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MASHING UP SUMMIT 2023

あきらめずに夢をつなぎ続ける。宇宙ビジネスの未来を切り開く倉原直美さんの「バケットリスト」

Sponsored by ポルシェジャパン

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夢を追い続ける、全ての人を応援するスポーツカーメーカー ポルシェが送るポッドキャスト番組『Bucket List(バケットリスト)』。3月8日の国際女性デーを記念し、同日開催のMASHING UP SUMMIT 2023で実施された公開収録に、ゲストとして宇宙ベンチャー インフォステラ 共同創業者 代表取締役CEOの倉原直美さんが招かれた。

人生の中で絶対に叶えたい夢のリスト──Bucket List。倉原さんの夢を形作ってきた情熱の源、そしてこれから叶えたい次なる夢について、番組ナビゲーターであるモデル、ラジオDJのShaulaさんと、ポルシェジャパン執行役員・マーケティングCRM部の前田謙一郎さんが聞いた。

地上アンテナのシェアリングサービスを着想。未来のために地球と宇宙をつなぐ

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2023年3月8日、渋谷のTRUNK(HOTEL)にて開催されたMASHING UP SUMMIT 2023で、Bucket Listの公開収録が行われた。左から、Shaulaさん、倉原直美さん、前田謙一郎さん。さらに、会場のエントランスではポルシェとして初となるフル電動スポーツカータイカンの展示が行われ、会場を訪れる人を出迎えた。

撮影/中山実華

「宇宙に行く」というと、かつては国や宇宙機関が主たるプレイヤーというイメージがあった。しかし今、宇宙をめぐる状況は大きく変わりつつある。2010年代以降、衛星の小型化と低価格化が進み、かつ民間のロケットサービスが増えたことで、倉原さんのように宇宙ビジネスに参入する民間企業が急増しているのだ

倉原さんが共同設立したインフォステラは、「We connect Earth and Space to empower the future(未来をエンパワーするために地球と宇宙をつなぐ)」というビジョンを掲げ、世界中にある人工衛星用の通信設備(アンテナ)をシェアするプラットフォームを開発・運営している

倉原さんがこの着想を得たのは、ポスドク時代に、小型衛星の開発および利用拡大を目指すプロジェクトに参加していたとき。衛星と通信するための地上側の無線局が少ないために、衛星からデータを受信するためには多大な労力と通信費用が必要だった。「衛星利用のボトルネックはここだ」という気づきが、「地上アンテナのシェアリング」という事業アイデアに結びついたのだ。

「宇宙に行く」夢を追い続けて起業。出産を経て気づいた理想の組織のかたち

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インフォステラ 共同創業者 代表取締役CEOの倉原直美さん。

撮影/中山実華

倉原さんと宇宙との出会いは、小学生のころに遡る。とにかく宇宙が大好きで、宇宙関連の図鑑や本を読んだり、小さな天体望遠鏡で月の観測をしたり。「宇宙に行きたい、宇宙に関わる仕事をしたい」──その夢を追いかけて進路選択をした結果、研究者を経て宇宙関連の民間企業に転職。2016年にインフォステラを立ち上げた

「実際に宇宙ビジネスに関わるとなると、いろいろなハードルがあったのでは?」というShaulaさんの問いかけに、倉原さんは大きく頷く。

「運動も勉強もよくできる、学校のなかでも優秀な人しか宇宙飛行士にはなれないと思っていたので、そもそも『宇宙に行きたい』と言えなかった。それでもあきらめたくなくて理系の大学に進学し、なんとか夢をつないできました」と語る倉原さんは、起業して経営者になることも、全く考えたことがなかったと振り返る。そのうえ起業と出産のタイミングが偶然にも重なり、赤ちゃんを育てながら新規事業を軌道に乗せるという難題にも取り組んだ。

「当時は『ワーカホリックマザーになる』と宣言して、出産後もリモートワークを組み合わせて早々に復帰したんです。でも今は、いろいろな思いや生活リズムの違いも受け入れられる組織のほうがいいと考えるようになりました

実際にやってみて思ったのは、なんとかなるということ。チームメンバーだけでなく、投資家の方々にも助けられました。スタートアップの経営者はワーカホリックで当たり前というイメージがありますが、私のような働き方を許容し『大丈夫、がんばれ』と励ましてくれたのは心強かったですね」(倉原さん)

経営者が体現しなければ、多様性という文化は根付かない

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ポルシェジャパン執行役員・マーケティングCRM部の前田謙一郎さん。

撮影/中山実華

現在、倉原さんは子どもと夜の時間を一緒に過ごすために、18時には仕事を切り上げ、それ以降のミーティングは断っているという。社員にも柔軟な働き方を推奨し、コロナ禍をきっかけにオフィスをなくして全員リモートワークにした。勤務時間も自由度が高く、コアタイムは12時〜16時のみ。また、同社が導入しているOpen PTO (Paid Time Off)は、通常の有給休暇を使い切ってしまった場合でも上司の許可を得た上で、追加で無制限に有給休暇を取得できるという制度。

チームメンバーと積極的にコミュニケーションをとり、仕事に支障がないようにすることを大前提としつつ、一人ひとりが自主性を持って仕事に取り組み、時にはリフレッシュもしながら継続的に会社に貢献できるよう、さまざまな工夫を重ねている。

