- Home
- Social good
- 夢を描き、学び続けよう。次世代クリエイター支援を掲げ、インテルの新プロジェクトが始動
2022年3月22日、アートとテクノロジーの分野に一石を投じるプロジェクト「インテル®️ Blue Carpet Project」が発足した。
このプロジェクトは、情熱と才能を持ち創作活動に勤しみながらも、十分な環境や発表の機会を持たない若いクリエイターや学生を、インテルが中心となり、企業や教育機関などのパートナーとともに支援するというもの。同日に開催された第一回目のイベント「インテル®️ Blue Carpet Fes 2022 Spring」には、国内外で活躍するトップクリエイターが集まり、後進に熱いエールを送った。
クリエイターエコノミーを担う世代に、インテルができること
クリエイターエコノミーの市場規模と今後の展望について語る、インテル代表取締役社長 鈴木国正さん。
画像:MASHING UP
テレワーク普及のニーズなどにより、インテルの2021年PC出荷台数は前年対比13.5ポイント増を達成したという。ゲーミングPCやビジネス向けPCだけでなく、需要の高まりが顕著だったのはクリエイター向けPC。InstagramやTikTok、YouTubeなどによる情報発信や、アーティスト、ジャーナリストとしてクリエイター活動をおこなう人は全世界で約5000万人にものぼり、その層が形成した「クリエイターエコノミー」の市場は拡大を続けるばかりである。
自由に発信するプラットフォームが増える一方で、若きクリエイターは金銭面や人とのつながりといった理由で、創造環境の整備やクリエーション発表の機会に制限がかかってしまう。そこで、インテルが“使命”と掲げて発足したのがインテル®️ Blue Carpet Projectだ。
インテルの代表取締役社長 鈴木国正さんは、「クリエイションとテクノロジーの関係がますます密接になっていくなか、クリエイティブ制作全体の底上げを図ると同時に、そこから生み出されるコンテンツを、より多くの人々に届ける。そんな支援をさせていただくことこそが、インテルの使命」と、プロジェクト発足の経緯を説明した。
さらに、同社技術本部部長 安生健一朗さんは、グローバルに急拡大するクリエイターエコノミーにおいて、日本のクリエイターに海外で活躍する機会を提供したいとも語る。
「日本のコンテンツの素晴らしさやユニークさは、特筆すべきものがある。学生やアマチュアのクリエイターとトップクリエイターをつないだり、クリエイターに海外で活躍できる機会を提供したりと、プロジェクトを通してクリエイターが高みを目指せる環境を提供したい」(安生さん)
芸術は教育・育成するもの。企業や教育機関が手を取り合って
東京藝術大学の副学長、同大大学院映像研究科教授の岡本美津子さん。
画像:MASHING UP
このインテルの思いには、多くの企業や団体が賛同の意を示した。
そのひとつ、東京藝術大学の副学長であり、同大大学院映像研究科教授の岡本美津子さんも、アートやクリエーションにおける教育の必要性を強調する。
「よく“芸術は天賦の才”などといわれますが、芸術は教育・育成するものです。どんな芸術家であっても、ちゃんとした環境の下で自分の知識や技能、体験を習得する機関が非常に重要で、世界的視野で教育されなければいけませんし、それは我々も常に心がけていることです」(岡本さん)
プロジェクトのパートナーには、PCメーカー、マザーボードメーカー、カメラメーカー、周辺機器メーカー、ソフトウェアメーカーなどの日本を代表する企業や、このイベントの会場となった工学院大学などの学校・教育機関、第一線で業界を牽引するクリエィティブカンパニーが名を連ね、今後インテルとともに若きクリエーターの活動を支援していく。
PCメーカー:ASUS JAPAN、インバースネット、NEC パーソナルコンピュータ、エムエスアイコンピュータージャパン、LGエレクトロニクス・ジャパン、サードウェーブ、Dynabook、TSUKUMO、デル・テクノロジーズ、日本 HP、日本ギガバイト、VAIO、富士通クライアントコンピューティング、マウスコンピューター、ユニットコム/マザーボードメーカー:ASRock Inc.、ASUS JAPAN、エムエスアイコンピュータージャパン、日本ギガバイト/カメラメーカー:キヤノンマーケティングジャパン、パナソニック/周辺機器メーカー: EIZO、ワコム/ソフトウェアメーカー:アドビ(50音順、法人格略)
画像:MASHING UP
クリエイターカンパニー:IMAGICA EEX、イメージソース、クラウドワークス、こびとのくつ、CONDENSE、Studio KADAN、ティーアンドエス、ピクス、ピクスタ、Vook、ポリゴン・ピクチュアズ/学校・教育機関:工学院大学、滋慶学園、COM グループ、デジタルハリウッド大学、東京藝術大学、東京国際工科専門職大学、日本教育財団 HAL、REDEE(50音順、法人格略)
画像:MASHING UP
大切なのは、「夢を描き続けること、学び続けること」
左より、モデレーターを務めたIMAGICA EEX・早川正祐さん、インテル・安生健一朗さん、THINK&SENSE・松山周平さん、SMALT・西郡勲(にしごおり いさお)さん、こびとのくつ・工藤美樹さん。
