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最新のウェルネスソリューションは、“女性”のためでなく“みんな”のため

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画像:MASHING UP

働き方が多様化している現在でも、月経や更年期など体にまつわる悩みは、女性の人生を右往左往させている。女性たちがいきいきと生きるために、今何が求められているのだろうか。2022年10月に開催された「FemtechFes! 2022」では、世界各国のフェムテック製品の展示や識者によるトークショーを通して、女性のウェルネス向上のヒントが多数紹介された。今回は、トークセッション「最新ウェルネスソリューション 〜最低限から多様性へ〜」の様子をレポートしたい。

登壇者は、人材エージェントWaris代表・田中美和さん、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)求人サイトJobRainbow代表の星 賢人さん、ジャーナリストの浜田敬子さん。最新のソリューション事例をもとに、企業に求められるウェルネス施策を探った。

コロナ以降、女性向けウェルネス施策の意識は激変

田中美和さん

「Waris」代表・田中美和さん。コロナ禍以降、よりフレキシビリティの高い働き方が求められていると語る。

画像提供:fermata

田中美和さんは、大学卒業後、雑誌『日経ウーマン』の記者として多数の女性のライフキャリアを取材。その後、人材エージェントWarisを起こし、「自分らしい働き方」を求める女性のジョブマッチング事業に奔走している。田中さんは、コロナ禍以降、より多くの女性たちが「ウェルネス」を重要視していると語る。

「リモートワークで働き続けるために、転職や独立を考える方が増えています。自由度の高い職場を選ぶ人も多様化していて、『Waris』を創業した2013年当時は、30〜40代のワーキングマザーが主体でしたが、現在は20代の方が3割を占めます。お子さんの有無に関係なく、フレキシビリティの高い働き方が確実に求められていると感じます」(田中さん)

企業側は現在、女性向けのウェルネス施策にどう取り組んでいるのだろうか。上場企業を中心に、500社以上のダイバーシティコンサルティングを実施しているJobRainbow代表の星さんは、企業の女性向けのウェルネス施策にパラダイムシフトを感じると言う。

「企業はこれまで、生理休暇取得の安定や福利厚生の充実に注力していました。でも、毎月『生理休暇を取りたい』と男性の上司に言いづらいという女性もいる。生理休暇の推進をするだけでなく、働き方を柔軟にする方が、会社にも働いている側にもプラスだと企業側の価値観が激変しているのを感じます」(星さん)

この意見に、進行役を務める浜田さんも大いに同調。働き方を変え、ウェルネス施策を成功させた企業として、NTTコミュニケーションズの事例を挙げた。コロナ禍以降もリモートワークを徹底したところ「従業員満足度調査」のエンゲージメントが上昇。特に、女性の満足度がぐっと上がったという。

「私が取材したNTTコミュニケーションズさんは、これまで女性向けの様々な制度や施策を整備しても、エンゲージメントでは男性より女性の方が数ポイント下回っていたそうです。細かい制度をつくるよりも、“自分で働き方をデザインできる”ことが、満足度につながるのだと感じました」(浜田さん)

働く男性の意識も変えたリモートワーク

星賢人さん

JobRainbow代表の星賢人さん。働き方を柔軟にすることは、企業にとってメリットが多いと感じると言う。

画像提供:fermata

女性の働き方が変われば、自ずと男性の意識も変わっていく。星さんは「ウェルネスソリューションを女性だけの問題にしてしまうと、女性が家事・育児をすることが前提になってしまう」と問題を提起する。

「パートナーの男性の会社が変わっていなければ、女性が働きやすくてもあまり成果が出ないですよね。また、企業だけが取り組むのではなく、社会全体が変わっていかなければならない。今こそ『エクイティ(公平性)』の視点が求められています」(星さん)

実際、「子どもとの時間を大切にしたい」「健康を考えてもっと柔軟な働き方をしたい」と働き方を変える男性も多い。「Waris」では、フレキシブルな働き方を求める男性登録者が急増しているという。

「前職で大企業の管理職をしていた男性が、転職後『子どもと一緒に夕飯が食べられて幸せだ』と言っていました。そういうことの積み重ねが、人の幸福とか健康につながるのかなと感じます」(田中さん)

自宅と会社を行き来するだけの人生に、多様な視点は生まれづらい。コロナ禍のリモートワークの経験で男性の中に「ダイバーシティ」が芽生え、働き方への意識改革が起こっているのかもしれない。

目指すべきは、性差に関係になく一人ひとりの能力が発揮できる社会

浜田敬子さん

ジャーナリストの浜田敬子さんは、ウェルネス施策の設計をする際「皆のための制度になっているか」が重要だと語る。

画像提供:fermata

今後、企業や社会はどんなウェルネス施策を進めていくべきか。多くの企業をコンサルティングしてきた星さんは、こう見解を示した。

「最近の企業の傾向では、“一人ひとりの多様性”という観点でコンテクストをつくっています。例えば、自分は猛烈に働いているけど、そのせいでパートナーの働きやすさはどうなのか? と考えてみる。施策というハード面だけでなく、そういうソフト面の改革が必要だと思います」(星さん)

性差に関係なく、一人ひとりの能力が発揮できる社会であることが理想だ、と田中さんも同意。

「“生きる”と“働く”は、ニアリーイコール。社会全体で誰一人も取り残さないような、“みんなの”ウェルネスが実現する、制度や仕組みを考えていかなければならないですね」(田中さん)

女性のウェルネスの実現は、働く人皆がよりよく生きることにつながる。目指すべきは、働き手の価値観に寄り添った、100人100通りの働き方が選択できる社会。すべての人が楽しく働き、楽しく生きられる未来に、少し光が差したセッションだった。

会場の様子

女性のウェルネス向上を目的としたイベント「FemtechFes! 2022」は多くのオーディエンスに囲まれた。

画像提供:fermata

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石上直美
ライター・エディター。出版社にてウェルネス誌・カルチャー誌の編集者として勤務後、フリーランスに。現在は環境・ジェンダー問題などSDGs関連の記事や、ライフスタイル、インタビュー記事を中心に取材・執筆。また、社会問題をテーマとした映画レビューも手がける。

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