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MASHING UP SUMMIT 2021

若者が感じる生きづらさって? 世代間の意識ギャップからSDGsを考える

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2030年までに目標達成をめざすSDGs。その未来の中心となる若者たちと、これまでの社会を作ってきた“大人たち”の間には、どのような意識ギャップがあるのだろうか。

2021年3月19日開催のオンラインカンファレンス「MASHING UP SUMMIT 2021」では、「次世代はどう見る? SDGsへの違和感とその背景にある価値観」と題し、SDGsをめぐる世代間の意識ギャップと、これからのアクションを考えるトークセッションを開催。

登壇者は、フォトグラファーであり、雑誌『IWAKAN』の編集制作もおこなう中里虎鉄さんと、『NEUT Magazine』編集長の平山潤さん。彼らが今の社会に感じている違和感の正体を、日本の経済成長を支えてきた世代でもあるエール株式会社取締役の篠田真貴子さんが引き出した。

「社会にいいことをして飯を食う」のがなぜ大変なのか

中里虎鉄さん

中里虎鉄さんは、高校生世代に向けて、「自分たちと異なるバックグラウンドを持つ人たちと共存すること、マイノリティが不当な扱いを受けているという事実などを知らなくてはいけない」とメッセージを伝えた。

冒頭から篠田さんは、「同世代の投資家や経営者と話をすると、ESG投資が流行っているのは、“バッシングされにくいように”なんじゃないの? と言う人が結構多いんです。つまり、社会的意義を自らが大切にしているわけではない。一方で、若い人たちは自分と社会とのつながりを考えることが当たり前で、わざわざ”社会的意義を大事にしている”と言葉にすることが少ない」と、社会課題に関して世代間が持つ意識ギャップを分析した。

そもそも若者世代たちが、今の社会に違和感を覚え始めたきっかけは何だったのだろうか。 LGBTQの当事者でもある中里さんは、「小学生くらいから将来の夢などを考えさせられますよね。でも、自分のセクシャリティを隠したまま、幸せに働けるイメージがどうしてもできなかった。それがきっかけ」と語る。

「今ではLGBTQに理解を示していることを表明する企業が増えてきました。でもその方針が、働いている社員にまで浸透しているかわからない。だから、そんなリスキーな環境に自らの身を投じる気にはなりませんでした」(中里さん)

平山さんは、大学時代に経験したインターン活動が、社会課題と向き合うきっかけだったという。

「大学在籍時、サステナビリティに関する映像を作る会社でインターンとして働きました。けれど、それだけでは収益が上がらないから、他ジャンルの映像制作もする必要があった。ソーシャルグッドなことでマネタイズするのは難しいという現実に直面したとき、違和感を覚えました」(平山さん)

これに対し、「お2人とも、困難やネガティブな経験から社会と対峙したのですね。物質主義で、社会のマイナスな側面なんて意識することもなかった我々世代とは、かなり違いますよね」と篠田さんは言う。

より受け入れている分、問題意識も薄いZ世代

平山潤氏

最近では大手グローバル企業とコラボレーションしてSDGsに関するキャンペーンをおこなう機会もある『NEUT Magazine』。社会をよりよくする取り組みを一緒にできる仲間がいるのはありがたいこと、と同誌編集長の平山潤さん。

ジェンダーや公害など社会課題についても、メディアで取り上げられる情報はごく一部。

Z世代である中里さんは、「ジェンダーアイデンティティを受け入れれば、社会は生きやすいものだと思っていた。しかし実際に社会に目を向けると、性的マイノリティは存在こそ認知されていても、実社会には“いないもの”とされていた」と、自身の体験を振り返る。

「Z世代の多くは、ジェンダー/セクシャルマイノリティをごく自然に受け入れています。でもだからこそ、当事者が社会で差別的な扱いを受けていることも気づいていない」(中里さん)

自分が当たり前だと思っていることが当たり前でないことを知れば、社会不審にも陥りかねない。それをポジティブに伝えているのが『NEUT Magazine』のような存在だと、篠田さんは語った。

「僕はアメリカ留学時に人種差別を受けて、初めて生きづらさというものを意識しました。それで周りをよく見てみたら、生きづらさを感じている人がたくさんいる。そういう人が、読んでいて心地いいメディアを目指しているのが『NEUT Magazine』です」(平山さん)

「生きづらさ」を誰もが口にできる時代へ

篠田真貴子氏

「若い世代が感じている違和感を解決していくことが、未来につながる」と、エールの篠田真貴子さん。

篠田さんの周りにも、生きづらさを起爆剤に、社会を変えるべく起業する若者たちがいるという。「その話を聞いたとき、起業という極めてアクティブなことをする人たちが、『生きづらさ』を語っていることに驚いた。私の世代感覚では『生きづらさ』は”社会的弱者”とされる人たちの問題だということになっていた気がする。育ってきた社会環境の違いが関係していると感じる」と篠田さん。

これに対し、政治やセックスの話題がタブーとされていた風潮を事例に挙げ、「以前は、生きづらさは今以上に口に出してはいけないものだった」と平山さんも同意した。

最後に、「SDGsの項目は多岐に渡るが、全てがつながっている。自分も全部に意識を向けられているわけではないが、まずは自分の中にある矛盾や違和感に気づくことが大切だと思っています。少しずつ、それぞれのペースで社会と向き合っていけたら」と中里さん。

篠田さんも、「今回のような世代間のコミュニケーションは、異文化交流というより、私の場合、もっと切迫感を覚えています。事業をする上で、次の世代の人たちの意識を理解していないと致命的だと思うからです」とセッションを締め括った。

次世代を無視して、SDGsを達成することは不可能だ。まずは一人ひとりが感じる違和感や課題を言葉にし、語り合うべきだということを改めて認識させられる内容だった。

次世代はどう見る?SDGsへの違和感とその背景にある価値観_2

MASHING UP SUMMIT 2021

次世代はどう見る?SDGsへの違和感とその背景にある価値観
中里 虎鉄(フリーランス フォトグラファー、編集者)、平山 潤(NEUT Magazine 編集長)、篠田 真貴子(エール株式会社 取締役)

撮影/中山実華

このトピックとかかわりのあるSDGsゴールは?

SDGs5.8.10.16

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中島理恵
ライター。神戸大学国際文化学部卒業。イギリス留学中にアフリカの貧困問題についての報道記事に感銘を受け、ライターの道を目指す。出版社勤務を経て独立し、ライフスタイル、ビジネス、環境、国際問題など幅広いジャンルで執筆、編集を手がける。

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