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「感性」を養えば捉え方が変わる。COLOR Againが目指す、個を活かす環境とは?

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撮影/中山実華

組織づくり、組織のイノベーションに果たして「感性」は影響するのだろうか。そもそも「感性」とは何なのか。それらを体感する「COLOR Againワークショップ 個の感性がもたらすイノベーションの可能性-自身の“色”の再発見と、受容・尊重しあう組織づくり-」が2023年6月、東京・渋谷にあるメディアジーン社屋にて行われ、さまざまな業界の企業が参加した。

「正解をつくる」ことは正解ではないかもしれない

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FICCプロデューサー・伊藤真愛美さん(左)とモーンガータ代表取締役の田中寿典さん(右)。中央の絵はSminkArt(スミンクアート)の手法で描かれている。

撮影/中山実華

MASHING UP SUMMIT 2023でも開かれたこちらのワークショップ。今回は、さまざまな業種の企業人が集まり、「感性」をテーマにしたワークショップに目からうろこの気づきが生まれたようだ。

COLOR Againとは、ブランドマーケティングの専門性から企業を支援するFICCプロデューサー 伊藤真愛美さんとモーンガータ代表取締役の田中寿典さんが共同でオーガナイズするプロジェクト。伊藤さんは、このプロジェクト名について「人は本来、それぞれの色があります。ところが社会の中で色あせたり、自分らしくない色に変えてしまっている人も少なくありません。そのことに気づき、失った色を取り戻すという意味で“COLOR Again”という名前をつけました」と話す。

COLOR Againのプログラムは、思い込みや偏見に囚われずに、自分や他者の感性から「新しい視点」に出会うことを目的としている。そのプロセスに、使わなくなった化粧品を絵具代わりに活用した「SminkArt(スミンクアート)」やサウンドバス体験(音楽に身を委ね自己内省を深める)を組み合わせているのが特徴だ。

「『感性』と聞くと、アーティストやクリエイターに必要とされるものだと思うかもしれませんが、感性とは、刺激を受けたものをどう認識するか、というもの。つまり、『自分が何を感じるか』ということで、誰にとっても必要なもの。ところが、私たちは社会の中でたくさんの情報を収集して『正解をつくる』ことに慣れてしまい、固定観念や思い込みに囚われるようになって、自身の感性を失いつつあります。自分が感じていることに目を向けなくなると『感じ取る』ことができなくなっていく。このワークショップを通じて、自分の感性の再発見をしていただけたらと思います」(伊藤さん)

感じ取ることは「想像」でもあり、何かに気づくことは何かを変える影響力になる。ひとりひとりが感性を解放できるようになれば、よりよい社会をつくることも実現できる、とCOLOR Againは考えている。

「自身が感じていると思うこと」をアートに

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2時間半に及ぶワークショップには、様々な業界から50名近くの参加者が集まった。男性の参加者も多い。

撮影/中山実華

プログラムはユニークで、これまで体験したことがないプロセスで自分の素直な気持ちに出会っていく。

参加者は3人ずつのグループになり、ひとつのワークが終わるごとにシェアを行う。まず最初に「ひょっとすると、自分だけが感じている/考えてるのかな、と思った最近のエピソードは何ですか」という問いに対して、各自が思いつくままに書いていく。

「自分はもしや死んでいるのでは、と思うことがある」

「自分が買った服がSALEになっていると、ほかの人と好みが違うのかな、と思うことがある」

「海外に行くのが嬉しいと思うのは自分だけ?」

「街が自分に話しかけていると感じることがある」

この時点で、個々の感性の違いがかなり大きいことを実感する。

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モーンガータが開発するSminkArt(スミンクアート)は、使わなくなったコスメを特殊な溶液「magic water」で溶き、絵の具を作ることができるプロダクト。スミンクとはスウェーデン語で「化粧」を意味する。

撮影/中山実華

次に、手元に配られたカードに「SminkArt(スミンクアート)」で自由に絵を描いていく。テーマは先ほどの「問い」に対する抽象的なイメージだ。ここでも、三者三様の絵が生み出されていくのが面白い。

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サウンドセラピスト、Freakin’Calm代表取締役 HIKOKONAMIさん。実際のサウンドバス体験は、静かな暗闇の中で行われる。

撮影/中山実華

続いて、サウンドセラピストでFreakin’Calm代表取締役のHIKOKONAMIさんによるサウンドバス体験。部屋の照明を落とした空間でクリスタルボールが奏でる音に包まれ、さらに自己を解放していく。興味深かったのが、このあとにもう一度絵を描くのだが、その際にまったく異なる絵を描く人が続出したこと。

