ビジネスをはじめるすべての人が、思い描くことをより簡単に実現し、運営できるようにする。
起業したばかりの個人事業主から複雑なビジネスを展開している大企業まで、さまざまな事業主へ向けて商取引に不可欠なツールを展開するSquareは、女性事業主やこれから会社を立ち上げたい女性を応援するプロジェクト「彼女たちの選択」を開始した。
2023年8月、プロジェクトの第一弾として代官山蔦屋書店にてポップアップストアイベント「Her Market」を開催。現在固定の店舗は持たないが、ビジネスに熱い思いを持ち、個性豊かなビジネスを行う6名の女性事業主を迎え、自身のサービスや事業への思いを直接訪れる人に伝える場を提供した。さらに、事業主及び専門家の3名に、それぞれの経験を交えながら女性事業主が直面する課題や取り巻く環境について話し合うトークセッションを開催。
本稿では、女性事業主のリアルな声に耳を傾けビジネス拡大への一歩をサポートするSquareの思いに迫る。
女性事業主を後押しするプロジェクト「彼女たちの選択」
2023年8月24日(木)〜8月27日(日)、代官山蔦屋書店にて開催されたポップアップストア「Her Market」の外観。
画像提供:Square
日本でビジネスを開始して10年目にあたる2023年、Squareは、課題や困難と向き合う多くのビジネスオーナーやこれから起業をするすべての人を応援するプロジェクト「__たちの選択」をスタートさせた。その第一弾として始動した「彼女たちの選択」では、事業の運営においてさまざまなステージにいるすべての女性事業主に焦点を当て、事業成長の後押しとなる企画を実施している。
Squareがこのプロジェクトを開始するに至った背景には、国内の事業主、および消費者を対象に行った調査結果がある。
現在、日本の事業主に占める女性の割合は2.5割弱に留まるという*1。それを裏付けるものとして、Squareが実施した調査では、4割以上の女性が事業を立ち上げることに対して「簡単だと思わない」(15.4%)、「あまり簡単だと思わない」(25.5%)と回答。さらに、起業に興味はあるものの「起業の仕方がわからない」(56.5%)、「経営・運営についての相談相手がいない」(26.5%)*2と、ビジネスを立ち上げる最初の段階で足踏みをしてしまう傾向にあることが見られた。
一方で、実際に事業を立ち上げた女性はというと、「会社や組織に縛られず、自由に仕事がしたかった」(54%)、「自分の趣味や特技を仕事にしたかった」(25.5%)など前向きな気持ちが見られ、また、事業拡大に対して躊躇しているものの、事業展開のヒントがあれば拡大してみたいという答えは74.4%にも及んだ。つまり、ビジネスを運営することにポジティブな姿勢を見せる女性は多いものの、経営や運営に関する具体的な知識や手順を知る機会を求めていることが伺える。
こうした調査結果をもとに、Squareは女性事業主やビジネスを立ち上げたい女性を応援するプロジェクト「彼女たちの選択」を立ち上げ、その一貫としてポップアップストアイベント「Her Market」を開催した。
*1. 株式会社日本政策金融公庫総合研究所「2022年度新規開業実態調査」日本政策金融公庫が融資を行った時点で開業後1年以内の企業1,122社の回答。*2. Squareが2023年6月2-7日に株式会社インテージに依頼し、国内の事業主および消費者を対象にインターネット調査を実施。事業主調査:20-59歳個人事業主(女性962名)、消費者調査:20-59歳個人(女性958名)。
6人の女性事業主が参加。「Her Market」での実店舗経営
Her Marketの店内の様子。出店したのは、遊んで食べるカラフルなクッキー生地を展開する「coloridoh」、ヴィーガンスイーツを届けるサービス「MOON TREATS」、フラワーボトルブランド「URA mizusawa flower farm」、新潟十日町市「妻有ビール」、おむすびランチ専門店「美味むすび」、サステナブルブランド「Jam apparel」の6社だ。
画像提供:Square
「Her Market」に出店したのは、現在固定の店舗は持たないが、ビジネスに熱い思いを持つ個性豊かな6人の女性事業主。それぞれが、訪れたお客様と密にコミュニケーションを取り、自身のビジネスに対する熱い思いを伝えた。
「coloridoh」代表、竹内ひとみさん。プレイフルな感覚を軸に、大人も子どもも楽しめるクッキー生地販売を展開。
「coloridoh」の代表であり、4人の子の母でもある竹内さんは、食は年齢も国籍も超えたコミュニケーションツールだと考え、形を作ってオーブンで焼くだけでクッキーが完成する生地を開発。普段はオンラインショップを展開するが、実店舗を持つことのメリットについてこう語った。
coloridohが開発した、ヴィーガンでアレルギーフリーなカラフルなクッキー生地。
「商品の特性上、ウェブサイトで販売するだけではなかなか良さが伝わらない。実際に店舗に来て、触ったり目で確かめていただきながら、商品の良さをお伝えすることが大切だと思っている。まだまだ認知度を高めるタイミングなので、直接お客さまにアプローチできるのは非常に嬉しい。子育てや教育者には、(このような実店舗体験は)特に関心を持っていただける絶好のチャンス」(竹内さん)
過去にもイベントなどで対面販売をしたことがある竹内さんは、「会計時のスムーズなやり取りは、店舗とお客様双方にとってメリットがある。今までは自分で計算をしていたが、決済端末を使えば安心して対応することができる」と話した。
左上:「MOON TREATS」出店場所の様子、右上:「URA mizusawa flower farm」が販売するチューリップを活用したキャンドル、下:「妻有ビール」が販売するクラフトビール。
左上:画像提供、Square/右上、下:撮影、中山実華
女性事業主がライフステージと共に事業を拡大させるには?
