女性国際デーのイベントで、アクセンチュアが行うダイバーシティ推進や、男女に限らない「Equality(イクオリティ)」の必要性についてスピーチする堀江さん。
外資系コンサルティング会社であるアクセンチュアで、女性のマネジング・ディレクター(以下、MD)の先駆者のひとりである堀江章子さん。
インクルージョン&ダイバーシティ(I&D)の統括も担っており、女性管理者の割合を増やすよう各部署にアプローチしたり、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)の研修を実施したりと活動している。
堀江さんに、これまでのキャリアや転機となったできごと、仕事に対する思い、さらにI&D推進の取り組みについて聞いた。
堀江章子(ほりえ・あきこ)
1993年に慶應義塾大学法学部政治学科を卒業し、アクセンチュア入社。1995年にコンサルタント、1999年にマネジャー、2007年にマネジング・ディレクターに昇格。2014年には インクルージョン&ダイバーシティ(I&D)統括 執行役員に就任し、取り組みを指揮。2020年、常務執行役員 金融サービス本部 兼 インクルージョン&ダイバーシティ日本統括となり、現在に至る。
お客様からの期待が、大きくジャンプしようと思わせてくれた
入社8年目、その頃は金融の部署で働いていたのですが、取引先だったあるお客様から、仕事に対する考え方について大きく影響を受けました。私のキャリアコーチのような存在で、出張でご一緒したときなど、いろいろな相談に乗っていただいていたのです。
その方が、女性である私に期待を寄せてくださったのは、ご自身が二人のお嬢さんの父親でもあったからだと思います。
「これからは、女性が活躍できる社会になっていくべき。より実力主義になっていくだろうから、女性だからといって遠慮することはない。堀江さんには、女性リーダーとして活躍してほしい」
アクセンチュアは様々な点においてフェアな会社だと思いますが、取引先のお客様にもそのように言っていただけたことは、私にとって大きな価値がありました。
転職を考えていた時にも「アクセンチュアで力を付けたほうが、会社の改革に携わるといった大きなことができると思う」とアドバイスもくださった。その方とご一緒したことが、社内で昇進を目指してジャンプしてみようと思ったきっかけになりました。
当時はシニア・マネジャーでしたが、マネジング・ディレクターになると、取引先のプロジェクトに携わる際に、より責任のある立場になります。
自分の得意分野だけでなく、ほかのチームも束ねて、広い範囲でサービスを提案できる。そのほうが、お客様の成功のためによりよいアウトプットができると考えました。
「女性初」という冠に戸惑いも
"性"と"生"の多様性を祝福するイベント、「東京レインボープライド」のパレード(2019年4月)に、アクセンチュア日本法人のチームとして参加した際の様子。
幸いにも仕事で大失敗はあまりしてきませんでしたが、あえて言うなら「日本のアクセンチュアで、女性初の○○」と言われることに戸惑いがありました。昇進のペースは決して早いわけではありませんでしたが、女性でMDに昇進する人が少なかった中で、女性というだけで注目されてしまう。「女性だから優遇されている」と思う人もいたようで、嫉妬の矛先になるのは、正直、損な役回りだと感じたこともあります。
ただ、いろいろな考え方の人がいる中で、一緒に働く人に恵まれ、助けられました。男女関係なくニュートラルに捉える方も多くいて、仕事をご一緒してきました。
ある印象的なエピソードがあります。グローバルの金融チームの責任者が来日した際、MDになるためのリーダーシッププログラム研修の候補者が男性ばかりだったことに気づき、違和感を持ったらしいのです。
たまたまオフィスですれ違ったときに彼に話しかけられ、私が金融チームのシニア・マネジャーだと知り、仕事ぶりなども確認の上でプログラムの候補者に入れるようと上に掛け合ってくれました。その研修のメンバーになれたことは、私のキャリアにとって大きな意味があったと思います。
その後、2007年にMDになり、2014年にインクルージョン&ダイバーシティ(I&D)の統括になります。当時、アクセンチュアで女性の管理職はまだ多くなかったので、女性管理職がいない部署に対して、女性が活躍する部署の良さを示したり、アンコンシャスバイアス研修をしたりと会社全体に女性活躍を働きかけました。
同時に、グローバルの経営陣と、日本法人の社長の協力も得て、女性管理職割合の目標値を設定し、ジェンダー平等推進をリーダーの評価項目にもつなげました。そんな風に多方面から女性活躍を推進していったのです。政府が進める「働き方改革」の後押しもあり、ある程度スムーズに進んでいると思っています。
大切にしているのは、嘘をつかずに一貫すること
アクセンチュアでは、国際女性デーを記念して、全女性社員を対象にコミュニケーションする場が設けられている。(2019年3月撮影)
仕事をする上で大切にしているのは、ごまかさず、一貫したことを言うこと。クオリティが今一つ足りない、と感じたら、社内メンバーにもお客様にも正直に伝えます。お客様にはいいことを言って、社内ではごまかす……なんてことをしていると、何も伝わらないしうまくいかない。つじつまの合った言葉と、それに伴う行動を示してくことが成功への近道だと思うのです。
コンサルタントという仕事を通して、お客様のビジネスを成功に導くことは、私たちの生活に大きく寄与すると考えています。そのためにも正直に、嘘のない仕事をしていきたいです。
一方、I&Dの分野では、アクセンチュア全体で、2025年までに男女比50対50を目指しているので、女性比率や女性管理職さらなる向上に向けて取り組みを加速していきたいと考えています。意思決定をするときに、ボードメンバーの考え方が偏っていると質が高まりません。例えば、「家庭や趣味に重きを置く働き方は、評価できない」といった考え方では、その人の職場での価値を正しく理解することは出来ません。そんな偏りをできるだけなくし、男女の違いだけでなく、多様な人がそれぞれの持てる実力を発揮して活躍し、それぞれの強みを尊重して、価値を提供する組織を作っていかなくてはなりません。
毎年3月8日の女性国際デーを記念して、アクセンチュアの全女性社員を対象にイベント開催し、ネットワーキングやキャリアを考える場としたり、東京レインボープライドのスポンサーとして、開催されるパレードに参加したりしています。社内外に発信をして、社員だけではなく、お客様、パートナー企業、地域社会にも、ジェンダー平等、そしてダイバーシティ推進に対する共感を広げていきたいと考えています。
そう思うのは、次の世代の女性に、私たち世代のような思いをしてほしくないから。取引先の方のお嬢さまの話を聞いたり、近所で女の子たちの姿を見かけると、まだまだジェンダーギャップの考えが残る世の中に悩まされず、のびのびとやりたいことをやって成長していってほしいと思います。また、一人ひとりが互いの強みを尊重しあいながら自分らしく活躍できる、そういう世の中を作っていかなくてはと強く思っています。
写真/ アクセンチュア提供
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