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ゼブラとジェンダーレンズ

さぁ「新しい地図」を広げよう。ゼブラ経営が拓くこれからの社会/ZEBRAHOODイベントレポート

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事業の急成長を目指すユニコーン企業と比較される「ゼブラ企業」が、気候変動への危機感や社会課題への関心の高まりから、近年注目を集めている。

ゼブラ企業は、利益の最大化をゴールとせず、社会課題の解決を事業の目的とし、長期的にステークホルダー全員を幸せにすることを目指す。そんなゼブラ企業を支援するZebras and Companyは2022年2月4日、ゼブラ企業について語り合う日本初のカンファレンス「ZEBRAHOOD 2022」を開催。事業を通して社会課題解決を目指す起業家たちが、これからの「ゼブラ経営」について語り合った。

「ゼブラ企業」は既存のパターンに当てはまらない

Zebras Uniteの創業者マーラ・ゼペダ (Mara Zepeda)さん

ゼブラの概念を生み出したマーラ・ゼペダ さんは「事業の成功はIPOや買収だけではない。私たちが目指すのは何世紀も続く会社を創ること」と語る。

キーノートセッションには、ゼブラ企業の概念を提唱したZebras Uniteの創業者マーラ・ゼペダ (Mara Zepeda)さんが登壇。社会起業家であるゼペダさんは、これまで、複数のソフトウェアのベンチャー企業や、女性起業家の支援団体などを立ち上げてきた。その中で、「私たちがやりたいことは、これまでのパターンには当てはまらない」と、新しい事業のかたちを創りたいと考え始めたという。

「人々の関係性は、自然界のようにお互いを支え合うものだと考えています。私たちは競争や独占をしたいわけではない。文化によって、スタートアップや起業家のあり方は様々です。『ベンチャーキャピタルを倒せ』ということではなく、少し違った見方ができることを知って、自分の事業を見つけてほしい」(ゼペダさん)

ゼブラ企業の特徴は、市場を独占するのではなく、企業同士が相利共生のもと事業を持続させることだ。「他の企業と協力関係を持つことで、持続可能な事業を作ることができる。これはシマウマが群れを作って、身を守ることに似ている」とゼペダさんは語る。

また彼女は、カオスとも言える現代を乗り切るためには「新しい地図を広げることが重要」と指摘。古い地図を書き換えて、新しいシステムを生み出していくためには、「自分の現在地と役割を考えてほしい」と語った。

「今のシステムが機能しなくなると 、そこに気付き、新しいシステムを見出そうと行動するパイオニアが出てきます。その反面、既存のシステムがすぐに崩壊しないように安定させる人、なくなっていくものに敬意を表す人も必要。いろんな人たちがいることで、新しいことを実現するコミュニティが生まれます。ぜひ皆さんには、既存のシステムと新しいシステムが生まれるループについて学び、自分は何ができるのか考えてほしいですね」(ゼペダさん)

最後にゼペダさんは、「一緒に新しいシステムを作りましょう。ゼブラに共感する皆さんの力が必要です」と、ゼブラの概念が創る新たな世界への協力を呼びかけた。

「誰かを喜ばせたい」思いが事業を生み出す

ステークホルダー主義と成長は両立できないのか? 」に登壇した起業家たち。

ゼブラ企業を立ち上げた起業家たちによるトークセッション。「ステークホルダーとともに事業を成長させるために大切にしていること」をテーマにさまざまな意見が飛び交った。

カンファレンスでは、多様な業界で実際にゼブラ経営を行う起業家たちが、熱い議論を交わした。トークセッションの一つ「ステークホルダー主義と成長は両立できないのか? 」では、誰もが参加したくなる企業や、ビジネスのつくり方が語られた。

登壇したのは、福島の地域資源を活かして地域と都市を繋ぐ、陽と人 代表取締役の小林味愛さん、戦争・紛争の解決、被害者の支援を行うピープルポート 代表取締役社長の青山明弘さん、スタートアップ企業から大企業までの事業創出に伴走するITベンチャー企業、Sun Asterisk 代表取締役の小林泰平さん。

