- Home
- Social good
- メルカリShops×クラダシで、食品業界のフードロスに切り込む。循環型社会に向けて業務提携スタート
(写真左より)ソウゾウ代表取締役CEO 石川佑樹さんとクラダシ取締役執行役員CEO 河村晃平さん。
画像提供/クラダシ
毎日捨てられる食料は、国民1人あたりお茶碗1杯分
日本のフードロスの量は、消費者庁のHPによると、年間522万トン(※)。あまりに大きい数でピンとこないが、これは世界中の飢餓に苦しむ人々への世界の食料支援量のなんと1.2倍に当たる。さらに国民1人あたりに換算すると、お茶碗約1杯分(約113g)の食べ物が毎日捨てられていることになるという。
※ 農林水産省22年公表データより。
業務提携でフードロス削減の輪を広げる
業務提携を発表する記者会見に並んだ商品のサンプル。
画像提供/クラダシ
そんな日本のフードロスの削減を目標に、循環型社会の実現に取り組む企業ソウゾウと、クラダシが業務提携をした。2社が業務提携をすることでお互いの強みを生かし、循環型社会の実現に向けてフードロス削減の輪を広げる狙いだ。それぞれの特徴はどこにあるのか。
ソウゾウが運営するEコマースプラットフォーム「メルカリShops」は、「かんたん」「売れる」を強みとする。スマホ1つで誰でもフリマサイト「メルカリ」内にネットショップを開設でき、月間2千万人以上のメルカリ会員にアプローチできる。ITに関する知識も独自の集客も不要で、「かんたん」に開設でき、「売れる」機会を提供している。
ソウゾウは「限りある資源を有効活用する」「メルカリShopsで全ての人とモノに新たな価値を」を掲げ、これまでもメルカリShopsで循環型社会の実現に向けた取り組みをしてきた。魚の切り落としや割れてしまったお菓子を販売する「訳ありグルメ特集」、形が変わっていたり、サイズが不揃いだったりする農作物を扱う「サステナマルシェ」、まだ使える粗大ごみや自治体備品を販売する「粗大ごみリユース販売」などだ。
一方、クラダシは、さまざまな理由により一般流通での販売が難しい商品を買い取り、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」で販売する事業を展開。「みんなトクする」ビジネスモデルを掲げ、2022年に累計会員数は44万人を超えた。「みんなトクする」の「みんな」とは、食品をはじめとしたさまざまな商品を提供するパートナー企業、購入者、そして社会貢献活動を行う団体のことを指す。
「メルカリShops×Kuradashiフードロス削減プロジェクト」の第1弾「春もおいしい 冬のごちそうフェア」に並んだ食材。
画像提供/クラダシ
食品業界のフードロス、主な3つの理由は?
食品業界のフードロスの理由には、大きく3つが挙げられる。まず、傷やパッケージ汚れなどの「規格外」商品。次に「3分の1ルール」と呼ばれる商習慣。これは、製造日から賞味期限までを3等分し、最初の3分の1の期間内に納品するルールで、この期間に納品できなかった商品は賞味期限に関わらず廃棄される可能性が出てきてしまう。3つ目は、おせちやクリスマスケーキなどの季節商品だ。
これらの商品には、これまで企業がコストをかけて廃棄していたものもある。しかし、「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」「日本で最もフードロスを削減する会社」「凸と凹のマッチングによりもったいないを価値へ」を掲げるクラダシの新しい販売マーケットにより、これらの商品を消費者の手に届けることが可能になった。通常ルートである1次流通でも、中古販売である2次流通でもない、その販売マーケットをクラダシは「1.5次流通」と称している。クラダシのパートナー企業は、2022年12月時点で、ダイドー、吉野家、日清オイリオなど1200社にも上る。
フードロスの認知を広め、社会問題解決の一助に
メルカリShops内のKuradashiの公式ショップページ。
画像提供/クラダシ
業務提携の一環として、2023年3月、メルカリShopsにKuradashi公式ショップがオープン。フードロスになりそうな商品、まだ食べられるにも関わらず捨てられてしまう可能性のある商品の販売を開始した。
幅広い年代のユーザーがいるメルカリ内で販売を展開することでフードロスの認知を広め、食品業界のフードロス問題を解決していくことを目標としている。また、売上の一部はクラダシ基金に寄付される。クラダシが地域経済の活性化と社会発展に寄与するために自ら設立された支援金制度で、地方創生事業、フードバンク支援事業、教育事業、食のサステナビリティ研究会の社会貢献活動に充てられる。
2023年3月、戸越銀座商店街に開設された期間限定のポップアップストアの様子。おせち食材や鍋料理など、季節商品を販売した。
画像提供/クラダシ
季節商品のフードロス対策にも積極的な姿勢を見せる。2023年3月13日〜22日には「メルカリShops×Kuradashiフードロス削減プロジェクト」の第1弾「春もおいしい 冬のごちそうフェア」をメルカリShops内で開催。約700種類の商品を出品した。また、期間限定のポップアップストアを戸越銀座商店街で開催し、賞味期限を3月に迎えるおせち食材や春以降に需要が低下する鍋商品などを販売した。今後も、オンライン、オフライン関わらず季節に合った特集を実施する予定だ。
「循環型社会を実現する、という理念において、メルカリShopsさんに大変共感している。この理念を共に実現していきたい」とクラダシ取締役執行役員CEO河村晃平さんは語る。
SDGsの目標には、2030年までに食料廃棄を半減させることが盛り込まれている。消費者にとって身近なメルカリから参加できるフードロス対策。認知の広まりと効果に期待したい。

イベント
おすすめ
JOIN US
MASHING UP会員になると
Mail Magazine
新着記事をお届けするほか、
会員限定のイベント割引チケットのご案内も。
Well-being Forum
DE&I、ESGの動向をキャッチアップできるオリジナル動画コンテンツ、
オンラインサロン・セミナーなど、様々な学びの場を提供します。