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上野千鶴子さんら「意欲ある女性の背中を押したい」。女性リーダー支援基金エントリー募集中!

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画像提供:公益財団法人パブリックリソース財団

「日本では、リーダーのポテンシャルを持つ女性は多い。しかし、男性優位の社会において、サポートなしでは超え難い壁がある」──このような状況に、自ら一石を投じた女性がいた。

2021年7月20日、1人の女性の寄付から「女性リーダー支援基金〜一粒の麦〜」を設立したのは、公益財団法人パブリックリソース財団。女性リーダーの支援を通じて、日本における意思決定過程への女性の参画を増やし、社会的地位向上を目指す。同日行われた記者会見で、基金設立の背景や取り組みに込める思いを、公益財団法人パブリックリソース財団 岸本幸子さん、審査委員長の上野千鶴子さん、審査委員会の浜田敬子さん白井智子さんが語った。

女性の声は届きにくく、不当な扱いを受けやすい

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基金設立のきっかけとなった寄付者の女性は、日本で女性が置かれている状況……社会的地位が低く、意見が十分に取り上げられないこと、そして女性であるがゆえに不当な扱いを受けやすいことに、問題意識を感じていた

現に、世界経済フォーラムが発表した2021年度の日本のジェンダーギャップ指数は、156カ国中120位。2020年度の順位、121位という順位と比較すると1位上がったものの、先進国では最下位だ。さらに政府は、2003年に「2020年までに指導的地位に立つ女性の割合を30%に」という目標を掲げていたにもかかわらず、「2020年代の可能な限り早期に」と目標を先送り。ジェンダー平等に関して世界から大きく遅れをとっており、女性リーダーがなかなか育たないという現状がある

岸本さんは、「構造化された男女格差の是正には、意思決定過程における女性の参加が必須であるという寄付者の思いから、基金では、女性のリーダーシップ開発やビジョンの実現を支援し、女性リーダーの育成に貢献していきたい」と語った。

政治家、社会活動家、起業家やアクションリサーチ実践者らをサポート

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Image via GettyImages

支援の対象となるのは、

・政治家志望者
社会活動家(NPO、NGO、オンラインアクティビズムの実践者)
・社会起業家
女性のためのアクションリサーチ企画/実践者

という4つの分野で、女性リーダーとしての今後の活躍が期待される個人。審査の際には、女性の社会的地位向上に貢献する明確な意思とビジョン、将来のリーダーとしての計画、女性が日本の社会で直面するさまざまな問題に対する解決策を構築する能力、傍観者ではなくアクションを起こしていく力が重視される。

本基金の審査員長に就任したのは、東京大学名誉教授の上野千鶴子さん。審査委員会には、MASHING UPのアドバイザリーボードメンバーである浜田敬子さん(ジャーナリスト / Business Insider Japan エグゼクティブ・アドバイザー)、大崎麻子さん(特定非営利活動法人Gender Action Platform 理事)のほか、白井智子さん(特定非営利活動法人新公益連盟 代表理事)が参画している。

ためらわず、意欲を持って一歩を踏み出して欲しい

上野さんは、日本に女性政治家が少ない理由として、そもそも候補者が少ないという点を指摘する。

意欲を持った女性たちが一歩前に出てくれないと、意思決定の場に入ることはできない。『どうせ、私なんて』と言っている人たちがトップに立つことは、滅多にありません。女性は自分の能力を過小評価する傾向があるため、管理職になることにも消極的だと言われる。また、日本の女性は男性よりも一歩前に出るのをためらう傾向がある。その方々の背中を押したい」(上野さん)

また、前Business Insider Japan統括編集長の浜田さんは、スタートアップの起業家や社会起業家を取材する中で、女性起業家たちが直面する課題を目の当たりにし、彼女らの背中を押す取り組みに共感したと語る。

「男性起業家のほうが、ネットワークなど多くのリソースを持っている。また、女性投資家が少ないこともあり、投資が受けにくいなど資金調達面の苦労もある。せっかくよいアイデアがあったり、意欲や情熱があっても、それを形にしていくことがなかなか難しい。色々な知見を学べる場所や仲間の存在があれば、事業を継続していく力にもなるはず」(浜田さん)

さらに、社会起業家である白井智子さんは、常に男性優位のコミュニティに身を置いてきた自身の経験から、確実に女性が意思決定層に参画できるようシステム化し、ジェンダー平等を推進することの重要性を感じていると語った。

エントリーは8月16日まで。支援金に加え、ピアラーニングの場も提供

本支援プログラムを通して、1年間に5名、3年間で15名の支援者を選定する。1名あたりに支給される活動奨励金は100万円で、研修や調査研究活動などに充てることができる。また、ネットワーク形成や勉強会など、支援対象者と賛同者が集まる交流ミーティングを年に一度開催し、基金賛同者の女性リーダーたちによるノウハウの提供など、ピアラーニングの場を作ることもこの基金の大きな目的だ。募集締め切りは8月16日まで。書類と面接審査を経て、選ばれた女性リーダーへの支援は2021年10月からスタートする。

各界からの賛同者も続々と集まっているこの基金。本取り組みが、意欲のある女性たちの背中を押し、日本のジェンダーギャップ解消の一助となることに期待したい。興味がある方は、ぜひ応募してほしい。

女性リーダー支援基金 〜 一粒の麦 〜

公式サイト:https://www.public.or.jp/project/f0159
応募締め切り:2021年8月16日(月)17:00まで

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MASHING UP編集部
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