日々、目まぐるしく変化し続けるデジタル社会。そのなかで企業が成長するためには「デジタルマーケティング」の領域を切り離して考えることはできない。
各企業が成長戦略を掲げて取り組みを行うなか、その戦略立案から実行支援までを担うのが電通デジタルだ。設立からまだ6年目の新しい会社だが、国内最大規模のデジタルマーケティング会社として、その動向に注目が集まっている。
業界を牽引する電通デジタルの内部では、どんな人が、どんな思いをもって働いているのだろうか。
今回話を聞いたのは、電通デジタルのCX戦略プランニング事業部でグループマネージャーを務める野中教恵さん。「業界を牽引する、国内最大規模の……」というイメージに反し、その働き方や考え方は、実にしなやかなものだった。
野中 教恵(のなか・ゆきえ)
大学在学中にインターネットを活用したベンチャー企業の立ち上げに参画。卒業後、2社の広告代理店を経て、2010年4月に電通入社。その後、電通デジタルの前身である旧・電通イーマーケティングワンに入社。現在は電通デジタル CXトランスフォーメーション部門 CX戦略プランニング事業部に在籍し、グループマネージャーを務めている。
デジタルとマーケティングを天秤にかけ、両方を選ぶことに
「10代の終わりにデジタルに出会い、デジタルの歩みとともに仕事に携わってこられたことは、本当に恵まれています」と野中さん。
デジタルマーケティングのプロフェッショナルとして、CX戦略プランニング事業部でグループマネージャーを務める野中さん。
デジタル領域におけるキャリアは、学生時代、インターネットがまだ研究機関や大学ぐらいでしか触れることのできなかったデジタル黎明期に、仲間の誘いを受けてベンチャー企業の立ち上げに加わったことに始まる。
「まわりは大学院の工学部に通う友人ばかり。彼らはインターネットの知識もありましたが、私はインターネットの『イ』の字もPCの操作もわからないし、やっとページが開けても英語のサイトしかない。それでもアナログ回線の接続を待ちながら、『こんな箱ひとつで世界とつながることができるんだ』とワクワクしたのを今でもよく覚えています」
大学卒業後、2社の広告代理店でWebサイトの運用やインターネットを使ったプロモーションのプランニングを経験し、2010年より電通で勤務。そこで携わったのはマーケティング領域だった。これまでとはまったく違う仕事の進め方に戸惑いながらも、マーケティングのおもしろさを知ったという。
次のキャリアを考えたとき、「デジタルとマーケティングのどちらか、という道は選べなかった」という野中さん。
「それなら、その両方ができる会社に行けばいいと、先輩や同僚から勧められたのが、電通デジタルの前身である『電通イーマーケティングワン』でした。イーとはデジタルのこと、ワンは1番になること。デジタルとマーケティングで1番になろうという会社だなんて、私にぴったりだと思い、迷わず手を挙げました」
チームメンバーの暮らしやバックグラウンドにも寄り添いたい
会社は2016年7月に「電通デジタル」となり、2年後にはグループマネージャーに抜擢された。何事にも前向きに取り組んできた野中さんだが、意外にも、会社からそのポジションを打診されるたびに断っていたという。
「グループマネージャーたるもの、みんなの手本となり、先頭に立ってチームを引っ張っていかなければならない……と気負ってしまい、昇進をとても負担に感じていたんです。でも年次的に考えてももう断れないとお引き受けすることにしたのですが、それからもずいぶん悩みました」
「ひとりで完結できる案件なんてありません。一緒に取り組む仲間がいるからこそ仕事が成り立ちますし、楽しく感じられる。メンバーには感謝しかないですね」
誰かが引っ張っていくチームではなく、みんなで前に進もうとするチームを作ればいい。そう考えを切り替えてからは、目指したいチーム像が描けるようになったとか。「とても光栄なことだけれども、私で務まるのかどうか不安だから、みんなで支えてほしい」と自分の弱さをさらけ出したところ、チームメンバーの反応は、「最近、何かを悩んでいるようだったから、理由がわかってホッとした」というものだった。チームの雰囲気の良さを感じさせるエピソードだ。
