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THECOOのFanicon事業本部でシニアデザイナーを務めるムラキさん。コミュニティ型ファンクラブ「Fanicon」のUIデザインだけでなく、要件定義や仕様策定など、幅広い業務に携わっている。入社の理由を「“おもしろい人”と仕事をしたかったから」と語る彼女にとって、THECOOという組織の魅力、デザイナーが果たすべき役割とは。
ムラキ/伊美沙智穂(いみ・さちほ)
NTTドコモで流通・小売業界のアカウントマネージャーを経験後、UI/UXデザイナーへ転向。toC向けアプリケーションの開発に従事したのち、2021年にTHECOOへジョイン。他、個人ライターとしてBusiness Insider等のメディアへ記事寄稿も行う。ムラキはビジネスネーム。
一度離れたデザイナーのキャリア。“おもしろい人”と働くのが仕事のモチベーション
法人営業時代。深夜の飲み会や出張、休日の業務連絡が当たり前で、仕事自体は楽しかったが、出産後は育児との両立に不安があった。検討の末、フルリモート勤務ができる企業へUIデザイナーとして転職することを決意。
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高校生のころから、イラストを描いてネット上に掲載していたムラキさん。本格的にデザイン制作を始めたのは、大学2年生のときだという。
「友人のバンドのライブ告知用フライヤーや、フリーペーパーを遊びでつくるうちに、自然とお金をもらって仕事を請けるようになったんです。
さまざまな企業からデザインを依頼していただいたのですが、契約的な面に疎かったせいで痛い目をみたこともあって……。新卒の就活ではデザイナーとしてのキャリアは選択肢に入れず、NTTドコモの総合職に就職を決めました」
NTTドコモでは本社法人営業部に配属され、流通・小売業界の担当部門にてアカウントマネージャーを担当。移動体通信(※)に関連したハードウェア・ソフトウェアの導入や、受託システムのプロジェクトマネジメントに携わった。
「もう一度デザイナーとして働き始めたきっかけは、Twitterでした。当時結婚・出産を経て育休中だったんですが、『育休中でもできる軽い仕事がほしい』とつぶやいたら反応があって。簡単なデザインのお手伝いをさせていただくうちにご縁がつながって、いろいろなスタートアップからお仕事をいただくようになりました。
その後、そのうちの1社に働きやすさを求めて転職。そこでは、コンシューマー向けのアプリデザインや、社内向けの業務管理システムのデザインなどに携わりました」
約2年働いたころ、ムラキさんがおもしろい=一緒に働きたいと思っていたチームメンバーが異動することに。“おもしろい人”がいる環境こそ、仕事をする上での大きなモチベーションになるムラキさんは、再度転職を考えるようになったという。
そんなムラキさんをTHECOOに誘ったのが、当時デザイナーの採用に苦戦していたFanicon事業部ビジネス開発担当の西村裕之さんだった。
「そもそも西村との出会いは、私がspotifyの『雨の日に聴きたい曲』のプレイリストを載せた記事をnoteに公開したことがきっかけ。
当時は知り合いでもなかった西村が、『おかげさまで素晴らしいアーティストと出会えました。本当に素敵なnoteをありがとう』と、Twitterで長文のメッセージを送ってきたんです。
最初は『なんだこの人(笑)』と思ったのですが、そこから好きな音楽をテーマにDMでやりとりをする関係になりました。
そんな西村から『いいデザイナーってどこにいるかな』と相談を受けるうちに、THECOOっておもしろそうだなと興味を持ち、面接を受けてみることにしたんです」
転職先の候補は他にも数社あったものの、「ウマが合いそうだったから」という理由でTHECOOを選んだムラキさん。
「採用面接をするにあたって、硬めの面接スクリプトを用意している企業が多い中、THECOOの面接は雑談ベースで、定型的な質問がほとんどなかったんです。前職での経験など仕事の話題も出るんですが、形式張ったところがなく、趣味の話も含めていろんな話ができました。
また、代表取締役CEOの平良真人を始め、面接官全員がそれぞれ特色のある“おもしろい人”たち。カルチャーフィットしそうだと直感して、入社を決めました」
※ 携帯電話のように無線で接続し、端末が移動できる電気通信のこと
入社2か月で30人と1on1。自分の得意に合わせて、幅広く仕事ができる環境
入社のきっかけになったspotifyプレイリスト。これがなければ別の会社に入っていたかもしれないと語る。
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2021年10月、THECOOに入社したムラキさん。2か月のオンボーディング期間にまず求められたのは、会社全体を把握することだった。
「メンバーの名前と仕事の内容、特徴などが書かれた面談リストを渡され、『とりあえず、全員と1on1で話して』と言われました。リストに載っていたのは、社外取締役や世でいう課長、部長にあたるキャプテン陣。他にも、デザイナーやエンジニアなど合計30人くらいと話しましたね。
それと並行して、『Fanicon』利用者からの問い合わせに返信するカスタマーサポート業務も体験しました。中途にもこのように丁寧なオンボード期間を設ける企業は珍しいかもしれません。
この2つの期間を設けてもらえたことは、結果的に大正解だったと感じています。今の仕事は部署横断的な動き方をすることが多いのですが、初手で他部署のメンバーと面識を得ていたことにより、非常にスムーズに進めることができました」
2022年6月現在、ムラキさんはシニアデザイナーとして、「Fanicon」の要件定義や仕様策定のほか、デザインシステム、インターフェースの検討にも携わっている。
「デザイナーは、大まかに2つの組織に分かれています。1つは、バナーなどのグラフィックデザインを作る組織。もう1つが『Fanicon』というアプリケーションのプロダクトデザインを扱う組織で、こちらは社内的にはエンジニアと同じように扱われます。前者には、業務委託のデザイナーが5人ほど、後者には初期からいるメンバーと私の2人が所属しています。
