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誰もが知りたい「次世代の事業」。女性・フィランソロピー・教育がカギを握る

SAMURAI VISION SUMMIT

近年、利益だけでなく社会課題の解決を目的とした事業が、次世代のイノベーターたちによって生み出されている。ベンチャーキャピタルとしてスタートアップ企業への投資、経営支援を行うサムライインキュベートは、10月22日に新たなイノベーションの創出と複雑化する社会課題の解決策を探るカンファレンス「SAMURAI VISION SUMMIT」を開催。各分野のトップランナーたちによるセッションや来場者参加型のワークショップなどが行われ、ソーシャルグッドなビジネスの新たな可能性が垣間見えた。

成功を社会に還元する「フィランソロピー」とは?

「日本に必要な"フィランソロピー"という生き方とは?」

欧米で広がる「フィランソロピー」について事例を交えながら、日本の課題と解決策が話し合われた。

SAMURAI VISION SUMMITでは、6つのセッションが行われ、その中でも特に興味深かったのが、「日本に必要な"フィランソロピー"という生き方とは?」「パレスティナ女性エンジニアが壁を超え、変える世界」と題されたトークセッションだ。

「フィランソロピー」とは、世界の人々がウェルビーイングに生活できるよう働きかける寄付や支援活動を表す言葉。日本では馴染みの薄いフィランソロピーだが、欧米では富裕層を中心に活動の輪が広がっている。

「日本に必要な“フィランソロピー”という生き方とは?」に登壇したビル&メリンダ・ゲイツ財団の日本常駐代表 柏倉美保子さんは「他者への支援、寄付、寛容度を表すWorld Giving Indexで日本は先進国の中で最下位。さらにNPOやNGO団体に十分なお金が集まっておらず、市民の声が埋もれてしまっている」と話す。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団は富裕層に向け、財産を社会貢献活動に寄付することを誓約し、オンライン上で公言するプラットフォーム「Giving Pledge」を立ち上げた。ビジネスで成功したあとにフィランソロピーに賛同し、協力するムーブメントがアメリカを中心に盛り上がっているという。近年では韓国などアジアから参加している人も増えているが、「日本はフィランソロピーの高まりについていけていない」と柏倉さんは危惧している。

しかし「社会課題が顕在化するよう発信し、日本に合った寄付の形を模索すれば、フィランソロピーの流れを生むことができる」と柏倉さん。日本は30億円以上の資産を持つ富裕層が多い国で、アメリカに次ぐ世界第2位だという。資産を貯蓄に回しがちな日本人に合ったフィランソロピーのあり方を模索し、社会に還元する仕組みづくりが必要であると考えさせられるセッションだった。

パレスチナはIT産業で女性の雇用を生み出している

セッション「パレスティナ女性エンジニアが壁を超え、変える世界」

女性が活躍するパレスチナのIT業界の現状を、現地からリモートで登壇したナディアさんとリムさんが解説した。

「パレスティナ女性エンジニアが壁を超え、変える世界」というパレスチナ女性エンジニアをテーマに行われたセッションでは、パレスチナのIT産業で実際に活躍するナディアさんとリムさんがオンラインで登壇。パレスチナでは女性エンジニアの比率が海外に比べて高く、女性起業家も多い。

その理由にリムさんは「文化的な側面から、家の外で働くことが難しい女性たちがITエンジニアとして働くケースが増えている。また政府の後押しもあり、性別関係なく、能力のある人が事業を作るという風潮が高まっています」とインクルーシブな起業の文化が生まれていると話す。

女性エンジニアの育成や雇用の創出を行っているナディアさんは「IT産業で女性が働くことは非常に効率的。資材も少なく、短期間でレベルアップできることがパレスチナで女性エンジニアが増えている理由です」と語った。

またパレスチナのIT産業が盛り上がる背景には、労働賃金が安く抑えられるため海外の企業からも仕事の依頼を受けられることもある。グローバルに通用するITスキルは、国内だけでなく海外にも影響力を持つことができるため、女性の地位向上の観点でもメリットがある。女性エンジニアが少ないことが問題視される日本のIT業界。パレスチナの女性エンジニアの活躍は、参考にすべきモデルケースだろう。

イノベーティブなアイデアが交換されたワークショップも

「SAMURAI SHOUT!」の様子

起業家たちが自身の夢や事業の未来を熱く語る「SAMURAI SHOUT!」

実際に課題解決に取り組む企業と他分野で活躍する起業家などが語り合うワークショップの場では、参加者が意見を交わし、事業の問題点や新しいビジネスモデルの発案など、さまざまな角度から刺激を受けることで、イノベーションや事業成長につながる機会となった。近年注目を集めるバカロレア教育や少年院の子供たちへの支援活動についてなど、幅広いジャンルが取り扱われた。

またカンファレンスの最後に行われた「SAMURAI SHOUT!」では、スタートアップから大企業までさまざまな事業を牽引する総勢50名によるプレゼンが行われ、自身の夢や事業の未来を熱く語り、カンファレンスを締めくくった。

今回のSAMURAI VISION SUMMITでは、起業家同士の数々の出会いやアイデアが創出された。国内のみならず、パレスチナのVCといったグローバルな仲間とつながれる本カンファレンスは、プレーヤーたちの刺激になったに違いない。海外に比べ、若手起業家が少ないと言われる日本だが、SAMURAI VISION SUMMITで語られたアイデアが大きなイノベーションを起こすことに期待したい。

このトピックとかかわりのあるSDGsゴールは?

このトピックとかかわりのあるSDGsゴール

SAMRAI VISION SUMMIT ]画像提供:サムライインキュベート

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