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MASHING UP SUMMIT 2023

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「ESG経営」と「ジェンダーイクオリティ」が最重要課題である理由

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画像/MASHING UP

男女の賃金格差の開示が本格的に始まっている。なぜ投資家はESG経営に注目するのか、日本の企業においてジェンダーイクオリティの実現を阻むものは何なのか。

これを紐解くため、2023年3月8日に行われた「MASHING UP SUMMIT2023」では「ESG経営とジェンダーイクオリティ」と題したトークセッションを開催した。

登壇者は国連開発計画(UNDP)でジェンダー平等と女性のエンパワーメントを担当し、現在は特定非営利活動法人Gender Action Platformの理事を務める大崎麻子さん、日本IBM特別顧問兼CDO(チーフ・ダイバーシティー・オフィサー)の福地敏行さん、みずほフィナンシャルグループ 執行役 CPO兼CCuOの秋田夏実さんなど、ジェンダーやDEIのスペシャリスト陣。

相模女子大学大学院特任教授でジャーナリストの白河桃子さんがモデレーターを務め、実際の取り組みを交えながら忌憚のない意見が交わされた。

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「女性活躍」から「ジェンダー平等」へ

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みずほフィナンシャルグループ 執行役 CPO兼CCuOの秋田夏実さん。「攻めと守りの両面から多様性が必要」と指摘する。

撮影/中山実華

そもそも、なぜ日本ではジェンダー平等が進まないのか。大崎さんは、「前提として、国際社会で共有されているジェンダー平等の定義が日本で浸透していないから」だと指摘する。

「ジェンダー平等のエッセンスは、男女の権利、機会、責任における平等、つまり、人権に立脚したコンセプトです。SDGsのゴール5が掲げているのも、差別の撤廃や、家事育児など女性に著しく偏っている無償ケア労働の責任の再分配。家庭内であれば男性も担えるようにする、また、家庭だけではなく社会全体で分かち合えるようにする施策を促しています。しかししかし、日本では『女性活躍』ばかりが取り上げられ、女性もどんどん働いてね、でも家事は今まで通りやってね、という不公平なものとして受け取られてきたのです」(大崎さん)

ただし、この状況も近年、ようやく変わり始めている。日本でも主題が「女性活躍」から「ジェンダー平等」へとシフトしてきていることが、男女間賃金格差の開示義務化にも見て取れるという。なぜなら、賃金格差は組織に潜む間接的な差別を可視化するものだからだ。

ロールモデルを多様化させる

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日本IBM特別顧問兼CDO(チーフ・ダイバーシティー・オフィサー)の福地敏行さん。日本IBMでは早くからダイバーシティの課題に取り組んできた。

撮影/中山実華

福地さんは、「事業の継続的な成長にはダイバーシティが不可欠」であると断言。そのため、日本IBMではダイバーシティが常に最重要経営課題の一つとなっている。

「当社では女性やLGBTQ+、介護などそれぞれの当事者がコミュニティを作り、社内提言を行ってきました。その結果、早くからダイバーシティが推進されてきたのです」(福地さん)

1999年には在宅勤務制度が整備されていたため、コロナ禍でもスムーズに全社員がリモート勤務に対応できたという。変化に強いということに加えて、「女性の管理職が増えたことにより、複数の世代で自分に近いロールモデルができたことの効果は大きいと感じています」と語る。

役員メンタリングで女性管理職をフォローする

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男女間賃金格差の開示の義務化などについて語る白河さん(写真左)と大崎さん。

撮影/中山実華

アドビの日本法人副社長としてマーケターを務めた経歴を持つ秋田さんは、「攻めと守りの両面から多様性が必要」と指摘する。

「攻めの面では、クリエイティビティは多様性のある企業でこそ生まれるものであり、一方の守りでは、同質的な組織では死角が生じ、問題が発生するリスクがあります」(秋田さん)

みずほではD&Iコミットメントとして「多様性を強みに」「自分らしく働き人生を豊かに」「認め合い、高め合うカルチャー」という3つの約束をしている。

「施策の一つとして、役員メンタリングを行っています。女性管理職を増やすための施策なのですが、メンティーだけでなくメンターの満足度も非常に高い結果となっています」(秋田さん)

今後の向き合い方で潮目が変わる

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特定非営利活動法人Gender Action Platformの理事を務める大崎麻子さん。ジェンダー平等の国際社会における定義が日本で浸透していないと指摘する。

撮影/中山実華

大崎さんは、豊岡市ジェンダーアドバイザーとして地方のジェンダーイクオリティの課題に取り組む中での施策についても言及。各登壇者からもさまざまな施策やその効果が共有された。

その中で、変化を受け入れにくい中間管理職を動かすには、「ダイバーシティを評価に反映させるしかない場合もある」と大崎さん。

男女間賃金格差の開示の義務化は、日本におけるESG経営とジェンダーイクオリティの大きな転換点です。もちろん、ただ開示するだけでなく、そこから何を読み取り、経営戦略にどう反映させていくかが重要です」(大崎さん)

先進的な企業の事例を参考に、今後どのようにESG経営とジェンダーイクオリティに向き合っていくのか、企業努力が試されることとなりそうだ。

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撮影/中山実華

MASHING UP SUMMIT 2023

ESG経営とジェンダーイクオリティ

大崎麻子(Gender Action Platform 理事)、福地敏行(日本IBM 特別顧問兼CDO)、秋田夏実(みずほフィナンシャルグループ 執行役 CPO兼CCuO)、白河桃子(相模女子大学大学院特任教授)

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中島理恵
ライター。神戸大学国際文化学部卒業。イギリス留学中にアフリカの貧困問題についての報道記事に感銘を受け、ライターの道を目指す。出版社勤務を経て独立し、ライフスタイル、ビジネス、環境、国際問題など幅広いジャンルで執筆、編集を手がける。

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