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手を取りあってタブーを打ち破る。ポーラが共創型のフェムケアプロジェクトを始動

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2023年5月、ポーラは「女性のライフステージに関わる健康課題を改めて社会課題として見つめ直し、主体的で自分らしい人生を応援すること」を目的に、フェムケアプロジェクトを始動させた。

その背景にある想いとは? 異業種合同参加型プロジェクトタブーを自由にラボの様子をレポートする。

「個々のもやもや」が世の中を変える

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ポーラでは、フェムケアに関する思いを込め「フェムケア宣言」を発表。 ①「知る」理解を深める、 ②「寄り添う」一人で抱え込まない、③「仲間づくり」共感と対話、という3つをテーマに掲げている。

創業以来、女性たちの可能性に寄り添い、応援してきたポーラは「今だからこそできること」として社内で「フェムケアタスクフォース」を立ち上げた。その中で活動をすすめているのが、働く女性の健康課題を考える異業種合同参加型プロジェクト「タブーを自由にラボ」だ。

このラボを開催するにあたり、フェムケアチームでは約100名にヒアリングやアンケートを実施し、多くの女性たちの生の声からインサイトを探ったところ、生理の悩みに諦めの感情がある人が多い印象を持ったという。 そこで、痛み、眠気、食欲などの悩みに対して、何かできないかと方法を探っていたところ、まず第一歩として知識を持つ、同じ思いをしている人と話すなど、そういうコミュニティのようなものが必要だと考えた。

1人で悩んでいたことも、誰かと話すと解決策が見つかるように、ポーラ1社ではできなかったことでも、仲間となる企業が増えることで、新しい解決策や可能性が広がるはず……。さらには、そこで生まれた企画やサービスを、いつか日本中、世界中の女性たちに届く日がくると信じ、この企画をスタートさせた。

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ポーラ フェムケアプロジェクトサブリーダー 馬庭千晶さん(右)とサポートメンバーの石崎眞里奈さん(左)。

ポーラ フェムケアプロジェクトサブリーダー 馬庭千晶さんとサポートメンバーの石崎眞里奈さんが中心となってラボの活動を行なっている。月に1回、15社の企業が参加する勉強会では、女性の健康、PMS、フェムテック市場(※)、フェムテック製品企画の背景などを学びながら5つのグループでディスカッションを実施。各グループの課題に対して解決策を考え、9月の最終回で各チームの発表が行われる。

※ フェムテックは、女性の健康課題をテクノロジーを用いて解決し、ウェルネスを向上するサービスおよびプロダクト。フェムケアは、女性向けのケア製品を内包するカテゴリーを示す。

集まった15社の参加者は、個人で感じている「もやもや」の解決を目指す女性約30名。月経や不妊治療、出産とキャリア、人事制度など多岐にわたる課題を、5回のプログラムを通して考えていく。異業種合同参加型プロジェクトではあるが、企業間のコラボレーションを目的としたものではなく、あくまでも「働く一個人」としての思いをシェアする場として設定されたのも特徴だ。

世の中にある『ガマン』に着目したのが、本プログラムの特徴です。プロジェクト立ち上げに際し、100名を超える方々にアンケートを実施しました。すると、たとえば生理休暇を取りにくいとか、出産でキャリアを諦めなければならないなど、さまざまな悩みが出てきたのですが、みなさん『そんなものだろう』と自分の中で無理やり消化させていました。『このもやもやは課題と言えるのだろうか?』と諦めている人が多かった。そこで、個々のもやもやを解決できないだろうかと考えたのが、このプログラムです」(プロジェクトサブリーダー 馬庭千晶さん)

拡大するフェムテック市場と動向

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fermata 中村寛子さんによる「フェムテック市場のこれからについて」レクチャー。

2023年6月21日に東京・丸の内で行われた2回目のラボでは、フェムテック市場についての学びを深め、グループでの課題シェアがテーマに。プログラム前半では、今回のラボのアドバイザーでもあるフェムテック関連企業fermata(フェルマータ)の中村寛子さんをゲストに迎え、「フェムテック市場のこれからについて」のパネルディスカッションが行われた。

フェムテックのカテゴリーは増えており、月経だけでなく生殖、自己免疫、骨、骨盤底筋、セクシャルウェルネスなどに細分化。AI、IoT、3Dプリンティング、ブロックチェーンなどを用いたソリューションが次々と生まれているため、市場は右肩上がりに拡大。経済産業省によると、2025年には日本での経済効果も2兆円になると予想されている(参考)。

直近の動向としては、大きく分けて4つのトピックスがある。

1つめは、経済産業省による実証事業費補助金などのサポートがスタートしたこと(参考)。2つめは、更年期の症状が仕事や日常生活に与える影響についての実態調査実施や、国立成育医療研究センターに「女性の健康」に関する機関が発足し、女性の健康課題に関する研究が開始したこと。3つめは、子宮口キャップ、骨盤底筋訓練器具といったフェムテック関連の商品が医療機器として販売可能になったこと。4つめには、大手アパレルや流通が吸水ショーツの開発・発売を行ったり、IoTプロダクトの開発を始めるなど、大手企業の参入も挙げられるという。とくにこの「大手企業の参入」は日本で顕著に見られる動きであり、今後も注目していきたいと、fermataは話す。