画像:MASHING UP
イベントのなかでも一層盛り上がりを見せたのが、インテルが支援するクリエイターのコミュニティ インテル®️ Blue Carpet Clubによるトークセッション、「クリエイタークロストーク」だ。
登壇したのは、Blue Carpet Culb第1期メンバーより、松山周平さん(ティーアンドエス/THINK AND SENSE部長)、西郡勲さん(SMALT)、工藤美樹さん(こびとのくつ)。そしてモデレーターを務めた早川正祐さん(IMAGICA EEX)という錚々たる顔ぶれだ。
それぞれがクリエーションにおけるテクノロジーのあり方や、創作活動において大切にしていることを紹介するなかで、クリエーションの領域は違えど、どの登壇者にも共通していたのが「夢を描き続けること、学び続けることが大切」という思い。
「今、僕が作っているものは、20代のときにやりたかったことだったりする。今できなくても、夢を描いて、『20年30年後にこういう未来が来たら』といったことは、いつも考えている」(西郡さん)
「プロになってからも常に勉強し続ける人こそが、第一線で走り続けられる人だと思う。学び続けるという姿勢を、常に持っていることが大事」(工藤さん)
また、クリエイター同士で知見をシェアし、お互いを鼓舞していくことの大切さを語ったのが松山さん。
「学生さんには『こんな作品を世に出していいのか』というジレンマがあるかもしれないが、僕のようなプログラマーにとって、オンライン上で情報を共有して知見をシェアすることは当たり前の文化。お互いを鼓舞しあう機会には、積極的に参加すべき。このインテルのプロジェクトも大きなきっかけになるはず」(松山さん)
一緒に業界を盛り上げる後進のために、手の内まで明かしながら
加工・修正というイメージのある「レタッチ」という表現方法を用いた工藤さんのアート作品。もともと油水彩や陶芸、書道といった“アナログ”の世界に身を置いていたという工藤さん。テクノロジーに出会い、「雷に打たれたようだった、天職に出会えたと思った」と振り返る。
画像:MASHING UP
さらに、イベントでは2つのワークショップを実施。トークセッションにも登壇した「THINK AND SENSE」の松山さんとエンジニアの谷崎文香さん、「CONDENCE」のパフォーマー・Toyotakaさんが、インテルが開発・無償提供しているツールキット「OpenVINO™️」による画像認識の事例を発表した。
また、画像の加工・修正にとどまらない「レタッチ」という表現方法を紹介したのが、「こびとのくつ」の工藤美樹さん。「技術と感性を武器に理想の人生を切り開くために」をテーマに、自身の経験を踏まえた5か条を紹介した。
そのなかで、「人生に無駄なことはひとつもない」という言葉や、自身が「曖昧さを受け入れる度量の深さ」と解釈する“ネガティブ・ケイパビリティ”を持つことの強さについて語られた。創作のノウハウだけにとどまらないメッセージは、どんな職種に就いている人にも学びと気づきが得られるものに感じられた。
このように、Blue Carpet Clubメンバーが惜しみなく語る自分の経歴や葛藤、PC環境や制作フローは、若きクリエイターにとって何よりの学びであり、エールとなるはず。メンバーの言葉の端々に「一緒に業界を盛り上げていきたい」という熱い思いが感じられるイベントであった。
クリエイター、作品、企業や社会が紡ぐシナジーとは
Blue Carpet Projectの活動は、今後Fesやさまざまな学生向けのコンテストなどが予定されている。
画像:MASHING UP
今回のBlue Carpet Fes 2022 Springはオンラインでの開催となったが、今後はSummer、Autumnと四半期に一度のイベントを開催予定。メンバーがリアルに集ってディスカッションやセミナーをおこなう、学びや交流の場が設けられる。
また、学生向けの作品発表の機会「インテル®️ Blue Carpet Studio」も開催予定。夏と秋にはBlue Carpet Clubによるワークショップが実施され、2023年の作品発表・展示を目指す。
さらに、学生たちにプレゼンテーションの機会を提供する「東京国際プロジェクションマッピングアワード」や、工学院大学が新たな表現の場として設置したキネティックウォール「THE WALL」での理工系 学生アートコンンペティション「壁 FES」なども開催予定だ。
これまで作品の制作方法や発表の機会を模索してきた若きクリエイターにとって、インテル、そしてパートナーのサポートはどのような後ろ盾になるのか。そして学生たちの情熱やクリエイターたちのシナジーは、業界や社会をどう突き動かしていくのか、注目は集まるばかりだ。
[インテル ]
取材・文/大森りえ
イベント
おすすめ
JOIN US
MASHING UP会員になると
Mail Magazine
新着記事をお届けするほか、
会員限定のイベント割引チケットのご案内も。
Well-being Forum
DE&I、ESGの動向をキャッチアップできるオリジナル動画コンテンツ、
オンラインサロン・セミナーなど、様々な学びの場を提供します。