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Conference:MASHING UP vol.5

全ての人にやさしい社会はDXで実現できる? 牧島デジタル大臣に聞いた

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画像:MASHING UP

医療・教育・就労機会の地域格差、ジェンダーギャップ、少子高齢化。様々な社会課題を抱える日本。年齢、性別、居住地域などにとらわれることなく、一人ひとりが自分らしく幸せに生きていけるようになるためには、デジタルの力が欠かせない。

デジタルというと“冷たく無機質”なイメージを持たれがちだが、実は“全ての人にやさしい社会”を実現する無限の可能性を秘めている。

2021年11月19日に開催されたMASHING UPカンファレンスvol.5では、「DXでやさしい社会をつくる。私たちに必要なチャレンジ」をテーマに、デジタル大臣・行政改革担当大臣・内閣府特命担当大臣(規制改革)の牧島かれんさんがリモートで登壇。国内最大級クラウドファンディング・サービスREADYFOR 代表取締役CEO 米良はるかさんが、モデレーターの朝日新聞編集委員 秋山訓子さんとともに、大臣就任直後の牧島さんに、目指す社会のあり方を聞いた。

デジタルの恩恵は都会だけじゃない。地方移住をサポート

セッション風景

牧島大臣によると、今後、デジタルの力で地方格差やジェンダーギャップの問題も解消されるという。

撮影:中山実華

セッションは、牧島大臣が現在進行中のデジタル田園都市国家構想の話でスタートした。

「我々がデジタルでやろうとしているのは、国民の日常生活が、平時においては“便利になった”と感じ、さらにコロナ禍のような有事の際には“安心だ”と思ってもらえる基盤を作ることです。そうした思いを反映しているのが、デジタル田園都市国家構想です。東京のスモールモデルを色々な所につくるというものではありません。各地域が持っている魅力や心豊かになれる潜在力を引き出しながら、その上で都会の利便性も得られるようにする。そんな国家構想を今、目指しています」(牧島大臣)

コロナ禍でリモートワークが導入されたことをきっかけに、都心部での生活様式に疑問を抱いたり、実際に郊外や地方に移住したりする人も増えているといわれる。その際、子どもの教育や医療などの地域格差がハードルとなり、他の地域に移住したくても諦める原因になることもある。

このような現状を踏まえ、牧島大臣はデジタル田園都市国家構想によって地方移住をサポートし、地方創生にも寄与したいと考えていると語った。

「デジタルというのは、やはり基盤であると。そして、その特性は地方でこそ活かせる。決して都会に住んでいる人々だけのものではないということですね」(秋山さん)

本当に困っている人を助けるために。デジタルは必須

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妊娠中も出産後の今も、多忙な社長業を精力的にこなせているのはデジタル化によって場所や時間にとらわれず働きやすくなったおかげだと米良さん。

撮影:中山実華

一方、民間企業の起業家としての立場からは、デジタルが社会に及ぼす変化とその可能性についてどのように捉えているのか。

米良さんが代表取締役CEOをつとめるREADYFORでは、このコロナ禍においても様々な取り組みを行ってきた。未曾有の危機の中で、デジタルが秘める大きな力を強く実感する機会があったという。

「(公財)東京コミュニティー財団と共にコロナ対策に取り組む医療機関やNPOの方々に、資金を届ける“コロナ基金”を運営してきたのですが、寄付を集め始めてから実際に団体に助成金を届けるまでに要した期間は、初回で13日。従来の基金・寄付に比べると、とても速いスピードです。本当に必要としている人に、速く、高い透明性をもって、届けるということを意識しました。

東日本大震災が発生した直後に集められた多額の寄付が、実際にどこに使われたのかよくわからないと疑問を持たれた方もいました。インターネットのちからを使って透明性の高いお金の流れを作り、必要な人たちにタイムリーに必要な資金を届けることを実現しなければ、寄付したい人も増えないし、世の中も良くならないと考えています」(米良さん)

前述のコロナ基金では約8.7億円もの寄付金を集め、感染症の専門家等の諮問を経て、全国各地のNPOや医療機関など感染防止活動を行う機関に助成を実施。コロナ禍における日本社会の現状を受けて、プル型(国民の申請主導)ではなくプッシュ型(行政主導)でスピーディーに必要な給付金を届けるためには、やはりデジタルが必要不可欠だと実感したと米良さんは語った。

「社会の基盤としてのデジタルを整えることにより、本当に必要な人にタイムリーに届けることができる。日本は10年に1度のペースで大きな危機に見舞われている国。次の危機では、本当に困っている方に、すぐさま手を差し伸べられる社会の仕組みを実現するためにも、デジタルがリードしていく必要があると考えています」(米良さん)

「女性のこれから」にDXは活用できるのか?