また、インフォステラの顧客は海外在住の人工衛星のオーナーやオペレーターが多く、社員の国籍もさまざまだ。「最初から狙っていたわけではないが、結果としてダイバーシティのある会社になった」と話す倉原さんに、「そこはぜひ、深掘りしたかった」とポルシェジャパンの前田さんが問いかける。

「自動車業界を取り巻く外的要因は、急速に変化しています。ポルシェもカーボンニュートラルを目指すなかで2020年に初のEVスポーツカー『タイカン』を発売するなど、EVシフトを加速させています。これからは組織もどんどん多様化していかないと、環境の変化についていけなくなるフェーズに入っている。組織に多様性を根付かせるためには、どのようなポイントに気をつけるべきでしょうか」(前田さん)

「一つ言えるのは、結局ダイバーシティとは価値観・経験・思いが違う人が集うということなので、根本的に違う部分もある。そうした人々をまとめるためにも、会社のビジョンやミッション、最終目標を改めてしっかり作り、社内外に示していくことが大切です」(倉原さん)

「とても共感します。さまざまな国籍やバックグラウンドの人がいたとしても、共通のビジョンやミッションがあれば違いを乗り越えられると感じています」(前田さん)

「そうなんです。ただ、ビジョンやミッションは言葉にするだけではダメで、経営者がそれを体現していかないといけない。そこが本当に難しく、組織に浸透させるために今も努力しています」(倉原さん)

研究者、エンジニアというキャリアを経て起業した倉原さんは、職業に関してあまり男性・女性の区別を意識したことがなかったそうだ。しかし、宇宙産業も含めて技術関連の産業全般において男女比には大きな開きがあり、「女性の割合が少ない」という状況そのものが、女性が働くうえで直面する大きな課題になっていると指摘する。

「そもそも大学の時点で理工系は男性が多い。女性がいても医療分野に進む人が多く、エンジニア分野に進む人はなぜか少なかった。女性がいるイメージがある職業と、そうでない職業があって、その先入観が進路選択に影響するのかもしれません」(倉原さん)

経営側が女性の比率を上げたくても、採用時に応募比率ですでに開きがある。会社単体の努力だけでは足りず、社会全体で取り組まなければならない問題だと語った。

自分のやりたいことに正直に。大切なのはあきらめないこと

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Bucket Listナビゲーターでモデル、ラジオDJのShaulaさん。

撮影/中山実華

子どものころから内に秘めた夢を追い続けて、「宇宙に関わる仕事をする」という望みを叶えた倉原さん。夢を実現するために必要なものは、「あきらめないことだけ」だと微笑む。

「もう無理かな、ダメかなと思っても、ちょっとでも前進できたら次につながるかも……という希望を持ってここまで来ました。何かしらつなげて、チャンスが掴める日まで生き残る。結局自分の力だけで何とかなったことはほぼないので、周りを見渡して誰かに相談すること、助けを求めることも大切です」(倉原さん)

「お話を伺って、『夢を追い続ける人のためのブランドでありたい』というポルシェのビジョンとオーバーラップする部分を感じました。創業者のフェリー・ポルシェは、『私は自らが理想とする車を探したが、どこにも見つからなかった。だから自分で造ることにした』と語っています」(前田さん)

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の宇宙船「トライウィングS-91xペガサススターファイター」にはポルシェのデザイナーが参加するなど、ポルシェはクリエイションの世界ではすでに宇宙に進出している。倉原さんも、「宇宙旅行はアートやエンターテイメントと関わりが深いから、ポルシェとの親和性は高いのでは」と声を弾ませた。

セッションの最後、これから叶えたいバケットリストとして、「やっぱり一番は宇宙に行くこと。月まで行きたいですね」と答えてくれた倉原さん。宇宙旅行のハードルは少しずつ下がっており、空と宇宙の境目とされる高度100kmならば、今後は一生に一度の旅としてチャレンジする人が増えてくるのでは──と語った。

悩むことも多いけれど、自分のやりたいことに正直に。10年後20年後、あのときこうしておけばよかったと後悔するよりは、「やってみて、あの時は本当に大変だったと思い返す人生を送りたい」という倉原さんの言葉には、夢を叶えるヒントが凝縮されていた。

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撮影/中山実華

夢を追う人々のエネルギーを表現したタイカン アートカーの展示を実施

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撮影/千葉顕弥

ポルシェジャパンが展開する「Dreamers. On.」は人生の夢というテーマに焦点を当て、夢を追い続けている人たちを応援する、グローバルブランドコミュニケーションプログラム。MASHING UP SUMMITは同プログラムとの連動で、アーティストSHUN SUDO氏によるタイカンのアートカーの展示を実施した。

同作品には、SHUN SUDO氏の和を想起させる水墨画的なタッチと、アメリカングラフィティが組み合わさった活気に満ちたアートがエクステリアに施されている。彼の代名詞ともいえるボタン・フラワーのモチーフと、夢を追う人々のエネルギーを表現した唯一のタイカン アートカーが、会場を訪れる多くの参加者を魅了した。

MASHING UP SUMMIT 2023

Bucket List -Driven by Dreams- powered by Porsche Japan × MASHING UP

倉原 直美(インフォステラ 共同創業者/代表取締役CEO)、前田 謙一郎(ポルシェジャパン 執行役員)、Shaula(ファッションモデル ラジオDJ)

ポルシェジャパン

取材・文/田邉愛理

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