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MASHING UP SUMMIT 2023

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「女性起業家」と言われない未来を。スタートアップとジェンダー課題

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社会を変革する推進力として期待されるスタートアップ。スケールするにはエコシステムや投資家などの支援環境が不可欠だが、日本は先進各国に比べて整っているとは言い難い。

2023年3月8日開催「MASHING UP SUMMIT2023」にて、「スタートアップとジェンダー課題:女性起業家に必要な環境とは?」セッションを実施。女性起業家に必要な環境づくりのアイデアや打開策について、専門的視点から語り合った。

登壇者は、サイバーエージェントを経て、2016年に独立系ベンチャーキャピタルのiSGSインベストメントワークスを国内初の女性代表パートナーとして立ち上げた佐藤真希子さん、サステナブルファイナンスの専門家として金融庁の政策策定支援に携わった経験を持つstream-i 代表の小崎亜依子さん、パソナグループ常務執行役員で社内外の起業家の輩出に力を注ぐ進藤かおりさん。モデレーターを遠藤祐子(MASHING UP代表理事)が務めた。

投資する側のダイバーシティを促進すべし

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stream-i 代表の小崎亜依子さん。日本は、女性起業家にとって厳しい環境であることが認知すらされていないと指摘。

撮影/中山実華

日本では特に女性起業家の資金調達が難しいといわれている。それには、投資する側に男性が多いことによる、ジェンダーギャップの問題が影響していると考えられるが、そもそも「日本では、投資家のジェンダーギャップが課題として認知されていない」と小崎さんは指摘する。

「今回もキャピタリストの男女比のデータを探してみたのですが、アメリカにはあっても日本にはまだない。女性起業家にとって厳しい環境であることが認知すらされていない状況です」(小崎さん)

プレゼンテーションの内容が同じでも、男性の声と女性の声では男性のほうが評価されるといった研究もある。また、投資家が、男性起業家には「どのくらいスケールするつもりか」と事業の成長性を聞くのにも関わらず、女性起業家には「本当に事業を続けていけるの? 結婚出産はどうするのか」など事業とは直接関わりのない質問をするケースがまだまだあるという。

女性投資家が長く活躍できるしくみをつくる

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iSGSインベストメントワークス代表パートナーの佐藤真希子さん。「女性」起業家、「女性」VCと言われなくなってからがスタートと語る。

撮影/中山実華

ただし、そうした環境も「ここ3年で一気に変わってきた」と佐藤さん。

「お金を預ける側(金融機関や機関投資家など)から、投資家側にもダイバーシティ(多様性)を求められるようなってきたり、ベンチャーキャピタルで働きたいという女性が驚くほど増えました」(佐藤さん)

今後は投資家側の中で、女性が長くこの仕事を続けられるための環境づくりが求められていると指摘する。

幼少期からの刷り込みと、今あるアンコンシャスバイアスに向き合う

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パソナグループ常務執行役員の進藤かおりさん。子どもの頃から男性らしさ・女性らしさを親が決めつけないことも大切と述べる。

撮影/中山実華

小崎さんは、「女性なのに」ということを意識する前の段階からアントレプレナーシップ教育をするべきだと指摘。これには進藤さんも同意する。

「テクノロジー分野に女性起業家が少ないという現状もあります。子どもの頃から男性らしさ・女性らしさを親が決めつけないことも大切」(進藤さん)

もちろん、投資家側が性別によって起業家を差別する、アンコンシャスバイアスを取り払う意識改革も必要だ。

つくりたい未来を、自らつくる!

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教育、コミュニティの課題など、5つのテーマでセッションは進行した。

撮影/中山実華

女性をエンパワメントするコミュニティの重要性なども語られた後、目指すべき「女性起業家の未来」を質問すると、「“女性”起業家と言われない未来」と佐藤さん。「同じように『女性VC(ベンチャーキャピタリスト)』という言葉もなくなってからがスタートだと思っています」。

「これからは女性の感性が活かされる時代。生活者目線で社会課題に取り組む女性起業家が増えている」と進藤さん。

小崎さんは「つくりたい未来を自らつくる!」。企業内にとらわれず、まずはフリーランスで始めてみる、だめなら転職して時期を待つなどしながら、つくりたい日本と社会を目指していこうと語りかけた。

まずは今回のような議論の場をつくっていくことでスタートアップにジェンダー課題があることの認知を広め、男女の別なくスタートアップが活性化する、より良い未来を目指したい。

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撮影/中山実華

MASHING UP SUMMIT 2023

スタートアップとジェンダー課題:女性起業家に必要な環境とは?

佐藤真希子(iSGSインベストメントワークス代表パートナー)、小崎亜依子(stream-i 代表)、進藤かおり(パソナグループ常務執行役員)

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中島理恵
ライター。神戸大学国際文化学部卒業。イギリス留学中にアフリカの貧困問題についての報道記事に感銘を受け、ライターの道を目指す。出版社勤務を経て独立し、ライフスタイル、ビジネス、環境、国際問題など幅広いジャンルで執筆、編集を手がける。

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