあるが、現状から脱却するための具体的なアクションにつながっているのも確かだ。そして、このムーブメントを加速すべく、取り組みをおこなう企業も年々増えている。

世界中の女性起業家をエンパワーするアワード

その一つが、世界中から愛されるシャンパン「ヴーヴ•クリコ」を手掛けるMHDモエヘネシーディアジオだ。ヴーヴ•クリコはそのビジネスの発展を促した近代初のビジネスウーマン。同社は彼女に通じる精神を持つ、世界中の革新的な女性を応援し、そのコミュニティ形成を支援する目的で、「ヴーヴ•クリコ ビジネスウーマン アワード」を創設。これまで世界27カ国で350人以上に授与し、グローバルの女性起業家をエンパワーしてきた。

またMHDモエヘネシーディアジオは、日本の持続可能な未来、ジェンダー平等とダイバーシティ・インクルージョンを実現するために、女性のリーダーシップとキャリアを支援すべく、2020年から「MHD CSR Women Empowerment」と題したイベントを展開している。

本イベントは、2020年9月の第1回目には、過去の「ニュージェネレーション アワード」受賞者で、人工知能に関連するプロダクトやコンサルティング開発に取り組む、株式会社シナモン代表取締役CEOの平野未来氏が、そして同年11月におこなわれた第2回目は「ビジネスウーマン アワード」受賞者であり、ヘルスケア業界全般の改革を目指す株式会社メディヴァ 代表取締役の大石佳能子氏といった女性起業家が登壇し、それぞれビジョンを語った。

2021年2月に開催され、第3回目となった今回は、東京都現代美術館 参事でキュレーターの長谷川祐子氏から、各時代を代表する2人の「ラ•グランダム」をつなぐ共通点、そしてアート界におけるダイバーシティについて語られた。

革新的女性のロールモデル。2人の「ラ•グランダム」

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これまで男性が主導となり栄えてきたのは、ビジネス界もアート界も同様。しかし、それぞれ異なる時代に才能を発揮し確固たる地位を築いた、パイオニアのロールモデルである2人の女性、マダム•クリコ草間彌生の存在について言及された。

女性がビジネスの世界で重要な役割を果たさなかった時代に、夫の急死を受け急遽、27歳でヴーヴ•クリコのトップに就任したマダム•クリコ。彼女は、優れた先見の明を持ち、同社を唯一無二のシャンパーニュメゾンに成長させた。近代初の稀有なるビジネスウーマンであり 「ラ•グランダム(偉大なる女性)」と称えられる。

一方で、これまで多くの革新的なアートを世に送り出している前衛芸術家・草間彌生も、大胆さと自身のビジョンを確立しているという点にマダム•クリコとの共通点を見出すことができる。彼女のアイコンとも言える水玉は、さまざまなシーンで人々に生きるための力強いエールを送っており、彼女らのオリジナリティが時代を超え世界中で息づいているという点は、2世紀近くの歳月を隔てた2人の女性を強く結び付けている。そういった意味で、2020年にローンチされた両氏によるコラボレーションは、必然的なものとも言えるだろう。

価値観を水平につなげるコミュニケーションが持つ可能性

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長谷川氏が身を置くアート界も、特に日本では、美術館の館長などトップを務める女性比率の低さが目立つ。2021年4月に金沢21世紀美術館の新館長に就任予定で、これまで日本のアート界を第一線で見てきた長谷川氏は、国内外のアート界が抱えるジェンダー問題を、どう捉えているのだろう。

長谷川氏は、海外でのビエンナーレ開催にも多く携わってきた。例えば、アラブ首長国連邦にて2013年におこなわれ、彼女がキュレーターを務めたシャルジャ・ビエンナーレ11は、それまでトップを務めてきた男性に代わり、初となる女性プレジデントによって開催されたものだった。「キュレーションは、フットワークの軽さが重要。女性は向いていることが多い」と長谷川氏は語る。

またこれまでホモソーシャルだったアート界だが、実際に美術館を訪れるのは女性の方が多い。それについて長谷川氏は、「ある意味でアート界は女性が担っているという見方もできる」と指摘する。さらに、テクノロジーが進化し情報の分散化が進む昨今、さまざまな情報をつなぎ合わせ新たな価値を作る作業が必要だ。キュレーターとは紹介者であると同時に、状況を分析し、ファシリテートするスキルも求められるが、「価値観を水平につなげるコミュニケーションは女性が得意とするところ」(長谷川氏)と、女性がより活躍できる可能性について語った。

アート界が真のジェンダーフリーを実現するには

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今後、日本のアート界が真のジェンダー平等を実現するためには、どのようなアクションが求められるのだろう。

男性主導で構築されてきた仕組みを超えて、新たなコミュニケーションをとっていくことが重要。そのためには、より女性が登用される仕組みを作っていく必要がある」(長谷川氏)

その仕組みの一つとして、長谷川氏は自身がキュレーターを務めるイベントは、展示するアーティストのジェンダー比率や、人種の割合にも配慮するという。例として、コンテンポラリーアーティスト/作家でインターセックス(外性器・内性器・内分泌系や、場合によっては性染色体などが、「普通」とされる「男性」もしくは「女性」と異なるケース)である、ジュリアナ・ハクスタブル(Juliana Huxtable)氏の存在を挙げた。

デジタルやブラックカルチャーに関連するハクスタブル氏の力強いアートは多くの人に支持されており、ハクスタブル氏のような多様なバックグラウンドを持つアーティストが投げかける問題提起も、アート界において性別の壁を取り払っていく後押しになるはずだ。

ジェンダー問題に加えて、デジタルテクノロジーや環境問題など、自身の経験から感じた課題をアートを通じて世間に投げかけている長谷川氏。アート界でダイバーシティを体現する存在と言える同氏は、今春館長に就任予定の金沢21世紀美術館において、ライフとアートの垣根を超える新しい提案ができれば、と語る。

イベント終盤に長谷川氏が発した、「アートは社会課題の直接的な解決には寄与しないかもしれない。しかし、見るものに夢や想像力など大きな影響を与えることができる」という言葉が印象的だった。アートがいかに多様性を押し進める鍵となるか、その可能性に期待したい。

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MASHING UP編集部
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