リモートワークが導入され、以前のように毎日顔を合わせることがなくなった分、メンバーにはオンライン上で積極的に声をかけるようにしている。また、上・下半期の面談や案件ごとの打ち合わせだけでなく、隔週で1on1の場を作り、身につけたいスキルや関わっていきたい案件について、それぞれの希望を吸い上げる。
グループマネージャーとしてケアしなければならないのは、スキルやポジションだけではない。体調やメンタルケア、そして「メンバーそれぞれの暮らしやバックグラウンドについても寄り添いたい」と野中さん。グループマネージャーになってから、女性の働き方や女性管理職について聞かれる機会が増えたというが「『女性だから、男性だから』という考えはない」と話す。
教育、ナレッジシェア、そして「人材」が電通デジタルの魅力
「迷ったり悩んだりしたとき、思いを言の葉にのせると、必ず誰かが応えてくれる。うちのチームだけでなく、社風なんだと思います」
チームを率いるようになって約3年。メンバーこそ入れ替わっているが、目指すのは「それぞれが、クライアントから“バイネーム”で呼ばれるチーム」。
「誠実な仕事がクライアントの印象に残り、お客様から名前を覚えてもらえる。全員がそのような働き方のできるチームはとても強いと思いますし、そのための機会を提供するのが私の役割のひとつですね」
もちろん、成長のためのサポートも欠かさない。たとえば新入社員はSlackで日報を書くことになっているが、新人のトレーナーや野中さんだけでなく、チームメンバーが曜日で担当を決め、交代で新入社員とやり取りをするようにしている。そうすることで、リモートワークで取りにくくなったチーム内のコミュニケーションを補い、成長の機会をチームメンバー全員でまんべんなく見守ることができる。
社をあげて力を入れているのが教育とナレッジシェア。新卒、第二新卒、中途といったレンジにあわせた教育プログラムやセミナーが充実しており、学びの機会はいくらでも提供される。ナレッジシェアにおいては専門のチームが設置されるほどで、全社を横断してナレッジが共有される。
教育とナレッジシェアに加えて、野中さんが電通デジタルの魅力だと感じているのが「人」。
「弊社はさまざまな事業を展開していますが、どの分野にも必ずスペシャリストがいるのが電通デジタルならではの強み。とにかく話がおもしろいので、知識だけでなく多角的な視点も得られて本当に勉強になるのです。他ではなかなかできない体験だと思います」
仕事の進め方にしろ、「何かあるとすぐに誰かが手を差し伸べてくれるのは社風だと思う」と野中さん。チームのメンバーたちにも「サポートし合おう」という思いが浸透していると感じるそうだ。
興味が尽きないデジタルマーケティング。スキルは「武器」になる
コロナ禍でリモートワークが導入されたが、緊急事態宣言が明け、部門ごとの「トライアル出社」も始まった。「オンラインとオフラインのいいとこ取りをして、みんなと上手にコミュニケーションをしていきたい」と話す。
キャリアを構築するなかで、一時は「デジタルか、マーケティングか」を天秤にかけたことがある野中さん。その当時は“別物“だったデジタルとマーケティングは、今はもう切り離しては考えられないものとなった。
デジタルマーケティングの領域は、目まぐるしく変化する社会や経済において、企業の成長戦略を加速させるための「武器」として、今後ますます注目されていくだろう。実際、創立から6年目の電通デジタルも確実に成長を続けている。
「電通デジタルで働くことに誇りを感じるのは、やはり組織が成長し続けていることですね。それは喜ばしくもあり、苦しくもあります。というのは、会社が成長していくということは、クリアしなければいけないミッション、越えなければいけないハードルがあるということですから」
それでも「チャレンジングな仕事に身をおけることは楽しい」と野中さん。「学生時代からデジタルの世界に足を踏み入れ、そのときに感じた興味とワクワク感を、今でも日々感じている」と続ける。
「デジタルの世界は本当に日進月歩で、私自身もついていくのがやっとなのですが、テクノロジーにしてもサービスにしても、新しく生み出されたものをいち早くキャッチして、お客様にご提案できるというのは大きなやりがいです。さらに、その先にある社会や人への貢献にもつながる“デジタルマーケティング”の仕事への興味は尽きることがありません」
撮影/キム・アルム、取材・文/大森りえ
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