業務は“職種に対して割り振られる”というより、その人の“得意なことに合わせて振られる”ことが多いです。私はアプリのUIデザイン以外にも、時折プロジェクトマネージャーを任されます。他にも、フロントエンドエンジニアのような動きをするデザイナーもいますし、フレキシブルな動きが求められるのが、THECOOの開発部の特徴ですね」
デザイナーの仕事とは、課題とそれを解決するための道筋を論理的に“設計”することだと語るムラキさん。
「色や文字のサイズ、フォントなどの目に見えるインターフェースを決めるのは本当に最後の仕事。そこに至るまで、『どんな目的があるのか』『その目的を達成するために何をやるべきか』に対して、明確に意思決定していくことがデザイナーの仕事です。
たとえばアプリデザインの場合、エンジニアに要件を相談すると、『今のシステム構造上、実装を避けたい』という反応が返ってくることがあります。
さまざまな技術的・金銭的・時間的制約がある中で、最終的に何を実装してもらうのか、エンジニアやビジネスサイドと合意して進めなければいけません。そんないわば‟交通整理”をしながら、最終的にどんな形に仕上げるかを決めるのが、デザイナーの役割だと思っています」
オープンなコミュニケーションが業務効率化の鍵。「自由と責任」のカルチャー
目に見えるインターフェースを考えている時間よりも、動作について細かな仕様を考えている時間の方が長い(プライバシー保護のため画像を加工しています)。
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エンジニアをはじめ、他の部署とやりとりする場面が多いデザイナーの仕事。ムラキさんは、コミュニケーションを取る上で2つのことを意識しているという。
「1つは、当然ながら『仲良くなろう』とすること。たとえば、Slackの雑談チャンネルの投稿には、なるべく反応するようにしています。
もう1つは、チャットでのやりとりのオープン化。ダイレクトメッセージによる1対1のやりとりだと、そこで交わされる情報は当事者間でしか知り得ませんし、そこから第三者に伝えるとなると、途中で大切な内容が削がれてしまうこともあります。
業務を円滑に進めるためにも、オープンチャンネルで話すこと、決定事項をドキュメント化することを大切にしています」
そんなムラキさんが「THECOOのカルチャーを象徴するような出来事」として挙げたのが、全体ミーティングでのエピソード。
「THECOOには、役員に対して匿名で意見・質問などを投げられる目安箱制度があるんです。そこに寄せられた声は、週に1回、全社員が集まる全体ミーティングで公開されるんですが、あるとき『(仕事でアーティストに関わることが多いので)ライブ休暇制度が欲しい』という意見が取り上げられたことがありました。
それに対する代表の平良の答えは、『制度がなくても、そのライブが仕事をする上で大事なものなら、部署内でコンセンサスを取って行けばいい』。制度を作ると、結局そこから逸脱できなくなるのが嫌だ、という考えなんです。ルールがなければ自分で考え、自分で意思決定できるでしょと」
こうした考え方は、普段の働き方にも現れているとムラキさんは話す。
「たとえば、『週2日だけ出社すれば、あとはリモートでもいいよ』とルール化してしまうと、週に2日の出社が絶対になります。そうはしたくないというのが、経営陣の考え。フルリモートでパフォーマンスが上がるなら出社しなくていい自由があるし、逆に下がってしまうのであれば、自分の判断で出社を選ぶ責任があります。『自由と責任』を大事にするところが、自分の感覚にとても合っているなと思います」
デザインの対象は、UIから組織へ。THECOOをもっとおもしろい場所に
今後デザインが自動化される世を見据え、長期的には意思決定するポジションを目指しているムラキさん。
直近では、組織を横断した取り組みにも挑戦していきたいと話す。
「組織の規模が大きくなると、デザインはデザイン組織、エンジニアリングはエンジニア組織と、細分化していきます。なので、THECOOがまだ小規模なうちに、全体を俯瞰的に見ながら、デザイン的観点で最適化をはかるような仕事をしてみたいと思っているんです。
いわゆるPM(プロジェクトマネージャー)の立ち位置にも近いかもしれません。デザイナーという立場で、どれだけメンバーのパフォーマンスを最大化できるかということに、今は関心がありますね。
それに、社内には整理すべきことがまだたくさんあります。たとえばつい最近まで、営業メンバーは自作の営業資料をお客様に提示していたんですが、そうすると内容やクオリティにばらつきが出てしまうんです。そのため、基礎となる資料を定型化し、今後のプロダクトの変化に応じて定期的に更新をかけられるよう、社内の運用体制を整えました。
ビジュアル的な改善はもちろんですが、定型化するに当たって『ここのサポート体制は本来こうあるべきでは?』 など、サービス自体に対する本質的な議論も必要で、各部門の責任者と膝を突き合わせながら内容を精査したんです。表には出にくい仕事ですが、組織的な動きはインパクトが大きいので、今後も続けていきたいです」
そんなムラキさんが考える、THECOOで活躍できる人材に必要な資質は、“自律的な思考ができる”こと。
「自分の考えで判断できることが大前提。でも、組織内のメンバーがそれぞれ明確な考えを持っていれば、当然、ぶつかり合ってハレーションを起こすこともあります。ぶつかること自体はまったくネガティブではなく、むしろ歓迎すべきことだと私は考えています。きちんとコミュニケーションを取って、最終的な落としどころを一緒に見つけられる人と働けたらと思いますね」
「THECOOには、好きなものを好きといえて、熱く語れる個性的なメンバーが多い」と話すムラキさん。「自由と責任」を合言葉に、これからも挑戦は続く。
“おもしろい人”がいる場所を、もっともっとおもしろくするために。
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