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現場主義の秋山さんも、コロナ禍の取材ではリモートを活用していたと話す。「時と場合によって使い分けができるんだなと、最近は実感しています」

撮影:中山実華

セッションでは、女性とDXという大きなテーマに関して、様々な側面から議論がなされた。まず、女性の暮らしや働き方におけるDX活用について。

「女性の多くは医療・介護・子育ても含めて、ケアギバー(介護に携わるもの)の存在になっているのが日本社会の現状。男性も含む、家族や社会全体でケアするという考えが、まだ十分に浸透していません。ケアギバーになっている女性たちにとって、デジタルテクノロジーが大きなサポートになっていくのではないか」(牧島大臣)

また、米良さんは、妊娠中でもリモートワークで効率よく仕事ができたという実体験を例にあげながら、政治におけるデジタル活用の可能性を語った。

「リモートだと、移動時間が短縮できる分、色々な人たちから意見を2倍、3倍聞くことができる。政治活動においても、収集できる意見の数が増える分、幅広い国民の意見を十分くみ取った政策を考えることができるようになるのでは。政治家には、現場の声を直接聞いてもらう必要がある。もっとデジタルを活用することによって、日本中、世界中の生の情報を収集して、世の中に活かしていくことに繋がる」(米良さん)

政治記者である秋山さんも、コロナ禍以降はリモートによる取材が増えたという。状況に応じてうまくリアルとリモートを組み合わせるスキルが、今後はどの分野においても必要になりそうだ。

社会全体に恩恵をもたらす「新しいお金の流れ」を

セッション風景

あらゆる層の人々の意見を一瞬で満遍なくすくい上げて反映させることができるのは、デジタルだからこそ。DX社会の未来は明るそうだ。

撮影:中山実華

話は、現政権の政策である「新しい資本主義」にまで及んだ。

「新しい資本主義構想会議」メンバーの米良さんは、長期的視野に基づく“新しいお金の流れ”を作りたいと考えている。目指すのは、社会全体に恩恵をもたらす持続可能な事業分野の発展だ。

「現代社会は、今まで以上に複雑化・個別化してきている。特に日本は短期で利益が出やすい領域に多くの資金が投入される傾向にある。

しかし世の中をよくするには、長期でメリットの生まれる領域にも資金が流れる必要があると考えています。たとえば基礎研究などは、結果が出るまでに何十年とかかります。すぐには利益が出ませんが、未来のために必要不可欠。そういった領域に資金が届くよう、新しいお金の流れを作りたいんです。そのためにはソーシャルセクターや小さなニーズに答えるような取り組みへの支援が必要だと思います」(米良さん)

また、牧島大臣は次のように述べる。

「 “成長と分配の好循環”と言っていますが、イノベーティブな新たなことに積極的に取り組んでいるのは、今や一部の大企業だけではない。

プレイヤーは10代の若者から新しいベンチャー企業まで大勢います。そのような方々を意識して応援しながら、投資や分配をできるよう、きめ細かに取り組んでいく。今ソーシャルセクターというキーワードが米良さんから出ましたが、政治・行政が全てを担うのではなく、民間の皆さんにも協働していただいて、一緒に力を合わせてやっていこうということだと思います」(牧島大臣)

社会が急速に多様化・複雑化する中で、無数の新たな課題が絶えず発生している。そうした新たな社会課題をきめ細かく迅速に解決するためには、やはり立法を待つまでの間に民間企業が能動的にサポートしていく必要があるだろう。

行政と民間企業がお互いの役割を補い合いながら、“やさしい社会”を築いていくことが期待される。

記念撮影

撮影:中山実華

MASHING UP conference vol.5

DXでやさしい社会をつくる。私たちに必要なチャレンジ

牧島かれん(デジタル大臣 行政改革担当大臣 内閣府特命担当大臣[規制改革])、米良はるか(READYFOR 代表取締役CEO)、秋山訓子(朝日新聞 編集委員)

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吉野潤子
ライター・英語翻訳者。社内資料やニュースなどの翻訳者を経て、最近はWebライターとしても活動中。歴史、読書が好きです。

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