左:ジャーナリスト 浜田敬子さん、中央:AFRIKA ROSE創業者・取締役 萩生田愛さん、右:iSGSインベストメントワークス代表取締役 代表パートナー 佐藤真希子さん。
「Her Market」の初日には、「女性事業者のビジネス展開」についてのトークセッションを実施。アフリカのバラをフェアトレードで輸入・販売するライフスタイルブランド「AFRIKA ROSE」創業者・取締役の萩生田愛さん、iSGSインベストメントワークス代表取締役 代表パートナーの佐藤真希子さん、ジャーナリスト、前Business Insider Japan統括編集長、元AERA編集長の浜田敬子さんの3名が登壇した。
セッションの前半では、萩生田さんが自身の経験を踏まえ、考案から店舗経営に至るまでの経緯や課題について話した。事業計画の作成経験ゼロ、社長の友人も1人もおらず、最初はゼロからのスタートだったと萩生田さんは語る。
ビジネスの成長に伸び悩んだ時期に、原点に立ち戻ったことで店舗経営への一歩を踏み出すことができたと振り返る萩生田さん。
「オンライン販売や公園での出店などを3年間続け、徐々にリピーターさんも増えていた。だが、同時に事業自体が伸び悩み始めたころでもあり、次の一手を考える必要があった。その時、ビジネスを運営している先輩から、『店舗を出したら?』とアドバイスが。ただ、固定人件費もかかる上、当時のビジネスモデルとはまったく異なるため、通用しないのではないかと怖さがあった。
しかし、原点に立ち返り『アフリカの雇用を増やしたい』という思いで自分が続けてきたことを、思い出した。怖さのせいでビジネスの拡大や、多くの人に知ってもらう機会を逃してしまうと考え直したことで、店舗経営へのステップを踏み出すことができた」(萩生田さん)
事業を成長させるうえで重要なのはネットワーク。勉強会や女性経営者同士のコミュニティなどに積極的に参加し知見を広げていくことが大切だとアドバイスをする佐藤さん。
萩生田さんのように、社会課題解決を軸とした女性起業家は近年増加してきている。
自身も投資家として多くのベンチャー企業を支える佐藤さんは、「事業を運営するのは、精神的にも体力的にも大変。ビジネスを手段として立ち上げた人は、やはりそういった困難に直面した際に折れてしまうことも多い。そうしたなかで、原体験や事業に対する熱い思いがある人は原点に戻って立ち上がることができる。私たち投資家も、この人と一生事業をやっていきたいと思える起業家を応援したい」とコメント。
どれだけ会社が大きくなるかという視点だけでない、社会起業家を後押しする流れが広がり始めている、と話す浜田さん。
また、2018年に出産を経験し、女性ならではのライフステージの変化とビジネス運営の間で悩んだ時期もあったと話す萩生田さん。
「育児と仕事の両立など、起業してから多くの困難や波があったかと思うが、今思い返してみて、一番のターニングポイントや乗り越えたポイントは?」と浜田さんからの質問に対し、萩生田さんは、創業当時から共に頑張ってきたメンバーの離脱を機に、自分がいなくても回る「自立分散型組織」を作ることを決意。自分の権限を譲渡し、マネジメント層を厚く整えていくことで、社員一人ひとりとのコミュニケーションを大切にできるということを学んだ、と語った。
さらにトークセッションの後半では、女性起業家にとって、店舗経営や事業拡大をするうえで重要なことについてディスカッション。「自ら発信していくことで多くの協力者を募ることもでき、またビジネスのチャンスも巡ってくる」「女性起業家同士で積極的に集まり、情報共有をし互いに協力し合うことも可能」など登壇者3名から貴重なアドバイスが飛び交った。
あらゆるステージに立つ女性事業主を後押しするというSquareの意義のもと、女性ビジネスオーナーにとって、知見と経験を積み次の段階へ進む架け橋となった「Her Market」。女性事業主が抱える課題や、ライフステージの変化のなかでビジネスを運営する難しさを突破するヒントを示し、自身が思い描く成功をかたちにするための道筋となったはず。より多くの女性ビジネスオーナーがイキイキと活躍する社会に向けて期待が高まるイベントとなった。
取材・文:杉本結美/撮影:中山実華
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