いっぽう、フェムテックは成長市場でありながら課題も多い。

あらたな選択肢が市場に流通したとしても、消費者に受け入れられないと意味がないため、啓発は必須課題。また、基礎研究データも少ない。既存の法律の枠組みにはめることができない商品もあるため、薬機法をはじめとした制度・法律面の整備も必須。これらの課題を解くために、企業側は、消費者のニーズが未だ可視化すらされていないことに注意し、多角的に事業開発をしていく必要がある。

テーブルにあふれるほどの「もやもや」

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後半は5〜6人で1グループとなり、テーマ別にディスカッションが行われた。この後3ヶ月をかけて解決策を話し合い、最終的には企画発表を行う。

後半のワークショップでは、5つのグループで課題のシェアが行われた。グループごとに、前回のアンケートで多かった以下の5つのテーマが割り当てられている。

①月経のフィジカル・メンタル面の課題
②社内における福利厚生の課題
③妊娠・出産・不妊治療、卵子凍結などの課題
④キャリア・ライフステージの課題
⑤ヘルスリテラシー向上に関する教育の課題

本プロジェクトに携わるfermataが用いる「もやもや発散会」の手法を参考に、まずは各自が思う「もやもや」を付箋に書き出し、シェアしたのちにグループ内で解決すべきテーマを決めていく。各テーブルではさまざまな「もやもや」が浮かび上がった。その一部を紹介する。

<グループ① 月経のフィジカル・メンタル面の課題>

  • 日中に気絶するほどの眠気を感じる
  • 女性同士でも症状に個人差があり、正しく理解できない
  • 生理の痛みは数値化できないので表現しづらい

<グループ② 社内における福利厚生の課題>

  • 女性特有の健康課題(月経など)に関する福利厚生制度がない
  • 「会社に知られたくない」という気持ちへの配慮
  • 男性にも女性にも納得してもらえる制度って?

<グループ③ 妊娠・出産・不妊治療、卵子凍結などの課題>

  • 不妊治療は高額なのに確率が低い
  • 卵子凍結へのリテラシーの低さ
  • 他人からのプレッシャー。自分の考えに対する理解がほしい

<グループ④ キャリア・ライフステージの課題>

  • キャリアを考えると、いつ出産していいかわからない
  • いちばん仕事が楽しい時期に妊娠、更年期が自分の体に起こる
  • 早めに出産すると「キャリアを諦めた」と思われる

<グループ⑤ ヘルスリテラシー向上に関する教育の課題>

  • 妊娠について(妊孕[にんよう]力、母子の健康など)の教育がない
  • 父娘家庭はどうしているの?
  • 公の場で「性」に関することを話しにくい

これらの「もやもやに対する課題」は、今後もグループごとにブラッシュアップしていく。LINEグループをつくるチームもあり、終了時刻になってもディスカッションが活発に行われていた。

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個々の悩みや企業で解決できそうなものなど、さまざまな角度から課題が付箋に書き込まれていく。

参加者の一人、喜納真里子さんは、日立社会情報サービスで新規事業開発支援の部署に所属。新規事業の立ち上げに際し、フェムテックの分野を調べるうちに「私が持っている情報は60年前の情報なのではないか。アップデートしないといけないのでは」と思いはじめた。

日立グループ内での情報共有や交流を目的に『女性のトータルウェルビーイングを考え、選択肢を広げるためのコミュニティ』を立ち上げて、有志3名で運営。自社内に閉じずに、日立グループ全体を対象としたのは、女性特有の課題に”会社の垣根はいらない”と考えたからだった。活動を続けるうちに、「他の会社はどのようにしているのか?」と考えるようになったという。

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「タブーを自由にラボ」参加者の日立社会情報サービス 喜納真里子さん。

「今回(このプロジェクトに)参加したのは、まず仲間を作りたかったということ。アイデアが出たときに『これってどう思う?』と、生の声を聞くことができる当事者の仲間は貴重です。また、私と同じように企業内でコミュニティを運営している方がいれば繋がりを作りたいです。自身のコミュニティは立ち上げてから間もないので、先行している企業さんがいらっしゃれば、どのような内容のコミュニティなのか、運営方法等ご教示いただきたいです」(喜納さん)

企業による女性の健康課題解決の萌芽に

ポーラの馬庭さんは「一人ひとりが悩んでいること、本当は変えていきたいと思っていることをオープンに話せるコミュニティがあるといいと思っていましたが、プログラムの回を重ねるうちに、まさにそういった場になっていると実感します」と、手ごたえを感じているという。

「フェムテックという言葉が生まれ、学校教育や社会も少しずつ変わってきているのは、やはり当事者である私たち(女性)が違和感に対して声を上げてきたからではないでしょうか。今回のプロジェクトは、ひとりひとりが『もやもや』から一歩進めることを目標としていますが、大きな目で見ると、社会の次の動きにつながるかもしれません。小さなもやもやこそ拾い集めて、それを課題にして変えていくのは結局私たち自身でしかない。5回のプログラムを終えたときに『私たちはもっとこうしていきたい』と、メッセージを発信できればと思っています」(馬庭さん)

この先、約30名のメンバーがコラボレーションを起こし何かを始めるかもしれないという期待も高まる。

従来タブーとされてきた女性の健康課題領域のトピックを、日本経済を牽引してきた多様な企業の社員たちがオープンに語りあった「タブーを自由にラボ」。女性の健康課題を解決し、誰もが働きやすい環境をつくるために、少しずつだが確実に、組織も変革している。

タブーを自由にラボ

文/島田ゆかり、撮影/中山実華

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