Zebras and Companyの共同創業者 陶山祐司さんをモデレーターに、ゼブラ企業を立ち上げた経緯や、ポジティブにステークホルダーを巻き込む事業のあり方について話し合った。

社会課題を解決する事業を開始したきっかけとして3人に共通していたのは、「つらい思いをする人たちを救いたい」「世の中の人を幸せにしたい」という思いだ。さらに小林さんは「救いたい人から離れたところで考えるのではなく、現場に行ってミクロな視点を持つことが大切だ」と考えている。

ソーシャルビジネスを通じて社会課題の解決を目指すボーダレス・ジャパンにおいて、社内起業という形でピープルボートを立ち上げた青山さん。現在日本で生活している難民のサポートも行う中で、大切にしているのは個人として向き合うことだと語る

「最初は、彼らを可哀想だと感じることもありました。でも支援対象者に同年代が多いこともあり、接しているうちに『自分と変わらない人たちなんだ』と思うように。個性や能力は、みんなが同様に持っている。彼らが持っている可能性をいかに発揮できる場所を作るか、そのために新しい事業も考えています」(青山さん)

一方で小林さんは「課題解決ばかりに縛られていることに、違和感がある」と、自らの事業では“価値創造ドリブン”であることを意識しているという

「価値創造の結果、社会課題を解決できたという順番が事業を面白くする。課題を解決したいという思いばかりではなく、誰かを喜ばせたいとか、社会をよくしたいという思いで事業はやるものだと思っています。課題解決型から、価値創造型にシフトしていくような取り組みをしていきたいですね」(小林さん)

ただ社会課題を解決するだけでは、持続的な事業とはいえない。マクロの視点で考え、全体に利益がある事業を運営することが重要だと理解させられたセッションだった。

ジェンダー視点×ゼブラ経営で、社会を変える

大学生と起業家が語り合う「ZEBRAS’ DIALOG」の様子。

大学生と起業家が語り合う「ZEBRAS’ DIALOG」では、ジェンダーや再生循環型ビジネスなど幅広いテーマが取り上げられた。

ほかにもゼブラ企業におけるファイナンスやクリエイティブに関するセッションが繰り広げられる中、「ZEBRAS’ DIALOG」と題したセッションも同時並行で開催。実際に社会課題の解決を目的として活動するゼブラ企業と、これからの社会を担う現役大学生が語り合う、ダイアローグ型のトークセッションだ。

その一つが、経営におけるジェンダーレンズ、つまりジェンダー平等の観点を組み込んだビジネスについてのセッションで、女性起業家や職場のジェンダー平等を促進する企業、女性の生活向上を目指すサービスを提供する企業などが参加した。事業を立ち上げた経緯やぶつかった困難などが語られ、ジェンダーとゼブラ経営の2つの視点で議論が展開された。

このダイアログセッションに登壇した、乳がん検査機器を開発するLily MedTechの東志保さんは、これまで女性向けのサービスは投資家から出資を受けることが難しいと感じることがあったという。

男性が多い投資の世界では、女性向けの事業が秘める可能性をすぐに判断できる人が少ない。これはベンチャー企業でなくとも、女性がターゲットのサービスを提供する企業なら抱える悩み。でも女性に特化した事業が出てくると市場も盛り上がりますし、女性にとって希望となることは間違いありません」(東さん)

参加した学生からは「現代社会では、ジェンダーに関して語ると分断を生むことも。まず自分のことを知り、社会を理解できるようにしたい」など、ジェンダーレンズやゼブラ企業に関しての理解が深まったという声が聞かれた。

世界で徐々に浸透し始めているゼブラ企業。起業家たちが手掛ける事業は、さまざまな模様を描きながらも、目指す未来は一直線に同じ方向を向いていた。今回のZEBRAHOODをきっかけに、ゼブラ企業に賛同する人たちが大きな群れとなって、世界を変えていくことを期待したい。

『ZEBRAHOOD』アーカイブチケット絶賛発売中!

主催:ゼブラアンドカンパニー
共催:東京ゼブラズ・ユナイト、SHIBUYA QWS、明光ネットワークジャパン
アーカイブチケット購入はこちらから:https://archivezebrahood2022.peatix.com

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