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参加者がSminkArt(スミンクアート)で描きだした作品。

撮影/中山実華

そしてここから、さらに自身の感性に気づく興味深いプロセスに入るのだが、ネタバレしないようにワークショップの紹介はここまでにしておこう。

感性を解放すると価値観や言動が変化していく

「COLOR Againのワークショップは、自分が感じた『大切にしたい思い』を、どうしたらソーシャルに関連させることができるかを考えられるように設計しています。

これまでも多くのワークショップを行ってきましたが、当たり前のことに自問するようになったとか、自分の価値観を認められるようなことに出会ったなど、参加者の多くは価値観やものの見方、言動が変化したようです」と、伊藤さんは話す。

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参加者の意見や気持ちを共有するためのシェアタイムは重要な位置づけで、イベント中何度も行われた。

撮影/中山実華

そして、「ひとりひとりが大切にしている思いが見過ごされている社会とは、いったいどういう状況なのだろう」という問題点も指摘された。

「過去の自分が歩んできた道を振り返り、その道程は自分にとってどのようなものだったのかを考える。そして、今の自分の感性に向き合うことで、自身の興味関心・好きなこと・嫌いなことなどが人生の選択やキャリアにどのような影響をもたらしたのかを再認識する。そこにはきっと、少なからず社会との繋がりがあり、「生活=自分が生きていることを活かす」ことができていることを見出すことができるかもしれません。

自分自身が実践してきたことが社会と繋がっていると感じられた時、人はおそらくその充足感から、自身をエンパワーメントできる(自己肯定できる)のではないだろうか」(田中さん)

「感性が磨かれると、見る世界、物事の捉え方、入ってくる情報が変わってきます。自身の感性をもっと意識して、組織や社会に、なにより自分自身にどう活かせるかを考えるきっかけになればうれしいです」(伊藤さん)

感性という想像力は、組織のイノベーションにも繋がっていく

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初対面同士のテーブルも、終了間際には笑顔で思いをシェアする景色が多く見られた。

撮影/中山実華

終了後のアンケートでは

「グループの皆さんの感じ取り方が、自分には思いもよらないものだったことが印象的でした」

「同じ内容を体験しても人によってフォーカスする点が違う、アウトプットが違う

「感性は判断基準の一番の拠り所であり、危ういもの。ただ、それを他人事として無視するのではなく尊重できれば可能性は無限大だと思う」

感性とは受け止めること、伝えることの間に存在するフィルターのようなもの。日頃はこのフィルターを閉じて生活していることも多い気がするが、実際には必ず滲み出ているとものはあるはず。その滲み出るものに自覚的になることで、自分らしさ探しの呪縛から解放され、自分と人に優しくなれる気がします」

といった意見が寄せられた。

また、「今回の体験でDE&Iを感じられたか」という質問にも

考えかた、感じかたという点で多様性を感じました。多様性というと肌の色やセクシュアリティについて注目されがちですが、今日の体験もまさに多様性だったと思います」

「描いた絵のストーリーを共有した場面でDE&Iを感じました。自分の考えや主張をダイレクトにぶつけると対立になりやすいですが、解釈や想いをその場に出すことは発信側、受け手側それぞれに気づきを生み出すことをあらためて理解しました」

と、多くの気づきがもたらされている。

感性は自分も社会も創造する力。もっと素直に、もっと自由になって、自分の内なる「感性」を再発見する機会として、COLOR Againプログラムは、企業にとってDE&Iにとどまらず、イノベーションにおいても有用な手段になるはずだ。

COLOR Againについて

COLOR Againは、2021年よりFICCとモーンガータの2社が中心となって取り組んでいる共同事業。自分なりの美を再発見するプロジェクトであり、社会に存在する同調圧力や既成概念に疑問を投げかけ、コスメに本来宿っている創造性や自信の力で、社会によって色あせてしまった個人の色を取り戻し、一人ひとりの可能性や多様性を尊重し合える社会を目指します。

企業向け『感性ワークショップ』についてのお問い合わせ担当:伊藤・田中 https://color-again.com/contact/


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島田ゆかり
ライター。広告代理店を経て、出版業界へ。雑誌、書籍、WEB、企業PR誌などでヘルスケアを中心に、占いから社会問題までインタビュー、ライティングを手掛ける。基本スタンス、取材の視点は「よりよく生きる」こと。

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